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【完結】努力の怪物が指パッチンを極めたら世界最強に〜スキル【収納】の発動を指パッチンに″限定″したら無限の可能性が待っていた〜

ノベルバユーザー542862

第44話 霧街の孤影 中編


暗い。

ただ暗かった。

ーーパチン

見えない視界のなか、さっき男が立っていただろう場所の、距離を思いだして、あてずっぽうに嵐を召喚する。

「……」

風が一瞬だけど吹き抜けていくのみ。

静かだ。
当たっていない。
というか、まわりに人の気配が感じられない。

「オーウェン。……オーウェン?」

声をかけるが、すぐ近くいたはずのオーウェンからの返事もない。

「ん、明るくなったな」

困惑していると、突如として炎の明るさが視界にもどってきた。

暖色に照らされるあたりを見渡すと、ここがさっきまで俺がいた桜の木の植木部屋ではないとわかった。

四方を無骨で無装飾な壁に囲まれている。

扉は見当たらず、また天井を見上げてもどこかに入り口があるようには思えない。

密室みしつ、って奴だろうか。

「というより、設計ミス? 出入りには壁でも叩き壊せってことか?」

誰ともない誰かへ問いかけると、声が返ってくる。

「やぁやぁ、待たせたね、申し訳ない」

さっきの男だ。

目を離した隙に俺の背後数メートル先に、ぽんっと姿を現していた。

「どうしてもが出来てしまうのは仕方ないことでね。ーーだが、これで必要は満たした。今から殺すが、恨まないでくれよ?」

男はさわやかな笑みを浮かべて、細身の剣をぬいた。


⌛︎⌛︎⌛︎


「どういう手品だ?」

一瞬の闇から解放された時、オーウェンはすかさず現れた男へとたずねていた。

その男は、髪が長くボサボサで、身体が細く、死人のような印象を見るものにいだかせた。
扉のまえに立つ、そんな幽鬼は、ニヤリと微笑み「さぁ?」と答えると、腰の剣に手をかける。

オーウェンは隣からマックスと、ジークの姿がなくなっていることを気にしながら、ほかに何か変わった事がないかさりげなく確認。

変化がマックスたちの消失だけだと確かめ、男へと向き直る。

「実はね、この部屋の門番を務めさせていたのは、それなりに腕のたつ者たちだったんだよ。それなのに、まるで争った形跡なく、狭い廊下で2人とも無力化されてる。君たちには手応えのない戦士だったかもしれない……どうだい、少しはほめめてるんだが、名乗ってみてはくれないかな、アッパー街の剣士さん?」

「名を尋ねるなら、自分から名乗れ」

オーウェンは表情を変えず、淡々とかえす。

「ふむ、言われてみれば確かに、それが礼儀か。いやはや、犯罪者とわかってるだろうわたしに礼儀など……しかしてそれも一興か」

男は剣を抜き放ち、体に染みついた作法にのっとり、剣を縦に立てて持った。

「私の名はドゥア。この街では『孤影こえい騎士きし』とも呼ばれてる。二つ名のとおり、かつては神殿につかえていたこともあったが……もうずっと昔のことだ」

「ドゥアか、覚えた。うえに戻ったらお前の顛末てんまつを神殿に届けるのもいいだろう。ボトム街の濃い霧のなかで、魔剣のオーウェンに切り捨てられたと」

「っ、まさか貴様がオーウェンか。変わった剣を持っているとは思ったが、てっきりかの例の剣士のマネをしてるだけかと……にしても若いな。ん、いやはや、失礼した、戦いに年齢など関係あるまい。こんなところで『剣豪』と殺し合いできるなんて、光栄のいたりじゃないか」

ドゥアは綺麗にお辞儀をして、剣を脱力した片手にもって力なくさげた。

(両手で持たない……血鬼けっき流を修めている剣士か。珍しいな)

オーウェンはかつて戦った″血の剣士″たちとの記憶を呼び起こし、その特有の苛烈なる早業を思い出す。

2人の剣士のあいだを揺れる松明の炎が照らす。

影がおどり、桃の花びらゆったりと重力にまかせて、地に向かう。

桜を背後にしたオーウェンと、扉をふさぐドゥアが動きだしたのは同時だった。

「ハッ!」
「スゥッ」

床を蹴ってせまるオーウェンが、下段に構えていた刀を素早く斬りあげる。

対してドゥアは、突進の速さを乗せた、高速の突きを中断。オーウェンの速斬りに警戒したのだ。

咄嗟に『剣豪』の斬撃予測線に刃をはさんで、オーウェンの初撃を凌いだ。

(この若造、速い)

ドゥアはオーウェンを″本物″だと判断する。

斬りあげを刃を弾き、一歩引こうとするドゥア。

「逃がさない」

オーウェンはすかさず一歩詰めて、刀の切っ先を勢いよく突きだした。

ドゥアは首をふり避けるが、耳が半分ほど吹き飛ばされ、完全な回避とはいかない。

後退を諦めたドゥア。

脱力した腕をしならせて、むちのような剣撃を、オーウェンの首筋に走らせる。

オーウェンは若干の猶予をもってガード。

ある程度の相手の剣の感触をつかんだあたりで、一旦仕切り直すべく、大きく間合いをあけた。

ドゥアは息をひとつ吐いて、剣を持つ手を切り替えた。

(両利きか)

オーウェンは頭のなかで思い描いた、ドゥアの可能な動きを一度バラして、組み立て直す。

右利きだけの剣士と、両利きの剣士では、繰り出せる技の数が根本的に違うための思考だ。

ドゥアが口を開く。

「強いな、流石は『剣豪』オーウェン。我流といわれながらも万人に力を認めさせた英雄だ。……いや、違ったか、今はただの″罪人″、そして私たちの仲間かな?」

「……」

剣先をさげ、ドゥアは敵の闇へと踏み込むことにしたようだ。

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たくさん更新したいので、1話あたりの文字数を少なくしてみることにしました。
実験的処置なので、続けるかはわかりません。ちなみに今日はあと2話くらい投稿しようと思ってます。
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