魔王に転生したら勇者に殺される運命だった話

僕ちゃん

17話 エラゴン・テンペスト

 化け物だ、私は化け物だ、、そう思うことにより暴言も受け入れるようになった...私は化け物。他の人達とは違う。

 そう思い初めてから、私が魔物達の世界に行こう!そう決断するまで時間はかからなかった...本当の化け物達の所に行ったら私も普通になれるはずだ!!淡い期待で魔物達の世界に踏み込んだ。

「逃げろーー!奴が来たぞぉー。」

 魔物の世界に踏み込んで数ヶ月。最初は魔物の方から向かってきていたのに...全て返り討ちにしてるうちに誰も近づかなくなってきた。やっぱりここでも私は化け物なんだ...

 そんな時に奇跡が起きた。魔王がかつて住んでいたという城から巨大な火の玉が上がったのだ...まるでもう1つの太陽、、ここにはやはり本物の化け物がいる。そう思うには充分だった...

 そしてそこで初めて私は敗北を知った。それも魔王の部下によって...私は全力で殴ったのに!!軽く剣で受けられた。そしてその後すぐに私は気絶した。

 本当の化け物のだ...初めての敗北は嬉しかった。私は化け物だったとしたも、もっと凄い化け物がいる。それも1人だけじゃない...私はここにいる限り化け物なんかじゃない。普通の人だ!!

 そこでの生活はとても楽しかった。私の力の強さを皆、誉めてくれる。びびったり、化け物を見る目で見る人は1人もいない、、私はやっぱり普通だ。化け物だった自分とはもう卒業だ!!心からそう思った...

 なのにこれはなんだ...完全に化け物になっている。ドラゴンと戦っていた所までは覚えてる、、そこで私は死にかけた。でも...今はなんだ?見上げていたはずのドラゴンが同じ目線にいて...私には鋭い爪とピンクの鱗がついている...本当に化け物だ。

 「グゥォォオオオオオ」

 口から出る声も化け物...私は、、化け物だったんだ。そして化け物になったのに...それでもドラゴンには勝てない...中途半端な化け物、、化け物だと認めてさえ、、本物の化け物にはなれない。

 それでも今この化け物を止めれるのは私しかいない...わけもわからないまま無我夢中で戦う。それでも傷1つつかない...ついてもすぐに回復してしまう、、私の体力だけがなくなっていく。

 キランッ まただ...またこの男に助けられた。私に初めて敗北を教えてくれた男、、勇者アランに...まばゆい光と共に現れて、、斬 あっと言うまに首を飛ばした。

 本物の化け物だ。私とは違う...でも悪い意味じゃない、、良い意味の化け物。私が目指すべき化け物だ...

 そんなことを考えているうちに私は気を失っていたらしい...起きると柔らかい布団の上にいた。まだ視界は定まらない...

 「おっ 起きたか!」

 私の顔を覗きこむように見ていたのは、、、勇者アランだった。私をずっと見ていてくれたのかな?そう思うと何故か胸が少し熱くなった...

 ◇

 アイビスとの戦いを終えてすぐ、アリス先生に『悪魔召喚』について話した。もともと帰ったらすぐに話すつもりだったのだが、、、グレーテルとの決闘やアイビスのダンジョンの攻略。予想外のことが起こり過ぎて伝える暇がなかったからだ。

 アリス先生も召喚については何も知らなかった...でも...悪魔と天使は違う次元に存在する生物。可能性としたら、、次元魔法と何かの融合魔法ではないのかとすぐに案を出してくれる。

 そして現在、召喚することができるのは大司教ただ1人というのも...何かのヒントになるのではないかと考えた。この人間は徹底的に調べる必要がある。

「まずは悪魔や天使じゃなくて、身近な人の召喚から初めましょう。」

 まーー、それが妥当だろうな...急に悪魔とか召喚できても、、、向こうもこっちも...困るだけだもん!!人見知りなだけだったら良いけど...凶悪で最強の悪魔が来てしまったら世界が終わるかもしれないし...

  これだったら僕の本来の目的を達成出来るのはまだまだかもな...この目的は、、地球に戻るにしても...僕の運命を変えるためにも絶対に必要だ!

「うん、そうしよう。でも召喚の本来の目的は・・・・・だからね」

「魔王様 エラゴンが目覚めましたよ!!!」

 アランの大きな呼び声で大事なところがうやむやになってしまった。まーー大事なことだし...後の幹部会議で言おう。

「アリス先生後でまとめて言うね!じゃああとで!」

「《デミネーションゲート》」

 ちょっと急ぎ過ぎな気もするけど...でもエラゴンも心配だし、、やっぱりドラゴンのことも気になる...すぐに向かう。

「エラゴンもう大丈夫なの?」

 急に現れた僕に目を丸くしている。確かに僕は気にしてなかったけど...急に魔王が、、会社の大社長みたいなのが来たらびびるか...特にエラゴンとは余りしゃべったことなかったし...

 「だ、大丈夫です!!アラン様のお陰で怪我もありませんし、、」

 全身を使って必死に伝えるその姿を見たら本当に大丈夫そうだと思った...良かった、、でもやっぱり緊張させちゃった見たいだ。必死にフードを探している、、、顔も真っ赤だ...

「もし良かったら...使う?」

 そう言って一応持ってきといたピンク色の帽子を渡す。バッ 一瞬で僕から帽子を奪い取りすぐに被る...気に入ったのかな??流石にちょっとびっくりしたけど...可愛いから許す!!

「あっ...ごめんなさい...つい、、、」

 エラゴンも気づいたのかもっと顔を赤らめる...キャワィイー、元々僕はそんなの気にしないから...良いのに!!マリクルースが厳しいけど...

「緊張取れるならなんでもいいよ!ため口でもいいし、、というよりため口にしてほしい。」

「じゃあ...帽子ありがとう。まだ顔を全て見せるのは、、、恥ずかしい...」

 やったーー。心の中でちょっとガッツポーズする。だって初めてため口でしゃべってくれる子に会えた。マリクルースは結局ずっと軽く敬語だし...別にいいけど、、やっぱりため口の方が嬉しい...

 その後、ドラゴンにどうやってなったかなど聞いたけど、、分からないとのことだった...でもドラゴンになってからも意識はちゃんとしていたらしいから、別にいいかな?って思った。

 ドラゴンにならなくてもエラゴンは強いし...ドラゴンになっても暴走モードとかじゃないなら、なったらラッキーぐらいに思っといたらいいから...まーー、ちょっと練習はしてもらうけど。

 今日はエラゴンと少し仲良くなれただけでよしとしよう!!それにしても...ドラゴンに自由になれるようになったら、、それにまだ魔法も使ってないらしいし...エラゴンの潜在能力ヤバいは、、化け物になるかもな?

「じゃあさ 会議行こうか!!」

「はい!」

 もう僕ら以外の幹部は集まっている...元四天王が全て揃った初めての会議だ・・・・・

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