魔王に転生したら勇者に殺される運命だった話

僕ちゃん

1話  魔王

「そのうち勇者に殺されるから頑張ってね」

 それだけ言われると僕ーー町田慶斗まちだけいとは漆黒の闇へと落とされた。 
 落ちる落ちる。漆黒の闇へと落ちていく。
  もちろん抗うなんてできるわけがない。
 
僕は薄れいく意識の中で神を恨んだ。
 ただし比喩的なものじゃなくて本当に。
 私を落としたあの少年のような神マルワールを。
 僕の命を握っているものを。


      ◇ ◇ ◇



  僕の意識が戻るとそこは、、、廃墟??誰が見てもそう思いそうな建物だった。とりあえず外を確認したいと僕は他の部屋に入る。

 んっ? 僕が入った部屋には椅子が一つ置いてあるだけだ、、、椅子は綺麗すぎた。誰かが手入れしてるのか?

「お待ちしていましたケイト様。そこはかつて魔王様がお座りしていた椅子です。そして次はあなたが・・・」
 
 突然の声、、、しかもとても美人な女だ。んっ座れってか? 女からの無言の圧力 しゃーないなと僕は座る。

《認証しました。ステータスを確認しますか?》

 機械音と共に椅子から音声がながれる、、、何が認証されたんだ?疑問に思いながらもとりあえず「確認する」僕は答えた。

 ピコンッ 目の前に黒い半透明なウィンドウ画面が現れた。


ステータス
【名 前】ケイト・マチダ
【種 族】???
【職 業】魔王
【年 齢】16
【レベル】∞(勇者と戦う時勇者の半分になる)
【スキル】闇魔法300       火魔法200 
 
     風魔法200                次元魔法75                                                                
                    光魔法50                 生活魔法35

                    肉体強化70      魔物融合250

                    投擲術50          言語理解300

                    配下創造230      鑑定135

                   ダンジョン創造275     剣術70

                  特殊配下創造(残り4回)

     魔法創造(残り4回)

【称 号】勇者に殺される者
     転生者


 現れた画面にはステータスが載っていた。
 
 えっ、えぇぇ!?つっこむ所が多すぎる、まず僕って人じゃないんだ...感覚的には転生前と何も変わらないのに...

 色々考えたが····分かる訳もないので先へと目を進める。

 職業は魔王!!ずっと魔王は魔王として生まれる種族のようなものだと思っていたけど...でも魔王だったらホントに勇者に狙われそう...

 そして16歳、、めっちゃ若返ってる·······。多分適当だと思うけど、だって子供や老人じゃない限りあんまり変わらないから...

 レベルは∞、チートすぎる、、、いきなりマックスを突破してしまった。········ でも勇者にはやっぱり弱くなってしまう。

   そしてそして肝心のスキルは·····多分、、強いと思う。さすが魔王!!やっと安心した。

 えっと、、スキルの横の数字は熟練度かな?MAXは300らしいから...熟練度を見た感じ、僕は魔王の適正は高そうだ。基本、魔法と配下を使って戦う感じね。

 特殊配下創造!これが一番気になった魔法、、、残り4回?? 

 あっ 俗に言う四天王って奴だな!? これは後で考えるとして、だって四天王だよ!!気軽には作りたくない。

  えっと次は称号か。称号って確か通り名見たいなものか、、、転生者は分かる....勇者に殺され者ッてなんだ!? もしかして公認なの!! そ う い う 運命なの?? 
 
 上等だ! 絶対死なない魔王になってやるよ。 運命なんて糞くらえだ!!

「ステータスの確認は終わりましたか?以後ご主人様のお手伝いさせてもらいますので、何でもお聞き下さい。」

 あっそういう感じね!僕の補佐役か。さすがに1人じゃ、、、魔王って何か分からないもんね。謎だった女が少しだけわかった。とりあえず······試しに鑑定スキルでも使ってみようか。

 女に向かって心の中で「鑑定」と念じたら、ウィンドウが現れた。やっぱり人も鑑定できるのか。


ステータス
【名 前】マリー・クリース
【種 族】魔族
【職 業】万能メイド
【年 齢】47563
【スキル】空間魔法    危機探知
     メイド殺人術   叡知  
     主人護衛術    神の啓次
     身体強化    状態異常耐性
     速読       念話
【称 号】魔王を愛するもの
     不老のもの



 あっ、他人のスキルだと熟練度までは見れない感じね。

 それとも僕の熟練度が足りてないから見れないのかな? でも、所持スキルでだいたいの戦い方は分かる········

 メイド殺人術って何だ?あと空間魔法!! 全く想像できない、、、

 ツッこむところは他にもいっぱいあったが、今は彼女の叡智に頼るしかないかと思った。

 えっと、マリー、、、マリー・クリースだから......そうだ、マリクルース、マリクルースで良いや。

「マリクルース僕はとりあえずなにしたらいい?あとケイトで良いよ。」

 彼女は少しキョトンとしていたが、さすが叡智もち、、すぐに自分がマリクルースと呼ばれていると気付く。

「マリクルース、、、良い名前ですね。ケイト様はまず魔法に慣れる必要があると思います。あとは配下とダンジョンも作るべきですね。」

 確かにそうだと思ったが

「ケイト様じゃなくてケイト あと、ため口で良いよ。これから長い関係になると思うし。」

「じょ、徐々にでいいですか? ケイト    様」

 照れ隠しに様をつけるのがかわいい。それにしても、、、本当に長い関係になるのかな?

