魔界の天使アルトラの国造り奮闘譚

ヒロノF

第41話 集落へ川を引くための火口の調査

 翌日。

 う~……頭が痛い……二日酔いだ……
 なんてことは酒飲んでないからあるわけもなく、いつものように起床。

 これから火山から川を通すに当たって、昨日、一昨日は合流させる予定の集落から離れた川を調査に行った。
 今日は川の源流、水源にする予定の火口を調査に行くとしよう。
 通称:我が家を出ると、子供たちがケルベロスとたわむれているのが目に入る。ここ最近はもう大人同伴で来るということも少なくなった。

「アルトラ様おはよう!」
「うん、おはよう!」
 子供たちと笑顔で朝の挨拶をし、集落へと移動。

 集落はまだ昨日のパーティーの余韻が残っており、片付けの真っ最中だ。私が就任スピーチで立った舞台も粗方片付けられている。
 食べきれなかったカトブレパス肉やその他の料理は、村人それぞれが切り分けて持ち帰ったらしい。
 さて、リーヴァントは……
 きっと避難所ね。

「リーヴァント!」
「アルトラ様! ごきげんよう!」
「今日の行動について知らせにきたよ。昨日、一昨日川の調査に行ったから、今日は火口に行ってくる」
「はい、いってらっしゃいませ、ただ相変わらず何をしに行くのか簡潔過ぎてわからないのですが……」

 そういえば私はいつもいつもどこかへ『行く』って言うだけ言って何も説明してないことが多い気がする……

「集落に川を引っ張るために火口を利用しようと思ってるの。水源として利用できるかどうか調査に行ってくる」
「あ、お待ちください、あの山には……ああ、行ってしまわれた……」

 ゲートでひとっ飛びとはいかないのが辛いところだ。多くのRPG同様、私の空間魔法ゲートも一度行ったことがある地点にしか行くことができない。
 そのため、最初の訪問は自分の足で行かなければならないことになる。火口まではおよそ50km。まあ飛んで行けば1時間はかからない。
 あ、一回我が家に帰って、そこから飛んだ方が近かったな……まあ良いか。
 空からとは言え、こうやって現況を把握するのも大事なことだ。

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 飛びながら下方を見てて気付く。火山に近付けば近付くほど草木が少なくなっていく。
 大地が灼熱だった所為せいだろう。それでも火山を冷やした後からは、疑似太陽の力も手伝ってか、徐々に緑が生い茂るようになってきた。
 まだまだ草の生え方がまばらなところが多いが、それでも私が初めて魔界ここにやってきた頃と比べれば、雲泥の差だ。
 最近は火山付近でも元々火に強かったガルム以外の生物を目にするようになった。川が出来れば更に様々な生物が増えてくることだろう。

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 火口に着いた。
 以前オルシンジテンに予測してもらった時に、今後100年は噴火が無いと言われていた場所だ。
 全く雨が降らなかった頃と比べると、最近は少ないものの雨が降る日も出てきた。私が強制的に豪雨を長時間降らせたことで、この辺りの気候が変わってしまったらしい。

 今日調べに来た山の高さはかなり低めで200mあるかどうかというところ。活火山としてはかなり低めだ。
 ちなみに後々オルシンジテンで調べたことによると、地球上で最も低い活火山は山口県にある笠山というところで112mしかないらしい。

 山頂の足場は大体5mくらいの幅の円、火山に開いた穴は40~50mくらい……かな?
 マグマは完全に冷えて、カルデラ湖のようになっている。
 カルデラ湖の水面までの深さは……15mってところかな。湖底まではどれくらい深いか上からじゃわからない。
 ちょっと潜って調べてみるか。

 ザパーン

 水は透き通ってかなり綺麗だ、草木が生え始めているところを見ると、硫酸とか硫化水素の心配も無さそう。科学的にもっとちゃんと調べれば色々成分は出てくるだろうけど……
 それでも、ここなら川の水源にしても大丈夫そうだ。
 水面から湖底までは10~15mというところ。

 ザパー

 服は濡れないけど、髪の毛は濡れるのよね……炎で乾かすか。こういう時に火耐性持ってると瞬時に乾かせて便利だわぁ。
 自分の身体に火着けるってのは、生前なら焼身自殺と取られ兼ねない行為だけど……

 炎を着ける前に濡れた髪を絞っていると――



 物の大きさの設定って難しいですね……
 山の大きさですが、今後変更があるかもしれません。

 次回は9月1日の20時頃の投稿を予定しています。
  第42話【vsレッドドラゴン・プリンス】

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