１９話　召喚の条件

　「あと、、5分だけ...」

　「ダメですよ魔王様起きてください！」

　これであと5分を使うのは4回目だ...マリクルースは優しいからこう言ったら本当にずっと待ってくれてる。

　「まおう　起きろぉーー！！」

　突然のアイビスの叫び声と共に急に首筋に寒気が...僕は恐る恐る目を開けて後ろを見る、、、

「うわぁっぁああーーーー」

　後ろには何故かびしょびしょの、顔が青白い女が...ボーっと寝転んで何か呟いている。

「...て...ま...お...う...お...き...て...お...き...て...ま...」

　うんっ？徐々に何を言っているか分かってきた、、起きて魔王かな？気づいたら眠気もぶっ飛んでいたので...何とか起きる。
　
　そんな僕を見るとアイビスはにんまり笑って指をならした。パチンッ　顔の青白い女の姿も消えていく...

「アイビス！！ホントにびっくりするからやめて」

　いや、本当に怖かった...怖い顔には慣れたけど、幽霊とか不気味なやつには弱い、、しかも自分のベッドにいるなんて耐えれるわけがない...

「でも、起きたぞ　まおう」

　可愛い顔で正論を言われたら何もいいかせない...しかも今日は大事な日だから余計だ！

　今日は召喚魔法の研究のために魔界にいく日だ。魔界といっても今僕がいる偽物の魔界じゃなくて本物の、、悪魔達が住む世界だ...

　今回の目的は別の次元へのマーキングだ。次元魔法を悪魔達の世界に繋げれないと悪魔召喚なんてできるわけがない...

【数日前】

「まおう　僕の霊召喚は、地獄とここをゲートで繋いであとは、僕の魔力に勝手に霊が引き付けらて来てるだけらしいぞ！」

「あっ、私が教えました。」

　流石、アリス先生...アイビスに一度魔法を使ってもらっただけで理解したらしい。何故霊がアイビスの魔力に引き付けられのかは分からないらしが、、

「大事なのは地獄とゲートを繋いでいると言うことです。まずは魔界と繋げる必要がありますね。」

　良かった。ついに召喚魔法の手掛かりみたいなのをつかめた...本当に何から手をつけたらいいか分からなかったから...

　図書館で見た儀式は全部試したけど、、全部嘘だったもん。やることがみつかって良かった。

　でもゲートを繋げるには魔界に行くしかないからな....本当に別の次元の空間どうやって行くんだ？

「マリクルース？」

　流石だ、すぐにマリクルースが答えてくれた。魔界にちゃんと行く方法はゲートを繋がないならただ１つだけだった。地獄にある、死の世界の神『ハデス』の城に忍びこみ「次元の鏡」を使うこれだけだ。

　えっ、地獄って！死なないといけないってこと？それだったら無理じゃん...てか、本当に地獄ってあったんだ。じゃあ天国もあるのかな？

「もしかして天国もあるの？」

　好奇心には勝てなかった。こういうのは本当に気になるし、子供の時から大好きだったから。

　でも皆に驚いたような顔をされた...どうやら天国はないらしい。良いことをした者は無条件で輪廻転生の輪に加えられるからだ、そして悪いことをしたものは地獄に送られ様々な苦行を受け、そのあとに輪廻の輪に加えられる。

　悪いことをしたら罰せられるが、良いことをしても特別褒められるわけでもない、、まるで今の世界そのままだと思った。

「でもさ？どうやって地獄行くの？」

　うんっ、最初からこれを聞いといたら良かった。まさか一旦死ね！とか言わないよね？

「考えたんですけど...魔王様に地獄の霊を憑依させ、その記憶でゲートを開くしかないと思います。」

　アリス先生...何でそんな嬉しそうなの？モルモットを見るみたいな目で見てくるし...まー、方法がないんだからやるけど！！でも悪い霊を憑依させるって、、、嫌だなぁーーーー、

　◇

　そして今日ついに地獄に行く！勇者アランとアイビス以外の四天王は人間界に送っちゃたから。マリクルースとアリス先生とアイビスと僕だけでいく。

　少数精鋭で...僕以外は女だ、、意図せずにハーレム状態になってた。ここにエラゴンもいたら...とんだハーレムだよ。でも、めちゃつよ軍団だ。悪魔も多分びっくりすると思う。

「《霊召喚ハーン》」

　そんなことを考えてる間に準備は着々と進む、ボー　　幽霊が召喚される。そのままアイビスが僕を指差す...

「《憑依クルン》」

　ゾワッ　体の毛という毛が全て逆立つ...体温も少し下がった気がする。そして知らないはずの記憶が僕の頭の中に入ってくる。ブルッ　思わず震える...残酷な記憶が、、幼い子供を拘束し、指を一本ずつ....

「まおう　そこは見なくていい！頭で地獄を思い浮かべろ。」

　アイビスの言葉で我に返る...そうだ今欲しいのは地獄の記憶だけだ...すぐに出てきた。知らないはずなのに...鮮明に、、、

「《デミネーションゲート》」

　すぐにゲートを開く。今は良く知っている場所も集中したら開けるようになっていた...今回は開くかどうかかけだったけど...　

　ブーン　ちゃんと開いた。ここをくぐれば地獄に出るのか...

  「皆、覚悟は良い？」

　「早く行きましょ！」

　僕が覚悟を決める暇なく皆ゲートに入っていった。

　皆、胆力ありすぎ...女って凄い・・・・