  とりあえず魔法に慣れないと、今勇者がきたら一貫の終わりだ.......

「マリクルース今勇者って何してるの?」

「勇者はまだ誕生していません。」

 とりあえず、時間はあると...でも油断はできない。配下とダンジョン強くしないとな、、、

 今は魔法の練習かな?じゃあ 想像がしやすい火魔法からしようか、、、あれ?使い方が自然と頭に入ってくる...ま~~、そこは神が何とかしてくれたんだろ。とりあえず僕も聞いたことがあるこのスキル、、、

「《ファイアボール》」

 僕が叫ぶと同時に、手のひらから火の塊が飛びだす。
 不思議と熱くない。でも思っていたのの数倍大きい。あっ バキバキ、、天井を破って空へと飛んでいく。

 僕はこの時、初めて外の世界を見た。外の世界といっても、空しか見えないが、、、空には太陽が2つあった。僕のファイアボールも合わさると3つだ。それほどまでに僕のファイアボールはでかかった。
 
 「さすが 魔王様です。ファイアボールでこの大きさ。あり得ない魔力量です。」

「マリクルース 口調戻ってるよ」

 いやぁー、マリクルースは誉めてくれたけど、、、これは練習しないとな.....

 このままじゃスピードも遅いし····多分効率も悪い。熟練度はあるから...コツさえつかめば一瞬でできるはずだよな?

「マリクルース何かコツとかってある?」
 
「そうですね。基本はイメージですね。魔力の完成系をイメージするだけです。だからコツよりは努力と才能です。まずは魔力を自由に動かせるようになることです。」

 うんっ!まずは魔力を自由に動かせられるようにしたら良いんだな!燃やすように動かしたら火属性の魔法になるってことか。

 えっと魔力はファイアボールの時に使ったやつだから、、、これか!! これを...とりあえず手のひらに集めてみるか。

 うーーん、あっ動いた。なるほど!! 自転車や車に近いな、自分の体のように動かせるけど、、、少しもどかしい感じ、性質さえつかんだら簡単そうだ!!

 とりあえずずっと動かし続けるか、後は量の調整だな。あんなでかいファイアボールばっか打つ訳にはいかないからな、、、あっわかったわ...めっちゃ簡単じゃん!ずっと筋肉に力を入れて歩く人間がいないように、、魔力でもオンとオフが·····って伝えるめっちゃ難しい。

 とにかくあとは複雑な魔力操作がんばるだけだな。とりあえずながらで練習しよう!
 
 それよりも今は仲間が欲しいからなぁー、仲間1人だけの魔王とか...ダンジョンも必要ないからな!!配下でも作ろっと...

「マリクルース 配下創造と特殊配下創造って何が違うの?」

「配下創造は名前がない下位モンスターしか創造できませんが、特殊配下創造ではケント様の願ったような能力をもつ強力なモンスターを創造できます。絶対無敵など他者に影響されるものは無理ですが、だいたい行けます。」

 なるほどね、特殊配下創造はホントによく考えた方が良さそうだな、、とりあえず···配下創造でも使って見るか。
 
    「《配下創造》」

 あーー、そーゆうかんじね。目の前に黒いウィンドウが現れた。ここのリストから選ぶ感じね。とりあえず知ってる名前があったので、「ゴブリン」と頭の中で念じる。
 うわっ、地面からゴブリンがせり上がってきた。そんな感じで出てくるんだ。とりあえず鑑定っと。

ステータス 
【名 前】ーーー
【種 族】ゴブリン
【職 業】なし
【スキル】噛みつき 棒術
【称 号】なし

 うんっ、絶対弱い。このスキルは封印かな?ゴブリン君ごめんね!·····名前でもつけるか·······不便だしね、、、

「今日からお前はゴブ太な」

《名付けに成功しました。ゴブ太が進化します。》

 突然のアナウンスと共に魔力が半分持っていかれた。レベル∞で魔力の量も半端なかったが、突然の脱力感。魔力が多い分持ってかれる量も半端じゃないのだ。

 なんだよ?突然? てか進化!?一応もう一度鑑定っと。

ステータス
【名 前】ゴブ太
【種 族】ゴブリン
【職 業】騎士
【スキル】剣術  平衡感覚
     威圧
【称 号】ゴブリンナイト

 えっめっちゃ強くなってる!!魔力余ってるときはネームドモンスター作るのありかもな!
 でもこれで勇者と戦えるかっていたら.....
  絶対無理だ......。

 バキバキッ その時突然建物の壁が割れた!!なんだ?

「死ねえぇーーー《真空龍拳》」

 えっ?困惑、、、人型のモンスターがスキルを放ってきている!僕に一直線で向かってくる。龍の形をしたエネルギーの塊...

 やるべきことは一瞬でわかった。
 
「《ダンジョン創造》」

   壁を作るんだ!!急げ、龍の形の攻撃から守れる壁を、、、。あったたら流石に死ぬだろうと分かる。
 

  ヤバい間に合わない・・・・
 
 

  
 
 
 
 
 
 
 

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品