ステータス最弱の転生者

僕ちゃん

八話 鍛冶屋バアル

 「そんなかとあるかぁーーー」

 僕はまた道に倒れ込んでいた。偶然にも身分証(冒険者の証)を獲得した僕はまた仕事を探し何件ものお店に頭を下げにいった。

 しかし、「冒険者?最悪でもBランク以上じゃないと」そういってことごとく僕は不採用になった。

「ちっくしょぉーー」

 悔しさのあまり地面をおもいっきり殴る。以前の僕だったら地面は粉々になっていたかもしれないが、今はただ僕の拳を痛めただけだった。

 「ちっくしょぉーー」

 自分の弱さにもムカついてまた地面を殴る。以前だったらこれぐらいのタイミングであの天使が来てくれたが、今日は回りから冷ややかな目で見られただけだった。

 自分から行くしかないのか僕はそう思った。僕はもう冒険者になるしかないんだ。武器でも買いにいくか。僕は自分に言い聞かせて前にもらった名刺を便りに『鍛冶屋バアル』へと向かった。

 僕は迷った。吹雪の区間に入らないために移動しているので確かに店を探すのは難しいとこもあるがさすがに難しすぎた。名刺に大体の移動先を書いていたがさすがにアバウトすぎた。

 くそー。もう大体の場所まで来ていたのでこんな役にたたい名刺いるもんかと破り捨てようとしたが、我にかえる。ポイ捨てはいかんぞ。

 「モグ 火頼んでいい?」

 回りに人がいなかったことと少しやけになっていたこともあり。モグに頼んでしまった。

 モグはもちろんOKをする。スライムのどこが口かもわからないボディを上手に開け、「ボーー」と火を吹いた。

 じゃあ燃やそうかと名刺を火に近づける。あつっ 手を火に近づけすぎて思わず手を引っ込める。うんっ?

 名刺の色が少し変わっていた。僕はもしかしたらと思って名刺を火であぶってみる。やっぱりだ。みるみる地図の形が変わっていく。

 店の場所はすぐにわかった。ここと全然違う場所だったが地図は凄く正確だったのですぐに着いた。そして名刺に書かれていた通り、名刺を縦に破る。これは少し難しくて一瞬焦った。

 あれ?そこには店があった。まるで今までもずっとありましたよといわんばかりに。まるで子供が作った秘密基地のようなちっさな店だった。

「チリン チリン」

 僕が扉を開けると中は意外と広かった。そして目の前に天使がいた。

「あっ ちゃんと来てくれたんだ。やっぱり紙質で気付いたの?」

 運が良かっただけなんて口が裂けても言えない僕は

 「そ、そんな感じ」

 と少し濁した返事しかできなかった。やっぱり天使は天使だった。健康的によく焼けた肌に僕を見つめる大きなお目目。そしてそして...

 まだまだ思い付いたが後ろからモグの軽蔑したような視線を感じたのでやめた。もしかしたらテレパシーで心の声がだだ漏れだったかもしれない。

「お兄さんなに買う?久々のお客様だから安くしちゃうよ。」

 僕はどの武器ももちろん触ったことがないのでどれを買ったらいいか分からなかった。でも天使の前でいい格好をしたかったので一番高いのを買おうとしたが

「・・・・」

 高すぎた。今は師匠から頂戴してきた金がいっぱいあったから生活できていたが、この武器は師匠のお金だけじゃとても足りなかった。いや、一生かかっても買えないレベルの値段だった。

「あっ その武器は師匠が気にいった奴にしかあげんって言って誰にも買えないような値段にしてるんだ。」

 呆然としている僕に気づいて話しかけて来てくれが、あまりの値段にビックリしている僕の耳には聞こえない。それどころかか少しよろめいてしまった。

 倒れまいと捕まったところには武器が、なにか手にしっくりきたので手に取ってみる。


「えっ もしかしてその武器気に入った?」

 そういって天使は僕の手を握る。あっごめん。 手をにぎっちゃったことに気付き少し恥じらう天使を見た僕は即購入を決めた。

 この武器はとても安く買えたので助かった。この武器はずっと売れ残っていたからと安くしてくれたのだ。

 武器を買ってしまった僕はこれ以上ここにいる理由がなくなってしまい仕方なく店を出た。もちろん買った武器がどんな武器かなんてわかりもしなかった。ただ見た目が銃ににていたのでそんな感じの武器だとは思っていた。

 店から出た僕はやっぱり天使だったな。もっといたかったな。なんて思いながらゆっくりダラダラと宿へと向かった。

「待って」

 振り返るとそこには天使がいた・・・・ 

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