見た目は青年、心はアラサー、異世界に降り立つ! ~チートスキル「ストレージ」で異世界を満喫中~
二十三話
その戦いは一方的で、そして一瞬で決着がついた。
フーリが再び地面を蹴り、次のオークに接近して同じく首を刎ねる。更に次のオークの首を刎ね、更に次へ。
途中一匹のオークがフーリの攻撃のタイミングに合わせて、横から剣鉈を振り下ろそうとしたが、それはマリーの水魔法によって阻まれ、次の瞬間にはそのオークの首も刎ねられていた。
二人の息の合ったコンビネーション。それはまるで、二人で一人の戦士なのではないかと思ってしまう程見事な物だった。
そのまま数分の時が過ぎ、あっという間にオーク十匹の討伐が終わった。
「凄いな、二人共。俺の入る余地なんて全然ないぐらい、見事なコンビネーションだった」
流石はBランク冒険者。
身体能力はスキルで誤魔化せたとしても、こういう技術面において、俺は二人にまだまだ届かないな。
いやまあ、流石に転移してきて二週間ぐらいで追いつけるなんて微塵も思ってなかったけど。
「ああ、ありがとうカイト君」
「えへへ、なんだか照れますね」
フーリは軽く微笑み、マリーは照れ臭そうに笑った。
「俺も早く二人に追いつかないとな!」
俺が気合を入れなおすと、二人は一瞬呆気に取られ、次の瞬間納得がいったのか、軽く笑っていた。
「さて、それじゃあ早速素材を集めようか」
「そうだね。特にオーク肉! カイトさん、そういう事なので、出来るだけ多くお願いしますね」
オークだけにってか?
……ごめんって。そんな無言の圧を掛けて来なくてもいいじゃん。
怖いよマリー?
「さて、それじゃとりあえず収納っと」
周りに転がるオークの死骸に狙いを定め、ストレージを開いて収納する。
収納の瞬間、まるで地面に吸い込まれるかの様な絵面に、フーリとマリーが一瞬ビクッと体を強張らせていた。
「分かってはいるが、なかなか慣れないな」
「突然吸い込まれる様に消えるもんね」
まあ確かにストレージって周りから見たら何もない空間から物が出し入れされている様に見えるみたいだから、慣れるのにも時間がかかるだろうな。
ロザリーさんのアイテムボックスを始めて見た時に、俺も同じ事思ったもん。
さて、それはまあ置いといて、ストレージを確認しないとな。
ストレージ画面を開いて中身の確認をすると、そこには「オークの死骸」と「オークの頭」「オークの魔石」が十個ずつ増えていた。
あ、そうか。すっかり忘れていたけど、オークの魔石もあるんだったな。
とりあえずオークの魔石を選択し、スキル抽出を選ぶと……マジか。
これはある意味凄まじいスキルだ。そして男の永遠の夢と言っても過言ではないスキルだ。更に言えば、女の敵にもなり得るスキルでもある。
そのスキルの名は……「性豪」「絶倫」
うん、まさかこんなスキルがあるなんてな。
流石にこれを教えるのは気まずい。気まずいんだけど、かといって黙っている訳にもいかないし。
うーん、どうしたもんか。
「カイトさん、どうかしたんですか?」
俺が頭を悩ませ、うんうん唸っていると、その様子が気になったのか、マリーが心配そうに声をかけてきてくれた。
でも、こればっかりはなぁ。
うーん、何て説明すればいいのか。
「なあマリーさんや?」
「え、どうしたんですか? へんな呼び方をして」
俺の話し方がいつもと違うと感じたのか、マリーは若干引き気味になっている。
どうする? 正直に言うか?
……うん、当たって砕けろという言葉もあるし、ここは正直に言ってみよう。
「実は、オークの魔石なんだけど」
「オークの? あ、そういう事ですか。何か良いスキルでもあったんですか?」
「オークの魔石か。一体どんなスキルだったんだ?」
スキルという言葉を聞いて、隣のフーリも乗り気で尋ねてきた。
言うぞ、言うぞ!
「実は……特に何も付与されてなかったんだ! いやぁ、残念!」
ヘタレと笑いたければ笑え。
童貞歴三十年近いおっさんが、高校生ぐらいの年齢の子に「性豪」とか「絶倫」なんて言葉言える訳ねえだろ!
無茶言ってんじゃねえ!
「そうですか、残念ですね」
「ああ。だが、オークの肉が大量に手に入っただけで良しとしないとな」
俺の言う事をあっさり信じた二人は一瞬残念そうな表情になるも、オーク肉の事を思い出したのか、自然と笑顔になっていた。
そんなに嬉しいのかオーク肉。
それじゃあ改めてオークの死骸を確認してみるか。
オークの死骸にカーソルを合わせて確認しようとして、ふと思いついた。
これ分解すれば自動で解体とか出来ないかな?
