話題のラノベや投稿小説を無料で読むならノベルバ

【完結】努力の怪物が指パッチンを極めたら世界最強に〜スキル【収納】の発動を指パッチンに″限定″したら無限の可能性が待っていた〜

ノベルバユーザー542862

第68話 ドラゴンパンチ 後編


路地裏が静まりかえる。

聖女を狙う暗殺者。
それを迎撃する護衛騎士。

誰も彼もが、目をむいて怒るジークにかつもくしていた。

ジークは氷のように輝く髪をかきあげて歩きだす。

「オレを怒らせたな」

低い声でジークは言った。
彼の傷ついた肩は、時間が巻き戻るかのような、血の汚れすら消えて、みるみるうちに再生していく。

「馬鹿な……! 治癒霊薬を使ってもいないのになぜ……!」
「毒が効かないのか?!」

ありえない現象の連続に、暗殺者たちは動揺を隠せていない。

暗殺者の使う毒は、効果にそれだけの信頼があるから実際の現場でも使用されている。

ゆえに彼らにとって、ジークという存在は経験したことのない恐怖でしかないのであった。

「ひとりも逃がさない」

ジークは腰を落とし前傾姿勢になった。

直線の路地裏。
敵の位置をジークは把握する。

ジークの手前に、青年騎士を相手していた暗殺者が2人。

その奥、青年騎士のいくらか後方に、暗殺者が3人、聖女と護衛騎士をはさんでさらに3人もの暗殺者がいる。

ジークはそれぞれの位置を、立体的かつ高い知能で理解して、地面をふみきった。

湿った路地の石畳みが、加えられた衝撃に耐えられず破裂する。人を越えた筋力によって、ジークの体が弾きだされた。

まずは手前の暗殺者2人。

ジークの速さに、まったく反応できていないその者たちの顔面を、ジークはそれぞれわし掴みして強引に地面に頭を叩きつけさせた。

「ぐはあ?!」
「あ、がぁッ!」

一瞬で2人を無力化したジークと、青年騎士の目があう。

青年騎士は恐怖か、守るべき者のためか、ためらわずにジークへと斬りかかった。

ジークは斬撃を身を翻してかわすと、宙空へ投げておいた蒼い大杖をキャッチした。
高い戦闘能力に青年騎士は、目の前の男が戦える者だと判断する。

4、5回打ち合い、勝負はついた。
ジークがオーウェンに教わった棒術で刃をはらって、杖先で青年ののどを突いたのだ。

「ぐはっ! 速すぎる……ぐ、ぅ」

人類を超越した骨格と筋肉が、洗練された技術をあつかえば、もはや止められる者はいない。その証明であった。

ジークは青年騎士が気を失うのを優しく抱きとめ地面に寝かした。

暗殺者と騎士、両方を一瞬で無力化したジークに、路地裏の人間たちは、いきなり現れた目の前の人物が自分たちの味方なのか、敵なのかわからなくなっていた。

「チッ、いったん引くぞ! あんな訳の分からないのに、殺されてたまるか!」

暗殺者たちのリーダーは、口笛を吹き、倒れた仲間を置いて壁をつたって屋上へと逃げていく。

ジークは撃ち落としたい気持ちもあったが、それよりも正義をなしたいという理性を優先した。

面倒なことにならないように、無力化した青年騎士を抱えて、ジークは聖女のもとへ向かう。

護衛騎士たちが、あわてて聖女のまえを固めて、剣を構えてくる。

「止まれえ! それ以上、近づくな!」

警告する騎士。

「敵じゃない。彼のことはすまないな。攻撃されたので、反撃してしまった」

ジークはそう言いいながら、騎士たちの目の前で、青年騎士を地面に寝かした。

「あの……どちら様なのですか? あなたはウィンダたちを助けてくれたように見えますが?」

護衛騎士たちに手でさがるよう指示しながら、聖女はまえへ進みでてくる。

爽やかな緑髪、透き通る水の瞳。
豊かな胸を窮屈そうに服に押しこむ彼女は、ジークの目には狂いなく尊さの塊、キラキラとした美しさの源泉として映っていた。

ただ、今は″裏″なのでそこまで低知能な喜びかたをしない。

静かに拳を握るだけだ。

「オレの名はジーク。ジークタリアスの『聖女の騎士』マクスウェル・ダークエコーに仕えているドラゴンだ」
「まあ! あなたはドラゴンなのですか? それは凄いのですね。人がドラゴンを従えているなんて……あなたは、そのマクスウェル様の指示で助けに参られたのですか?」

ジークは考える。

本能に従い、勝手に聖女探しをはじめてしまった手前、ご主人マスターに何か手土産をもっていったほうがいい、と。

そのため、

「そうだ。オレは我が主人の言いつけに従い、正義を成した。危機に陥った聖女様を救うという、な」

ジークはマックスに名声というお土産を持って帰ることにした。

(フッハハハっ、これはきっとご主人マスターも喜ぶに違いない。それに何より、自分の主人の名声を稼ぐのは、しもべの役目のようなモノ。何も間違えた行動ではなかったな)

