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【完結】努力の怪物が指パッチンを極めたら世界最強に〜スキル【収納】の発動を指パッチンに″限定″したら無限の可能性が待っていた〜

ノベルバユーザー542862

第69話 お忍び聖女


ーー数日後

初日以降、聖女が引き起こしてしまう尊さ災害に気をつけて、俺やマリーはアクアテリアスの観光を楽しんでいた。

その多くは治安が良い『灯台』の中、さらには神殿の目が届く『上層』と『中層』に限定されていた。

もっとも、聖女といえど『上層』を自由に歩きまわる事はできず、神殿勢力の上位会派のひとつ『星海会議せいかいかいぎ』に属する神官の案内によってのみ、『上層』の見学は叶った。

夜間『灯台』の内側を明るく照らす、天井部の巨大魔力灯『ランダル灯』や、太陽の光を取りこむために随所に設けられた特殊機構のかずかずは、俺たちに『聖都』の持つ、ひとつ頭のぬけた技術力を感じさせた。

また俺たちは、ちまたでちょっと話題になった放火魔の身内をかくまうことにも専念していた。

オーウェンとデイジーと俺の3人のうち、必ず誰かひとりがジークと一緒にいて勝手な行動をさせずに、宿屋にて軟禁した。たまにカフェに連れ出して気分転換させたりもしたが、基本的には宿屋だ。

ジークが言うには、彼は聖女を助けて、その事件の一環として建物に火をつけてしまったらしい……。口ではこう言ってる。

聖女が俺のもとへ、お礼を言いに来ると言うので、一応はまだ軟禁にとどめているが、俺たちの宿屋には、今のところその聖女とやらはやってきてない。

神殿にいるのかもしれないが、ここ最近は俺は、自分の足で神殿へはいけていない。
なぜなら、ここのところ、聖女の命が、立て続けに何者かに狙われる不穏な事件が発生しているためだ。

それぞれの都市と、神殿勢力は自分たちの聖女を、得体の知れない敵から守るために、厳重に囲い、強固な防衛網をしいている。

ゆえに神官以上の階位がないと、神殿内を自由に歩き回ることは出来なくなってしまった。

そのために俺などの『聖女の騎士』たちは、神殿に入れなくなってしまったのだ。
おそらく、神官が指揮をとる神殿騎士より、自由に動けてしまうため、そのことが他の都市からの不信を集めるためだろう。

厳重な警戒態勢をとるのは、何も他の都市だけではないので、一応、納得はできる。
ジークタリアスは神殿騎士たちと、俺たち護衛者の宿屋を『余剰街』から『灯台』のなかに移して、当番制で神殿から100メートル離れた公園にて密かに待機するようにしている。

何か起こっても、すぐに対処できる人員を増やしたのだ。

神殿に近づきすぎると、ほかの都市、ほかの聖女や巫女たちに余計な懸念をもたれるので、細心の注意を払わないといけない。

というのも、すべては不信感を煽るデマが広がったせいだ。

各都市を代表してきてる、それぞれの遠征隊たちのなかで「ほかの都市が話題と求心を独占するために、ウチの聖女を殺そうとしてる!」などと言い出したところがあり、そのせいで今では、神殿勢力内でも穏やかじゃない空気が流れてしまっているのだ。

そんなくだらない事のため、聖女暗殺などというリスクを、都市単位で背負うはずがないのに……愚かなことである。

ただ、まあ、幸いにもウチの聖女様は日頃の鍛錬のおかげで、銀狼流は″上鬼″の剣術等級を獲得、つい先日レベル100にもなった。

マリーを殺せる暗殺者などいない。

正直言って、たくましく育ちすぎて俺がいなくてもほとんどの脅威に対処できる感じになってしまってるが、そこはご愛嬌だ。


⌛︎⌛︎⌛︎


ーー神聖祭、前日

時刻は午前10時をまわったところ、

俺とオーウェン、ジークのパーティ男衆は『灯台』内のカフェで時間を潰していた。
あともう20分かそこいらで、神殿近くの公園で護衛任務についてるパスカルとラザニアと交代して、聖女護衛の任につかないといけない。

