あの日
五話 本音
目標のなくなった私達の足は、私達の意思では動かすことができないぐらい重く、固くなり。私達の考えることといえば、午前中にした体育二限、全力でした鬼ごっこなど足の疲れに関することばっかりだった。
だが誰もここまでの道のりについては考えなかった。それを考えるということは帰り道のことを考えるのと同等の意味を持っていたからだ。
私達の今のこの足の状態で帰り道のことを考えると二度と立ち直れないだろうということを小学生の私達でもうすうす感じていたからだ。
だから私達が町の探索をはじめたのは自然の流れだったのかもしれない。今の状況を忘れるにはそれしかなかったからだ。
だが探索するほど足に余裕のない私達は近くに公園を見つけるとそこに座り込んでしまった。町の公園というだけあって前にある道路の車の音がうるさかったが、贅沢をいう余裕なんてなかった。
「海行きたかったな」
一瞬誰が言ったのかわからなかった。瑛太が弱音をはいたことなんてなかったからだ。だからすぐにこれは瑛太の本音なんだと分かった。
「俺中学から私立の学校通うんだ。」
瑛太がポツポツと語り始めた。瑛太は中学になったら皆と縁が切れるかもしれないのが怖かったらしい、だから海の話が出たとき海が遠くにあることを知っていたが黙っていたと。海に行く苦労と行った達成感を五人で共有したかったと。六年生の間に皆とおもいっきり遊びたかったと。話している瑛太の頬にはポツポツと涙が溢れでていた。
「じゃ じゃあさ、そろそろいこうか」
一人で歩き出した。そう海に向かって
満月だった。桜もすぐにツッコんだ。
「いや、先頭は瑛太君 てかそれ瑛太君」
瑛太はすぐに涙をふき立ち上がった。
「あぁっ あれみでぇー あれ」
福太が指差した先にはトラックが止まっていた。今ちょうど荷物の仕入れ中。えっと仕入れてる荷物は...
「そごおじゃないよぉーー」
トラックの名前は『シーサイドホテルアワビ』だった。
「アワビはうみのいきものなのぉー」
福太はやっぱりバカだった。普通の人はシーサイドで気づくはずだ。
「よしお前ら荷台に忍び込むぞ」
いつもの瑛太にもどっていた。荷台の荷物仕入れの人は三十秒置きに荷台に荷物を置きに来ていた。つまり荷物仕入れの人がトラックから目を離しているのは二十秒ぐらいだ。
私達はまずできるだけトラックの近くに近づいた。あとは頃合いを待つだけ。
「よし、荷物をとりに行ったぞチャンスは二十秒だ 行くぞ」
瑛太の号令で皆一斉に走る。まず瑛太が荷台に飛び乗った。五秒もかかっていない。次に私そして満月そして三人で桜の手を引き桜も無事クリアこれで残すは福太だけ。しかし残りは十秒ちょい。また本当に十秒とい保証もない。
「ドテッ」
福太め転びやがった。ヤバい後八秒。
「ドテッ」
また転けた福太焦りすぎだ。あと六秒
「ドンッ」
見かねた瑛太が飛び降りた。すぐに福太を抱えおこす。あと五秒。何とか間に合うかもしれない。
「てくてく てくてく」
いつもより帰って来るのが早い。
ヤバい間に合わない。あと二秒で見つかるだろう。
来た。でも何のアクションもない。
私はトラックの荷台の一番奥の段ボールの中に隠れていたので音を聞くだけしかできなかったが。もしあの二人が見つかったなら何らかのアクションがあるはずだ。二人はばれていないはずだ。
まずい、荷台を除いてきた。目の光が反射してばれたりしたらまずいので目をぎゅっとつぶった。あとは体の面積を小さくするために貝のように丸くなった。
あとは祈るしかない。私のことも仲間のことも。荷台を見られていたのは数秒だと思うが、何時間にも何日にも感じた。
「ガシャーーン」
荷台の扉が完全に閉められた。私は気づかれなかったのだ。でもあの二人は?不安が膨れ上がってきた。もう一度荷物をとりに行ってくれたら全員乗れたのに。二人がいなければ海に行く意味なんてないと思った。
「メキッメキメキ」
突然扉がこじ開けられた。福太と瑛太だ。二人は無事だったんだ。どうやら足音が予定より早く聞こえた瞬間、瑛太の機転ですぐに車体の下に隠れたらしい。さすがに扉を閉められた時は焦ったらしいが、結局は福太の怪力で何とかなったらしい。本当に恐ろしいやつだ。
私達は運転席に聞こえないよう静かにハイタッチした。これだけで私達は通じ会うことができた。その後はトラックがどれだけの時間走るなんて知らなかったが、疲れには勝てず私達は身をよせあって爆睡した。まだ一日もたっていないが久方ぶりに休憩した気分だった。
「コラッーー」
この音がアラームがわりとなり私達は全員目を覚ました。いつもは寝起きが悪いがこの時ばかりはワンコール目で飛び起き運転手さんの又の下をくぐり抜けすぐにトラックの荷台から逃げ出した。
全員守備よく逃げ出したが福太だけは運転手さんを吹っ飛ばしていた。本当に困ったやつだ。
その後すぐに私達の体は気づいた、やけにベタつく風、ツーンとする匂い。私達は海についていた。