「まあまあ! ウィンダは感激してしまいました! ジーク様、ありがとうございます!」
「フッ、なにも感謝されることなどない。当たり前のことをしただけだ」
「なんと気高い生き方なのでしょう。ウィンダはもう『灯台』に戻らなければなりませんが、もしよかったら、あなたのご主人にも、お礼を言っておいてくださいね。アクアテリアスにいる間に、必ずお礼をしに参ります!」

聖女ーーウィンダは、血まみれでわりと怖い感じのジークの手をがしっと掴みそう言い、護衛騎士たちに連れられて小走りで『灯台』へと避難していった。

ジークはうっすら温かい手を見下ろす。

「……いいな。やっぱり、慈善を積むと心が満たされる」

ジークは交尾とはいかずとも、美しき聖女と触れあえたことに満足していた。

「さて」

ジークは屋根上を見つめ、つま先だけの力で一気に空へ舞いあがる。

そして、屋根上に残る暗殺者たちの匂いを追跡しはじめた。


⌛︎⌛︎⌛︎


『余剰街』の一角。
打ち捨てられた建物がいくつか並ぶ、そのひとつの部屋に暗殺者たちはたむろしていた。

今しがた道を何通りにも迂回して、逃走してきたばかりで、みな疲労が溜まっている。

暗殺者はアジトを知られればおしまいだ。

そのため、撤退する時に一番気を使い、直でアジトへは戻らずに、追手を巻いてから帰る必要があるのだ。

ただ、気を使ったからといって、すべての追跡をかわせるわけではない。

ーーバゴンっ、

「見つけたぞ、お前たち」

「?!」
「なっ!」

6人の暗殺者がびっくりして、玄関から堂々と侵入してきたジークへ視線をむけた。

「ど、どうしてここがわかった!?」

「ドラゴンからは逃げられない」

ジークは一言だけ答えて、蒼い大杖の先端に火炎を凝縮させていく。

炎熱の明かりに、薄暗い室内が一気に明るくなっていき、暗殺者のリーダーは顔を引きつらせた。

「た、頼む、許して、くれ……!」

「……」

ジークは火炎の球をいつでも撃てるようにしながら、考えてみることにした。

暗殺者たちは、あくまで実行部隊だ。
彼らはプロフェッショナルがなんとかって言っていたから、おそらくは雇われたのだろう。

ならば、本当の罪は雇い主にこそ償わせるべきなのではないか?

「雇い主は誰だ?」

「それは、わからねぇ、俺の衆は雇い主と面識を持たないようにして、依頼のやり取りをすんだ……だから、わからねえ!」

暗殺者のリーダーは、諦めた顔でゆっくりと後退して棚を背に床に尻餅をついた。

と、その時。

「ドラァ!」

暗殺者のリーダーは、棚の底に隠してあった短剣を素早い動作でジークへ投げつけた。

熟練の軌道で、その刃は寸分違わずジークの眉間へ、飛んでいく。

ジークはとっさの攻撃を、その目でじーっと眺めて、ひょいっと首を振って避けた。

「あ、が……ッ?!」

ドラゴンは動体視力も優れているのだ。

「なにやってんすか、リーダー?!」
「今、話せば許してもらえそうな感じだったのにっ!」

暗殺者たちが得物を手にして、いっせいにジークへ飛びかかっていく。

ジークは無表情のまま、蒼い大杖をかたむけて、火炎を6つにわけて射撃した。

すべての魔力弾が暗殺者を貫いて、燃え上がらせてしまった。

「……ふぅ、よっし、聖女様に会いにいくんだぞ!」

ジークは火災が発生した家の前を、意気揚々と歩きだした。

どうやら″表″に戻ったようだ。

ーー3分後

「ジーク! 確保ぉお!」

マックスは叫びながら、指を鳴らして遠目に発見したジークを気絶させた。

「今すぐに火を消しなさいよ、この馬鹿ドラゴン! また聖女へ、あいびきのために火を放ってるんでしょ!」
「ジーク後輩、理由もなく家燃やしちゃだめですよ! 捕まっちゃいますよ!」

「さあ、マックス、俺のコーヒーを返すんだ」

ジークは無事、マックス達に確保された。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「面白い!」「面白くなりそう!」
「続きが気になる!「更新してくれ!」

そう思ってくれたら、広告の下にある評価の星「☆☆☆」を「★★★」にしてフィードバックしてほしいです!

ほんとうに大事なポイントです!
評価してもらえると、続きを書くモチベがめっちゃ上がるので最高の応援になります!

「【完結】努力の怪物が指パッチンを極めたら世界最強に〜スキル【収納】の発動を指パッチンに″限定″したら無限の可能性が待っていた〜」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く