「ブルー・アクアテリアス」

相変わらず高い泥水をすするオーウェンを横目に、あれは砂糖たっぷりの甘い紅茶をのむ。

これを飲んだら行くか。

ご主人マスター、僕はほんとうに何もしてないんだぞ……ほんとうに聖女を助けたんだ……」

席に座り、そうつぶやきながら、ジークはショートケーキをフォークでつつく。

ここ数日、放火の容疑をかけられて、俺たちに軟禁されてからずっと言っている。

信じてやりたいが、こいつは前科持ちだ。

「ジーク、聖女がお礼に来てくれるって言ってたんだろ? なら平気だ。いつか容疑は晴れるさ」

俺はジークの頭をひとなでした。

「もしもし、そちらの方!」

「ん?」

声をかけてられて首だけ振り向くと、そこにこちらを見つめる美しい少女が立っている事に気がついた。

「あなたがマクスウェル様ですか?」
「はい、そうです。俺がマクスウェル・ダークエコーです」
「あ、やっぱりそうなんですね! ウィンダは探しましたよ!」

物腰柔らかな口調。
喋るだけで包み込んでくるような尊さ。

直感的に俺は思う。
あ、この子、聖女だ。

「聖女様だ! ご主人マスター、僕はこの女の子を助けたんだぞ! ついに来たんだ!」

しょぼくれていたジークは大喜びで聖女のもとへ行き、俺へ彼女を紹介した。

俺とオーウェンは、お互い知っている間らしいジークと聖女から、彼女が聖女である証、ジークがまじで聖女をピンチから助けていた話、その日なにがあったのかなどを聞いた。

彼女の名前はウィンダ。
緑の髪と、透き通る水のような瞳が
【豊穣の聖女】という名を聞いて、俺とオーウェン、そしてジークもが、彼女がかの有名な『奇跡の少女』であると知った。

『奇跡の少女』とは、痩せ細り、荒野とかした不毛の土地を、祈りで水と緑あふれる豊かな土地に再生させた事に起因する偉大なる異名だ。

俺たちは、その事を知ってから、かしまりまくりながら、腰を低くして聖女ウィンダにおうじた。

「マクスウェル様、ジーク様。先日はウィンダ達をお救いくださったのに、すぐにお礼に参れず申し訳ございません……」
「いやいやいや、そんな事謝らなくていいですってウィンダ様」

ペコリと頭を下げてくるウィンダへ、俺は慌てて顔をあげさせる。

こんなところ他人に見られたら、ほんとうに殺さねかねない。

ウィンダは顔をあげてからも、申し訳なさそうにして、すぐに来れなかった理由を話してくれた。

聖女襲撃事件のあと、どうやら彼女の住む新興都市ミラエノアスは、偉大なる救世主である彼女の身を案じて、ウィンダが神殿の外へ出ることを良しとしなかったらしい。

今日は仲の良い神官達の手を借りて、神殿を抜け出し、ここまで出てきたんだとか。

「ウィンダ様、お連れの方はいないんですか?」

俺がそう聞くと、ウィンダは首を縦に振った。

まずい。
こんな時期にお忍びで、他都市の勢力のもとに来てしまうなんて……危うすぎるぞ。

俺は頭を悩ませた。

目の前の聖女は、俺やジークに礼を言うために来てくれた。

その事はとても嬉しい。
素直に喜べることだが、この先が不安だ。

「マックス。そろそろ行こう」

ニコニコして楽しく話すウィンダに構わず、オーウェンは時計を見て言った。

楽観的な彼女に対処する為、我が幼馴染は助け舟をだしてくれたようだ。

「まあまあ、マクスウェル様たちはこれからお仕事なのですね!」
「そうなんですよ、ウィンダ様。偶然にも、神殿近くまで行く予定なので、ウィンダ様が神殿へ帰れるように、我々のほうで護衛させていただきます。よろしいですか?」
「まあまあ、それは嬉しいことなのですよ。ウィンダはぜひお願いしようと思っていたのですよ!」

ウィンダは俺たちの護衛を快諾してくれた。

神殿の監視員をかわるため、そしてウィンダを無事に神殿に返してあげる為、俺とオーウェンとジークは、彼女を連れて神殿へとむかった。


⌛︎⌛︎⌛︎


聖女ウィンダを連れて、神殿へ向かう道中。

一般市民に変装した俺たち3人は、帽子をかぶって変装する気のない変装のせいで目立つウィンダによって、尊さ災害が起きないようしながら、慎重に道を選んですすんだ。

「あ、そうだ、いけません!」
「え?」

人気のない建物の路地を進んでいると、ふとウィンダが手をポンっとうった、

「ジーク様の主人がマクスウェル様ということで、ここはマクスウェル様に贈り物を用意したのでした。ウィンダはうっかりしてると、よくロンに言われているのに、また忘れてしまうなんて」