あれほどまでに夢見た海。私達はすぐに砂浜に向けて走り出した。
だが誰もここまでの道のりについては考えなかった。それを考えるということは帰り道のことを考えるのと同等の意味を持っていたからだ。
私達の今のこの足の状態で帰り道のことを考えると二度と立ち直れないだろうということを小学生の私達でもうすうす感じていたからだ。
だから私達が町の探索をはじめたのは自然の流れだったのかもしれない。今の状況を忘れるにはそれしかなかったからだ。
だが探索するほど足に余裕のない私達は近くに公園を見つけるとそこに座り込んでしまった。町の公園というだけあって前にある道路の車の音がうるさかったが、贅沢をいう余裕なんてなかった。
「海行きたかったな」
一瞬誰が言ったのかわからなかった。瑛太が弱音をはいたことなんてなかったからだ。だからすぐにこれは瑛太の本音なんだと分かった。
「俺中学から私立の学校通うんだ。」
瑛太がポツポツと語り始めた。瑛太は中学になったら皆と縁が切れるかもしれないのが怖かったらしい、だから海の話が出たとき海が遠くにあることを知っていたが黙っていたと。海に行く苦労と行った達成感を五人で共有したかったと。六年生の間に皆とおもいっきり遊びたかったと。話している瑛太の頬にはポツポツと涙が溢れでていた。
「じゃ じゃあさ、そろそろいこうか」
一人で歩き出した。そう海に向かって
満月だった。桜もすぐにツッコんだ。
「いや、先頭は瑛太君 てかそれ瑛太君」
瑛太はすぐに涙をふき立ち上がった。
「あぁっ あれみでぇー あれ」
福太が指差した先にはトラックが止まっていた。今ちょうど荷物の仕入れ中。えっと仕入れてる荷物は...
「そごおじゃないよぉーー」
トラックの名前は『シーサイドホテルアワビ』だった。
「アワビはうみのいきものなのぉー」
福太はやっぱりバカだった。普通の人はシーサイドで気づくはずだ。
「よしお前ら荷台に忍び込むぞ」
いつもの瑛太にもどっていた。荷台の荷物仕入れの人は三十秒置きに荷台に荷物を置きに来ていた。つまり荷物仕入れの人がトラックから目を離しているのは二十秒ぐらいだ。
私達はまずできるだけトラックの近くに近づいた。あとは頃合いを待つだけ。
「よし、荷物をとりに行ったぞチャンスは二十秒だ 行くぞ」
瑛太の号令で皆一斉に走る。まず瑛太が荷台に飛び乗った。五秒もかかっていない。次に私そして満月そして三人で桜の手を引き桜も無事クリアこれで残すは福太だけ。しかし残りは十秒ちょい。また本当に十秒とい保証もない。
「ドテッ」
福太め転びやがった。ヤバい後八秒。
「ドテッ」
また転けた福太焦りすぎだ。あと六秒
「ドンッ」
見かねた瑛太が飛び降りた。すぐに福太を抱えおこす。あと五秒。何とか間に合うかもしれない。
「てくてく てくてく」
いつもより帰って来るのが早い。
ヤバい間に合わない。あと二秒で見つかるだろう。
来た。でも何のアクションもない。
私はトラックの荷台の一番奥の段ボールの中に隠れていたので音を聞くだけしかできなかったが。もしあの二人が見つかったなら何らかのアクションがあるはずだ。二人はばれていないはずだ。
まずい、荷台を除いてきた。目の光が反射してばれたりしたらまずいので目をぎゅっとつぶった。あとは体の面積を小さくするために貝のように丸くなった。
あとは祈るしかない。私のことも仲間のことも。荷台を見られていたのは数秒だと思うが、何時間にも何日にも感じた。
「ガシャーーン」
荷台の扉が完全に閉められた。私は気づかれなかったのだ。でもあの二人は?不安が膨れ上がってきた。もう一度荷物をとりに行ってくれたら全員乗れたのに。二人がいなければ海に行く意味なんてないと思った。
「メキッメキメキ」
突然扉がこじ開けられた。福太と瑛太だ。二人は無事だったんだ。どうやら足音が予定より早く聞こえた瞬間、瑛太の機転ですぐに車体の下に隠れたらしい。さすがに扉を閉められた時は焦ったらしいが、結局は福太の怪力で何とかなったらしい。本当に恐ろしいやつだ。
私達は運転席に聞こえないよう静かにハイタッチした。これだけで私達は通じ会うことができた。その後はトラックがどれだけの時間走るなんて知らなかったが、疲れには勝てず私達は身をよせあって爆睡した。まだ一日もたっていないが久方ぶりに休憩した気分だった。
「コラッーー」
この音がアラームがわりとなり私達は全員目を覚ました。いつもは寝起きが悪いがこの時ばかりはワンコール目で飛び起き運転手さんの又の下をくぐり抜けすぐにトラックの荷台から逃げ出した。
全員守備よく逃げ出したが福太だけは運転手さんを吹っ飛ばしていた。本当に困ったやつだ。
その後すぐに私達の体は気づいた、やけにベタつく風、ツーンとする匂い。私達は海についていた。
あれほどまでに夢見た海。私達はすぐに砂浜に向けて走り出した。
コメント