魔王に転生したら勇者に殺される運命だった話

僕ちゃん

12話 最強の防御

 防御なしか...じゃあ回避するしかないかな?僕はスタート同時にとりあえず後ろに飛ぶ。
 
 「ダッ」

 地面を蹴る音と共にグレーテルが一瞬で僕のところまで距離を詰める...

  僕は空中だから身動きがとれない。いつもだったらここで『デミネーションゲート』使うけど...

 あれって防御で次元魔法だからね、、だからって腕でガードするのも防御だし、、どうする?がちでミスったよぉーー

 「《魔法の絨毯ウィンドコースター》」

 何とか思い付いた答えがこれだ。風に乗って一気に空へと舞い上がる。

 「ギュン」

 グレーテル?むちゃくちゃだ、獣人特有のしなやかな足で空中を一蹴り、、まるで地面があるかのように僕の方へジャンプする、そのまま僕に鋭い爪を振りかざす...二段ジャンプというやつだ!!

 またまたどうする?この状態から普通に剣を抜いても防御ってとられるかもしれないし!!アリス先生にちゃんと聞いといたらよかった...

  次元魔法で逃げるのも反則だし...それに逃げてばかりもいれないし、逃げと回避は全然違う...僕が今してるのはどちらかというと逃げだと思う。

 「《魔法の絨毯加速ウィンドコースターブースト》」
 結論逃げた。風の魔力を一気に濃縮し解き放つ...音速の急加速で逃げた。でもただの逃げじゃない、、

 ドォーーオン さっきまで僕がいたところに衝撃波が走る...もちろんグレーテルも巻き込まれる、、

 僕が音速で動くことで前方の空気を圧縮し、グレーテルの所で衝撃波を発生させたのだ...

「《鎌鼬ウィンドカッター》」

 ダメ押しで衝撃波の回りの空気を風の刃に変える...

  「トタンッ」  「ドン」

 グレーテルと僕は同時に地面に着地した。グレーテルはその立派な毛皮が赤色に染まっている...

 アリス先生止めないの?僕の攻撃によるものだから...心が痛む。

 「ウォオオオオオオ!!」

 グレーテルが全身に力を入れ大声で叫ぶ、、何?スーパー○イヤ人にでもなるのか??獣人ってどっか戦闘民族っぽいし。

 でも全然違った...力を全力で入れることで筋肉を隆起させ傷口と傷口をくっつけた。まじ?原理はなにもわからない...でも確かにくっついた...

 「ワァーーーーーァーーー」

 いつのまにか増えてた観客達が大歓声を上げる...グレーテルの部下と思われる獣人達は遠吠えを上げる。

 いや、やめてよ。もしかしたらグレーテル諦めてくれたかもしれないのに...こんな盛り上げられたら絶対辞めにくいじゃん!!

 回避するのめっちゃムズいんだからな!回避しながら攻撃とかさらにムズい...さっきの攻撃は多分もう喰らってくれないし...どうしたらいいんだよ?

 「あっ」

 突然の思い付きで声が出てしまった。回避しながら攻撃じゃなかって、攻撃しまくって手を出させなかったらいいんだ!!

 地球ではケンカなんてほぼしなかったし...ここでも勇者に殺されない方法ばかり考えてたから、、攻撃という考え方がなかった...防御なんていらない、攻撃こそ最強の防御だ!!

「《闇の館ダークミスト》」

 そうと決まればとすぐに戦場を闇に染める...風等で簡単に吹き飛ばせる魔法だが、グレーテルにはそんな術はないと思った。戦った感じ肉体特化型と感じたからだ...

   案の定グレーテルはそのまま僕の所に向かってくる...普通は闇で何も見えないはずなのにさすがだ。でもこの魔法は入った時点でほぼ僕の勝ちだ!

 「《霧霧ミスト》」

 僕は体を闇にかえ体ごと闇に溶け込む。もちろんグレーテルは僕を見つけられない。

 「《打》」

 闇を固体化させグレーテルを殴る...シュン ギリギリでかわされる...さすがだ。

「《打》」 「《斬》」 「《打》」

 全てかわされた...反射神経が化け物すぎる。何もないところから出現させてるのに、瞬時に反応して回避する...

 反射神経もだが、どんな体勢で攻撃されても回避できる身体能力も化け物だ!!さすが元四天王なだけある。

 だが僕の勝ちさ!!仕掛けは全て済んでいる。絶対に回避できない攻撃をね。

 「《離脱》」

 闇化を解き僕は戦場の端に降りる...

 うんっ、残酷だけど圧倒的で幻想的な景色だ。僕の魔法『闇の館ダークミスト』が焼けている。四方全てを囲まれて少しづつ...黒色の炎で。

 そう『インフェルノ』だ!!闇の霧で囲ったのは目暗ましで、本命はインフェルノだった...インフェルノは何でも焼く、水でも霧でも闇でも、、本当に何でもだ!!

 ただ殴り合うだけでも勝てたと思うが...確実に降参してもらうにはこれしかなかった。

 僕は降参を待った。でも全然出てこない...アリス先生が止めないから生きてるはずだけど、、生きてるよね?

 「グゥオォォオオオオオオ」

 唸り声と共にグレーテルは出てきた。全身が燃えている...それでも僕の方に走ってくる。凄い執念だ、、、僕はグレーテルに見とれて動けなかった。

「ドサッ」

 僕まであと少しの所でグレーテルは倒れた...僕もすぐに我に帰る。

 「そこまでーーーーーーーー」

 アリス先生の合図と共にすぐに次元魔法でインフェルノをどこか知らない空間へと飛ばす。命は助かったとはいえ重症だった!

 でも回りはずっと盛り上がっている。その時   ビュン 本当ビックリする、ポプラだ。

「ずっといたんですけど、、戦ってたから...」

「何?」

 いたんだったら瞬間移動使うなよ!!内心ちょっとムカつく。

「元四天王 亡霊の王『アイビス・ステットマン』攻略につまづいてるのでで助けに来てください!!」

 なっっ、、、2人しかいないと思ったら...まだ倒してなかったのかよ。確かに僕みたいに1対1じゃないからムズいのかも..ダンジョン1から攻略しないといけないし、、じゃあ勇者アランは?やっぱ化け物なのか...

「分かった、僕が行くよ!あとマリクルースも。」

「私は情報を詰め込み過ぎて整理するまで動けそうにありません。」

 マリクルース!?まさか無理とは思わなかった...確かに図書館の情報全て取得したんだったらしょーがないかもだけど...

 勇者アランがすぐに行きたそうな顔をしたからすぐに続ける。

「アランはグレーテルの治療をよろしく。このままだったらヤバイから...じゃあジャック来る?」

 決闘なんかしなかったら...アランに頼めたのに、僕は自分を恨んだ。もーちょと早くポプラが来てくれてたら、、過去のことだからどーしようもないのに、考えだしちゃったから次々と溢れてくる。

「配下のゴースト以外だったら任せて下さいって感じすね。実体ないやつはちょっときびぃーんで!」

 ジャック流石、頼りになる!自分の弱点分かってるとことか、プロの暗殺者みたたいで格好いい...ホントにプロ何だけどね、、四天王になれるほどの超絶プロ。

「じゃあ ポプラ頼むね」

 僕は瞬間移動した先の景色なんて考えもしかった・・・・・
 

 

 



 

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