ウィンダはそう言うと【豊穣の女神】としての貫禄をみせつけるとてつもない迫力の胸の谷間から、謎の小動物を取りだした。

意味不明の現象に、俺もオーウェンも思わず固まる。

もっとも俺は、危うく尊さに死にかけた事に対する我慢という意味での硬直だが。
ありがとうございました。

「うちの子が、たくさん子どもを産んだので、マクスウェル様にもこの珍しい動物をあげましょう。女の子なら、みんなこの可愛い、ぶてっとしたフォルムが大好きなはずですから、きっとマクスウェル様も好きな女の子にプレゼントしたら、喜ばれますよ!」

ウィンダはそう言って、遠慮なくその小動物を俺の手に乗せてきた。

その谷間で眠ってたんだよね?
なんか凄い温かいんだけど、こんな素晴らしいもの素手でさわって怒られないかな?

いくつか懸念はあったが、俺は小動物を受け取る事にした。

「ちなみに遠い国では、ハムスターと呼ばれてる珍獣なのですよ」
「ハムスター、ですか」

俺は手乗りするハムスターをじっと眺めて、ありがたく受け取ることにした。

プレゼントのセンス。
収納場所。

これが他都市の聖女様か。
流石に俺のような一般の常識にはおさまらない凄まじさだ。

いや、お胸の大きさとかじゃなくて。

「マックス、鼻血が出ているぞ」
「まあまあ! これはいけません!」

オーウェンの指摘にウィンダはすぐに寄ってきて、ハンカチを俺の鼻に押し当ててくれた。

「だ、大丈夫です……行きましょう」


その後、しばらく歩き、俺たちは無事にウィンダを神殿に到着した。


ウィンダを神殿に送り届けると、すぐにハッとした顔の神官たちと、武装した神殿騎士たちが走ってきた。

その数、数十人。

なんとなーく、嫌な予感をしながら俺はハンカチで鼻を押さえながら、彼らと対面する。

俺は誤解される前に、すぐに弁明にはいった。

「んっん、勘違いしないで欲しいのですが、私たちは別に怪しい者ではなくてですねーー」

「聖女様ぁあああああ!? 聖女様が帰ってこられたぞおおおお!」
「今すぐにウィンダ様から離れろ、下郎!」
「神殿騎士まえへ! 聖女様をお救いするのだぁあああああ!」

話をする間もなく、神殿騎士たちに取り囲まれて、斬り込み隊長の矢が飛んでくる。

容赦ない攻撃。
俺はウィンダを守るべく覆いかぶさった。

こいつら馬鹿なのか?

俺は自分たちの聖女の命を案ずるばかり暴走する者たちに呆れる。

矢はオーウェンが素手で掴み取って、止めてくれた。

「ッ、素手だと……!」
「賊が舐めたマネを……ッ!」
「殺せ! 今すぐに聖女様をお救いしろ!」
「覚悟ぉおおお!」

「みんなやめてください! ウィンダは無事です、何もありませんから!」

ウィンダは慌てて戦いを止めに叫ぶ。

「そこでジッとしていてくだいませ、ウィンダ様!」

ただ、こいつら話を聞かない。

「チッ……オーウェン」
「ああ」

俺はイライラしながら指を鳴らして……ポケット空間から、預かっていたオーウェンの魔剣を排出した。

オーウェンはすかさず魔剣を手に取り、抜刀すると、詰めてきた神殿騎士の剣を弾いてみせた。

ーーギィン!

甲高い音が響いて、神殿騎士たちの目の色が驚愕にかわる。

同時に、神殿の中から凄まじい勢いで走りこんでくる青年を俺は視界にとらえる。

「ロンギヌス、前へ! 敵は手練れだが、なんとしても聖女様をお救いするのだ!」

その声がどこからか聞こえると、青年は跳躍して俺たちのまえへ降りたった。

「賊は3人。あの時、俺を撃ち倒した奇妙な男もまじっている。ぐっ! 貴様ら、よくもウィンダ様をさらってくれたな! もはや容赦はしない!」

「いや、だから話を聞いてほしーー」

「死ねええ!!」

有無を言わせない青年騎士は剣を構えて、飛び込んできた。

話を聞かねぇ野郎どもだ。
もうやるしかない。

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