【完結】努力の怪物が指パッチンを極めたら世界最強に〜スキル【収納】の発動を指パッチンに″限定″したら無限の可能性が待っていた〜
第47話 花見をしよう
翌朝。
まどろみながら肉体に備えつけられた目覚ましにしたがい、俺は武器屋をでた。
寝ぼけまなこを擦り、神官たちに挨拶しながら、マリーを起こしにいく。
本日のマリーもやはり、目覚めが悪かった。
俺もめちゃくちゃ眠いのに、こうも気持ちよく眠られると、こっちまで睡魔が力を取り戻してしまう。
加えて厄介なのは、手のひらから伝わる温かさと、きめ細かな髪のあまりの触り心地の良さ。
「むにゃむにゃ、これは、ちょっと、まずい……がくっ」
俺は半ば眠りながら、マリーの頭を優しく撫でつづけた。
⌛︎⌛︎⌛︎
壊れものを慈しむ優しさに溢れた手が頭を撫でてくれる。
毎朝の楽しみのひとつに、ニヤける顔を枕で隠して、本日も【施しの聖女】は最高に幸せな時間を楽しんでいた。
(誰にもとがめられずに、マックスと触れあえるチャンス。いつもは申し訳なさに起きちゃうけど、今日はこのまま昼まで起きないつもりなんだから!)
ゆっくりと動かされる手のひらから伝わる温かさに、極楽の気分にひたるマリー。
まずい、顔が満面の笑みになっているのがバレてしまう。と、マリーは悶えたい気持ちを押し殺して、少年の時間を奪ってしまうことへの罪悪感に顔をそむけながら、ひたすら世界で最も大切な彼との時間を楽しむ。
果たして″触れ合い″にカウントされるのか謎の時間は、しばし続きーーふと、マリーは自身の頭をなでる手が、自身の頭に乗せられたまま動かなくなったことに気がついた。
(え、あれ? これどういう状態?)
困惑しながら枕に顔をうずめた姿勢で動けないマリー。
1分、2分、3分経ってもマックスの手は動かず。
後頭部に蓄積されるぬくもりだけが高まっていく。
マリーは恐る恐る、頭をずるずる動かして、マックスのほうへと顔をむけた。
「っ」
鼻先で心地良さそうに寝息をたてる顔。
いつまでも見ていられる絶景だった。
マリーは息を忘れて凝視する。
ピクピクしたまぶたの動き、鼻先の輪郭、唇の開き加減、彼自身の匂いにいたるまで、ここまで間近で観察できる機会はそうそうにない。
(なんたる事なのっ! はぁ……大人びてカッコよくなりすぎちゃったけど、寝ていると昔のままだわっ!)
ひとり大興奮する聖女は内心で踊りながら、マックスの寝顔をまぶたに必死に焼きつけた。
⌛︎⌛︎⌛︎
その日の午後、ジークタリアスでは多くの市民が、街の復興作業の英気を養うため、お花見へと挑んでいた。
桜の木はたったひとつ。
それを楽しみにする人間は、あまりにも多い。
ゆえ、花見は1日を通して代わる代わる行われて、夜になるまでそれは続いた。
ーーカチッ
時刻は19時20分。
指を弾いて懐中時計をしまい、俺は魔力灯で照らされた夜桜のもとへ向かった。
東の丘にたどりつくと、そこはまだ大勢の人で賑わっていた。
俺が期待した静かな夜のなかで、聖女とふたりきり、しっぽりとロマンチックな空気を楽しむ期待は見事、筋肉を見せびらかす神威の騎士と、ジークタリアスの男衆によって打ち砕かれる。
あいつらめ、マリーがこの時間に花見をするからって、わざわざ時間を合わせたな。
「なんという邪魔者だ……」
「邪魔者っ! ご主人、僕なら焼き尽くそうか!」
「なんでお前もついてきたんだ……」
お前も邪魔者のひとりだよ、とジークに言ってやりたい。
「あ、マックス! 来たのね、て……あぁあ! ちょっとその男!」
照らされる夜桜をバックに。
夜でも可憐なマリーは、こちらへ走り寄ってくるなり、アホ顔をさらすジークへ指を突きつけた。
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