異世界マゼマゼ奮闘記

ぷい16

王都での家族の語らい―後編

 ここはアカツキ邸の広めの応接室。

 カンデラ子爵家を招いて、久しぶりの家族との語らいである。


 直接脳に知識を与えて、「どこでこんな魔法を習得したんだい?」と聞かれて、正直に言おうか、何か他のことを言って誤魔化そうかとアカツキ伯爵とステファニア、二人顔を見合わせながら、意思疎通して、決断した。


「「私たち神と話ができるんです」」

「「「「はぁ!」」」」


 予想外の言葉にビックリのカンデラ子爵家一同。そこで口を開いたのは父のスティーブであった。


「話は聞いてやる。しかし、神への冒涜は許さんからな!」


 そして、名をスキカということ、夢の中で会うこと、夢の中で授かった能力などは起きてから実際に使えること、日本とインジスカン王国を交流させたいことなど、今までにあったことを説明する。


あきれた。ガムンダル様にお祈りをしないなんて」

「そんな神様を信用するのは今すぐめなさい!」

「二人を見損なったぞ!」


 と、家族から猛反発を受けるが、スティーブは、


「ふむ、今でこそインジスカン王国はマダラーウ教を国の宗教とし、神、ガムンダルをあがめているが、その昔、マダラーウ教ができる前は、神は多数いて、その中にスキカという神もたという話を古い書物で読んだことがあるひょっとしたら…」


 と、アカツキ伯爵やステファニアに肯定的な返答をした。すると、アカツキ伯爵は、


「長い間地上に現われてないからみな、本当の神のことを知らないんじゃないかって言ってた」


 カンデラ子爵家一同は、むずかしい顔をした。すると、アカツキ伯爵は、


「聞いて分からないなら実際に会えばいいじゃない。夢の中だけど」


 そう言ってのけた。すると、


「夢の中だって、会えるものなら会ってみたいものだな!」


 マイクが突っかかってきた。すると、アカツキ伯爵は、スキカに念話を飛ばし、交渉して、


「今日の夜に会えるってよ。夢の中だけど」


 カンデラ家一同はポカンとする。


「神と言ったよな?何故なぜ神とそんなに簡単に会話ができる!」

「いろいろと指示を聞いたり、頼み事をしなきゃならないからね」


 カンデラ家一同はまたもやポカンとする。


「とりあえずは今晩だな!」

「ああ」


 この話はこれで一旦落ち着き、話題を変えて、また歓談するのであった。

 話の切り替わり目はギクシャクしていたが、時間がつにつれ、力も抜け、和やかな家族の会話となった。


 そして、会はお開きとなり、名残惜しそうに、みな、帰っていった。


     *


 アカツキ伯爵が寝てから2時間くらい経ったであろうか。

 体は眠っているのに意識はしっかりしている。

 若緑色を基調とした壁、焦げ茶色の床し、枯れ色の天井、そして、テーブルと椅子とティーセット。

 あの、ミーティングルームである。

 スキカ、アカツキ伯爵、ステファニアと並び、向かいにはカンデラ子爵家一同が座っている。


 まずはスキカがカップに口を付け、喉を潤すと、アカツキ伯爵とステファニアが口を付け、それからカンデラ子爵家一同がお茶を口にする。


悠生ゆうせい、ステファニア、私はそなたたちに私は「神」とは言っていないぞ。「神のようなもの」と言ったのだ」


 いきなり怒られる悠生ゆうせいとステファニア。


「まぁ、それはいいとして、スティーブ、ナンシー、君の子らには世話になっている。礼を言わせてくれ」

「いや、礼など言われても」

「畏れ多いことです」

「それはそれとして、悠生ゆうせい、ステファニア、神代魔法の方はどのくらい読み進めたかな?君も読んでいるのであろう?」

「最後まで読めました」

「まだ実際には試していませんが」


 スキカは「ふむ」と言って、アカツキ伯爵の頭に手を当てた。

 手は光だし、長い間手をかざし続けた。今回は長かった。

 同じようにステファニアの頭にも手をかざすスキカ。やはり長い。


「二人には、ちょっと早いが、高等編の知識を授けた。中級編を試して使いこなせるようになった後で読むといい」

「「ありがとうございます」」


 スキカは「ふむ」と考えて、


「シフォン、マイク、リサ。ここで会ったのも何かのえんだ。悠生ゆうせいやステファニアに教育されたのであろう?そなたにもこれから何か手伝ってもらうかも知れん」

「「「喜んでお手伝いさせていただきます」」」

「シフォン、マイク、リサにはまたここに来て指示を出すことにしよう。今は何を任せれば良いのか分からん」

「「「いつでもお呼びください」」」

悠生ゆうせいの発案とは言え、呼び出して、貴重な睡眠時間を邪魔して済まなかったな。ゆっくり休むが良い」


 アカツキ伯爵は意識がスーッと無くなって、また深い眠りにつくのであった。

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