魔王に転生したら勇者に殺される運命だった話

僕ちゃん

18話 統一の果てに

「魔王様 お待ちしていました。」

 僕とエラゴンが会議室に入ると全ての幹部が一斉に挨拶をした。皆、一癖も二癖もある奴ばかりなのに...こういう挨拶だけは出来るから面白い、、、

 これだけでも場の雰囲気が全然変わる。流石強い魔物なだけあってそういう基本を大事にしている...やっぱり魔王軍好きだわ!!

「待たせたね!今回は今後の方針を発表するね。」

 そう今後だ...魔界(元は人間界)の大体の統一は終わった...まだ野良の魔物たちはいるけど、、、でも元々強い魔物だけでいいと思ってたから全然オッケー。

 それよりも今は...もっと未来を見る必要がある。僕は勇者に殺される運命、、、少しのミスも許されない。運命に勝つのが簡単なわけがない...

「まず1番力を入れるのは悪魔召喚、これで魔神マルワールを召喚するつもり...」

 ザワザワ 部屋中が騒がしくなる...皆強い魔物だから魔神マルワールのヤバさをわかっている。そんな簡単に召喚できると思っていないのだ。

「魔神も元は悪魔だ。とてつもなく強い悪魔...できるはずだよ!」

 さらに続けた。マルワールには絶対話を聞く必要がある。こいつが全ての元凶で、、僕が勇者にアポロに殺されない秘密を持っているはずだ。敵かどうかも調べる必要がある...

 その後は召喚について今分かっていることと、現状の召喚についての考察をアリス先生に話てもらった。

「まおう それ僕の霊召喚に似てるぞ!」

 アイビスだ...アリス先生の話が終わるとすぐに伝えてくれた。あれも召喚だったのか、、それに霊も違う次元から召喚しているらしい...いや凄い、、悪魔召喚と本当に似ている。いよいよ、現実味をおびてきた...

「魔王様 私の瞬間移動も少し似ている気がします。」

 確かに、そうだな...違う空間に自分を召喚してるとも言えるかも知れない。分からないけど、そういうのにもかけるしかない。

「じゃあ アイビスとポプラは召喚研究班ね!あとマリクルースも!アリス先生と協力して。」

 もちろん僕も研究班だ...マリクルースも知識の面では頼りになる!逆にこのメンバーで無理だったら...誰でも無理だろ!!そんなメンバーを集めたつもりだ。

「そしてここからも大変な仕事だよ、マリクルース説明したって。」

「分かりました。」

 ここからマリクルースによって人間界の説明が始まる。大雑把に説明するとこうだ、人間界は絶対的な王『ダンテ・ハーン』によってずっと支配されている。そしてその城を中心とするように4つの国があり、王によって選ばれた4人の実力者によって統治されている
 
「だいたい分かった?これが今の人間界...」

「魔王様ついに侵略ですか?」

 途中で話を遮られた...僕は急いでマリクルースを止める、、だってこういうの絶対許さないもん...

「ゴホンッ まー、長期的に見たら侵略と言えるかもね...」

 うんっ本当に目的はそれだからな...皆が思っているような侵略ではないと思うけど、、人間界を取ろうと思っているのは確かだ。できたら移住したい。

 灯台もと暗しってやつだ!将来的には魔族の村を作れたらいいと思ってる。人間とも黙って所帯を持たせる、魔族とのハーフが増えたら...仲良くするしかなくなると思う。

「今回は元四天王の4人にそれぞれの国で最強の冒険者を目指してもらうつもりだったけど...アイビスの変わり誰かしたい?」

 やっぱりすぐに勇者アランが手を上げる。

「アランは他の仕事してもらうからダメだよ!あとエラゴンも魔法とか覚えて欲しいかな?」

 エラゴンはのびしろがありすぎて、本当に魔法を練習してもらいたい...だって身体強化の魔法すら使ってないんだから、、、魔法の練習がドラゴン化にも繋がるかもしれないし...

「じゃあ 俺、俺がします!!」

 おっ、キタローだ。初めての僕の配下...しかもちゃんと強いし、信頼もできる。しかも使う魔法も人間よりの魔法だし、、ちょー適任だ。

「じゃあキタロー頼んだよ!他の3人も最強だからね!」

 一応念を押しとく。最強じゃなくてもその国の代表する冒険者になってくれたらいい。結果として人間界を勝手に攻める魔物も退治してくれると思うし...凄い働きをしたら爵位も貰るえと思う。つもり自分の領地を貰える。

 全ての国で領地とそれなりの地位を得る。とても凄いことだ...さらに強い冒険者は皆の憧れの的になれる、影響力もでかいし、、王に目をつけて貰える可能性も出てくる。

 それにこの4人だったら本当に最強の冒険者にもなれる気がする。だって四天王だよ!本来だったら...勇者パーティーが戦うような相手だ。なれないわけがない。

「勇者アランは王の直属の兵士になることを目指してくれ。アランのカリスマだったら絶対なれるから!」

 だってアランは勇者だ!絶対的な王であるダンテがアランの凄さを見抜けないわけがない。見抜けないような王だったらその程度の王と見切りもつけれるし、、まーーアランだったら何とかしてくれるはずだ。

「その他はとにかく訓練。あと魔王城の周りを本格的に国にするつもりだから手伝って。」

 もしもの時のために軍事力は常に磨く必要がある。そして国とすることで人間とも交渉がしやすくなるかもしれないし...国の方が攻められにくいのも確かだ。

 全て長期的な計画だが...どれも今やるしかない。この2年は勇者が不在だ。僕がそう仕向けた...アポロがここに侵略してくることは絶対にない。人間界にいるモンスターを倒すだけだ。

 つもり僕は魔界のことだけに集中できる。この統一した魔界を好きなように要塞化させる...そして2年後にアポロと一緒に攻略することになるかもしれない...

 自作自演の魔界攻略。それまでに幹部は人間界に移住させるつもりだけどね!2年後が...未来が楽しみだ。


「運命なんて糞喰らえだぁーーー!!」

 ◇

 そこは完全なる闇。何も見えない漆黒の闇...でも確かにそこにいる。

「ぷぷぷっ 僕を召喚? おもしろいね...でも君の運命は変わらないよ」

 そうマルワールだ。闇は全てを見ている...

 ずっと・・・・・・


                 1章 ー終ー





 

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