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【完結】努力の怪物が指パッチンを極めたら世界最強に〜スキル【収納】の発動を指パッチンに″限定″したら無限の可能性が待っていた〜

ノベルバユーザー542862

第74話 鈍感系でも恋愛をする


じっと見つめてくるマリーの蒼翠の瞳を、真正面から受けとめる。

「マリー、それってどういう……」
「マックス、覚えてる? むかし、わたしがふざけてマックスの唇にチューしたら、マックスが真っ赤になって倒れちゃった事件」
「……覚えてるよ。あれは、すごく……心臓に悪かったね」

師匠の道場で稽古終わりに、マリーにいたずらされた時の話だ。
当時、圧倒的にマリーよりレベルが下だった俺は、マリーに押し倒されて、いいようにチューされてしまった。

もちろん、死ぬほど嬉しかった。
だが、実際に鼻血が出過ぎて貧血気味になって死にかけたので、ちょっとトラウマだ。

尊さのオーバーフロー。
ご褒美の過剰摂取は危険なのだ。

「あれって、マリーがからかってしたんだったよね。今にして思えば、本当に悪い冗談だったなー」

俺は愛想笑いしながら、本当は俺が今でもあの時の唇の感触を忘れないように、当時の気持ちを書きつづった1冊分のキス感想ノートを、大事にしまっていることはおくびにも出さない。

そんな事知られたら、キモがられて俺は死んでしまう。

俺はただ、マリーのとなりにいられれば十分なんだから。

「……マックス、実はさ、あれはからかったわけじゃないのよ」
「? というと?」
「もちろん、マックスの反応を見たくてあんな風に言っちゃったけど、本当は違う。あれはわたしなりの″告白のつもりだった″わ」
「………………へ?」

思考が追いつかない。

マリーの綺麗な顔が、どんどん赤くなっていくのがわかるくらいに高揚していく。

「あはは、なんか熱くなって来たわね。やっぱり、恥ずかしいわ、こういう事言うのって」
「ぇ、え? ぇ? あれ? つまり、、え? いや、マリー、それって、どういう……」

俺はどもり、上手く口が動かせない。

マリーは、はにかんで笑い、俺の唇に人差し指をたてて置いてきた。

すると、熱くなる頭がすこしだけクリアになって、マリーの緊張した愛らしく整った顔がよく見えた。

「マックス」
「……」
「そこ、動くんじゃないわよ」

マリーはベンチに座る俺をすみに追いつめて、体をがしっと小さい手で捕まえてくる。

今は俺のレベルが無いので、マリーの凄まじいホールドには1ミリもさからえない。

「強い強い……っ、そんな、強く掴まないで……!」
「こら! マックス! 動くなって言ってるでしょ! わたしのチューが嫌なわけ!?」

マリーは真っ赤な顔で、怒ったように言うと、俺のおでこに彼女自身のおでこをぶつけてきた。

「……っ」

至近距離で深緑の泉を映したような瞳が、俺を見つめてくる。

「マックス……わたしは、マックスが好き」

俺、夢でも見てんの?

妄想力が強すぎて具現化させる能力に目覚めたの?

俺はマリーの熱い吐息を浴びながら、そのまっすぐな瞳とひたすら見て、真意をさぐった。

これはからかってるワケじゃない?

そうして、ようやく馬鹿な俺は気がつく。


ああ、マリーも同じだったのか……と。


俺はそれ以上、言葉を重ねる必要がないと感じていた。

もう完全にわかりあえた。

「……」
「……」

俺とマリーほお互いの呼吸音を、聞きあえる数センチの距離で鼻の頭をくっつけあい、唇と唇のあいだにある、最後の″距離″を埋める。

この数センチを縮めるのに、長く時間がかかった。

あの森の鍛錬の時間と似ている。
わずか100分の1秒縮めるのに、何日も、何週間も、何ヶ月もの時間を費やした。

俺はようやく辿り着こうとしてる。
その果てに。

俺はマリーのふっくらした唇を見つめ、マリーもきっと俺の唇を見つめている。

そんないい知れぬ確信。

俺は息の温かさを感じながら、数センチを詰める。

と、その時。

「……答えは?」

俺が黙ってマリーの唇に辿り着こうとしたとき、マリーは静かに聞いてきた。

彼女の瞳を見ると、俺の目を見ていた。

「乙女が勇気出して、告白したのに、答えもかえさないなんて、ズルいわ」
「……」

もっともな言葉にグサリと胸を刺される。

俺は臆病で、本来なら俺から頼みこんで告白するところを、聖女であるマリーにやらせてしまった。

それなのに、沈黙に甘えようなど……。

「……」

いや、だからこそ、なのか?

「マックス?」
「マリー」

答えない俺に、マリーが不安そうに聞いてきた瞬間。

俺はマリーの名を一言呼び、彼女の唇に俺の唇をかさねた。。

「んっ」

驚いた様子のマリーの唇を、食べるようにゆったりとハムハムする。

尊さに自我を失い亡者となって死なないよう意識を保ち、熱く熟れた、収穫をじらされつづけ果実にじっくり、時間をかける。

「んぱ……っ、はぁ、はあ」

一連の儀式がおわり、顔を離す。

「これが答えだよ、とか言ったら怒る?」

俺は聞いてみた。
すると、マリーは耳で赤くして「もう、どこでそんな言葉覚えてきたの……!」と手をぶんぶん振ってご立腹になってしまった。

マリーのご機嫌を取るために、ここはしっかり言葉にもしておこう。

「マリー、俺もマリーのこと大好きだった」
「ふ、ふーん♪  知ってるわよ! そうやって、そうやって、まだわたしを恥ずかしがらせて楽しむ気なのね!」
「え? いや、マリーを本当に大好きだから、しっかり言葉にしておこうと思って」

マリーが聖女として、個人である俺に好きという感情を向けないよう、頑張っていたのだ。

俺が言葉にしなければ、男がすたる。

「あー! もう、マックス、口を閉じなさい! わたしだけこんなに嬉しくて、恥ずかしがらせるなんて、マックスは、ほんとうに悪いマックスだわ!」

マリーはそう言うと、俺の脇に手をさして、俺を持ちあげて、壁際に叩きつけてきた。

「ぐへっ」

聖女様はよろめく俺を壁ドンしで固定してくる。

「待たせたぶん、返してもらうわよ」

この後、俺はつま先だちしてくるマリーに、たくさん好き好きアピールのちゅーをされてしまった。

レベル差100の前では、俺はただマリー尊さに、断続的に気絶しておもちゃにされるしかないのであった。

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