考え着いたら、後は実行。俺は確信に近いものを感じながら、オークの死骸を分解してみた。
するとオークの死骸はオークの「血」「肉」「骨」「臓物」「皮」の五つに分解された。
やっぱりな、そういう気がしたんだ。
って事は、このオークの肉を木の串と合成すれば……やっぱり。
そこには「オーク肉の串焼き(生)」が出来ていた。
スキルはイメージ――つまり想像力が重要になるのだから、俺が分解で解体出来るかもって考えた時点で、その可能性はあるという事だ。
もちろんスキルで出来る範囲外の事は出来ないだろうけど。
さて、時間はおそらくお昼ぐらい。
ストレージの中には、街で買っておいた昼食と、今作った串焼き(生)が入っている。
丁度いい。
「なあ、二人共」
「何だ?」
「何ですか?」
ストレージ内の木材と木の串を確認し。
「今から食べるか? 串に刺して焼くぐらいなら出来るけど」
俺がそう言うと、二人の目の色が少しだけ輝いた。
「それは名案だな! どれ、解体は私に任せてくれ!」
フーリが腰の剣を引き抜きながらオークの解体を買って出て。
「なら私は串焼きの準備をしますね! カイトさん、串を貰えますか?」
マリーが串焼きの準備をすると言い出した。
あ、いかん。言葉足らずだったか。
「ああ、ごめん。実はもう解体も串焼きの準備も終わってるんだ」
「……何?」
俺の答えにフーリは怪訝そうな表情をした。
「……?」
そしてそれはマリーも同じようだった。うん、そうなるよね。
そりゃフーリ達から見たら、ただオークの死骸をストレージに回収しただけに見えるもんな。
「いや、実はストレージで分解してみたら自動で解体できちゃって。ちょと確認して貰えるか?」
俺はストレージから木材を取り出して足元に敷き、その上にオークの肉を取り出した。
するとそこに「ズシンッ」という音と共に大きなオーク肉の塊が現れた。
ほう、これはまた綺麗な出来栄えだな。
「……本当に解体出来ているな」
フーリはしばらくオーク肉を見つめていたが、やがてその視線はオーク肉から俺に移った。
「カイト君。すまないが、他の素材を見せて貰えるか?」
「他の素材? オークのって事か?」
俺が尋ねると、フーリは小さく頷きながら「ああ」と答えたので、ストレージから残りの素材を取り出す事にした。
えー皮と骨、そして血と臓物……なんか物騒な響きになってしまったな。まあいいや。
それらを取り出そうとして、ふと問題に気付いた。
血を入れる器が無い。
他の物は単純に木材を敷けばいいが、血はそうはいかない。ポーション用の瓶は空きが無いし、かといって木のコップにオークの血は、気分的に入れたくない。
何か器になりそうな物を作らないと。
えーっと、ガラスはあるから、それでビーカーでも作るか。
ガラスを選択し、合成を……あれ? 合成が見当たらない?
気がついたらストレージからは「合成」のコマンドが消えており、代わりに「生産」というコマンドが増えていた。
フーリが再び地面を蹴り、次のオークに接近して同じく首を刎ねる。更に次のオークの首を刎ね、更に次へ。
途中一匹のオークがフーリの攻撃のタイミングに合わせて、横から剣鉈を振り下ろそうとしたが、それはマリーの水魔法によって阻まれ、次の瞬間にはそのオークの首も刎ねられていた。
二人の息の合ったコンビネーション。それはまるで、二人で一人の戦士なのではないかと思ってしまう程見事な物だった。
そのまま数分の時が過ぎ、あっという間にオーク十匹の討伐が終わった。
「凄いな、二人共。俺の入る余地なんて全然ないぐらい、見事なコンビネーションだった」
流石はBランク冒険者。
身体能力はスキルで誤魔化せたとしても、こういう技術面において、俺は二人にまだまだ届かないな。
いやまあ、流石に転移してきて二週間ぐらいで追いつけるなんて微塵も思ってなかったけど。
「ああ、ありがとうカイト君」
「えへへ、なんだか照れますね」
フーリは軽く微笑み、マリーは照れ臭そうに笑った。
「俺も早く二人に追いつかないとな!」
俺が気合を入れなおすと、二人は一瞬呆気に取られ、次の瞬間納得がいったのか、軽く笑っていた。
「さて、それじゃあ早速素材を集めようか」
「そうだね。特にオーク肉! カイトさん、そういう事なので、出来るだけ多くお願いしますね」
オークだけにってか?
……ごめんって。そんな無言の圧を掛けて来なくてもいいじゃん。
怖いよマリー?
「さて、それじゃとりあえず収納っと」
周りに転がるオークの死骸に狙いを定め、ストレージを開いて収納する。
収納の瞬間、まるで地面に吸い込まれるかの様な絵面に、フーリとマリーが一瞬ビクッと体を強張らせていた。
「分かってはいるが、なかなか慣れないな」
「突然吸い込まれる様に消えるもんね」
まあ確かにストレージって周りから見たら何もない空間から物が出し入れされている様に見えるみたいだから、慣れるのにも時間がかかるだろうな。
ロザリーさんのアイテムボックスを始めて見た時に、俺も同じ事思ったもん。
さて、それはまあ置いといて、ストレージを確認しないとな。
ストレージ画面を開いて中身の確認をすると、そこには「オークの死骸」と「オークの頭」「オークの魔石」が十個ずつ増えていた。
あ、そうか。すっかり忘れていたけど、オークの魔石もあるんだったな。
とりあえずオークの魔石を選択し、スキル抽出を選ぶと……マジか。
これはある意味凄まじいスキルだ。そして男の永遠の夢と言っても過言ではないスキルだ。更に言えば、女の敵にもなり得るスキルでもある。
そのスキルの名は……「性豪」「絶倫」
うん、まさかこんなスキルがあるなんてな。
流石にこれを教えるのは気まずい。気まずいんだけど、かといって黙っている訳にもいかないし。
うーん、どうしたもんか。
「カイトさん、どうかしたんですか?」
俺が頭を悩ませ、うんうん唸っていると、その様子が気になったのか、マリーが心配そうに声をかけてきてくれた。
でも、こればっかりはなぁ。
うーん、何て説明すればいいのか。
「なあマリーさんや?」
「え、どうしたんですか? へんな呼び方をして」
俺の話し方がいつもと違うと感じたのか、マリーは若干引き気味になっている。
どうする? 正直に言うか?
……うん、当たって砕けろという言葉もあるし、ここは正直に言ってみよう。
「実は、オークの魔石なんだけど」
「オークの? あ、そういう事ですか。何か良いスキルでもあったんですか?」
「オークの魔石か。一体どんなスキルだったんだ?」
スキルという言葉を聞いて、隣のフーリも乗り気で尋ねてきた。
言うぞ、言うぞ!
「実は……特に何も付与されてなかったんだ! いやぁ、残念!」
ヘタレと笑いたければ笑え。
童貞歴三十年近いおっさんが、高校生ぐらいの年齢の子に「性豪」とか「絶倫」なんて言葉言える訳ねえだろ!
無茶言ってんじゃねえ!
「そうですか、残念ですね」
「ああ。だが、オークの肉が大量に手に入っただけで良しとしないとな」
俺の言う事をあっさり信じた二人は一瞬残念そうな表情になるも、オーク肉の事を思い出したのか、自然と笑顔になっていた。
そんなに嬉しいのかオーク肉。
それじゃあ改めてオークの死骸を確認してみるか。
オークの死骸にカーソルを合わせて確認しようとして、ふと思いついた。
これ分解すれば自動で解体とか出来ないかな?
考え着いたら、後は実行。俺は確信に近いものを感じながら、オークの死骸を分解してみた。
するとオークの死骸はオークの「血」「肉」「骨」「臓物」「皮」の五つに分解された。
やっぱりな、そういう気がしたんだ。
って事は、このオークの肉を木の串と合成すれば……やっぱり。
そこには「オーク肉の串焼き(生)」が出来ていた。
スキルはイメージ――つまり想像力が重要になるのだから、俺が分解で解体出来るかもって考えた時点で、その可能性はあるという事だ。
もちろんスキルで出来る範囲外の事は出来ないだろうけど。
さて、時間はおそらくお昼ぐらい。
ストレージの中には、街で買っておいた昼食と、今作った串焼き(生)が入っている。
丁度いい。
「なあ、二人共」
「何だ?」
「何ですか?」
ストレージ内の木材と木の串を確認し。
「今から食べるか? 串に刺して焼くぐらいなら出来るけど」
俺がそう言うと、二人の目の色が少しだけ輝いた。
「それは名案だな! どれ、解体は私に任せてくれ!」
フーリが腰の剣を引き抜きながらオークの解体を買って出て。
「なら私は串焼きの準備をしますね! カイトさん、串を貰えますか?」
マリーが串焼きの準備をすると言い出した。
あ、いかん。言葉足らずだったか。
「ああ、ごめん。実はもう解体も串焼きの準備も終わってるんだ」
「……何?」
俺の答えにフーリは怪訝そうな表情をした。
「……?」
そしてそれはマリーも同じようだった。うん、そうなるよね。
そりゃフーリ達から見たら、ただオークの死骸をストレージに回収しただけに見えるもんな。
「いや、実はストレージで分解してみたら自動で解体できちゃって。ちょと確認して貰えるか?」
俺はストレージから木材を取り出して足元に敷き、その上にオークの肉を取り出した。
するとそこに「ズシンッ」という音と共に大きなオーク肉の塊が現れた。
ほう、これはまた綺麗な出来栄えだな。
「……本当に解体出来ているな」
フーリはしばらくオーク肉を見つめていたが、やがてその視線はオーク肉から俺に移った。
「カイト君。すまないが、他の素材を見せて貰えるか?」
「他の素材? オークのって事か?」
俺が尋ねると、フーリは小さく頷きながら「ああ」と答えたので、ストレージから残りの素材を取り出す事にした。
えー皮と骨、そして血と臓物……なんか物騒な響きになってしまったな。まあいいや。
それらを取り出そうとして、ふと問題に気付いた。
血を入れる器が無い。
他の物は単純に木材を敷けばいいが、血はそうはいかない。ポーション用の瓶は空きが無いし、かといって木のコップにオークの血は、気分的に入れたくない。
何か器になりそうな物を作らないと。
えーっと、ガラスはあるから、それでビーカーでも作るか。
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