異世界マゼマゼ奮闘記
王都での家族の語らい―前編
今日から正月モードの毎日更新を終え、通常の週3回更新に戻ります。
汲広とアントネラは『掃き出し窓の能力集中講習センター』の講師を続ける傍ら、神代魔法の中級編を読み進めていた。
残り1割、あと少し。
二人は変化の乏しい繰り返しの日々を送っていた。
一方、インジスカン王国側のアカツキ伯爵とステファニアは、もう、各学校の講師役は退き、領地側の仕事に追われていた。
「何が領地側は手のかからないようにしておいただ。工場の誘致で流通部門の需要が高まって、第一流通部門でリーダーになる人材を育てないといけないわ、新しく開設した流通部門の問題を片付けないといけないわで結構忙しいではないか」
「そうは言っても暇をもてあますよりいいではありませんか」
日本の汲広は第三工業団地までの計画までしか知らず、それならアカツキ伯爵たちにはあまり負担が無いだろうと、領地のことを引き継いだのである。
しかし実際は、日本企業の経費削減の要望と、インジスカン王国側の工場を誘致したいという利害の一致を受け、第四,第五の工業団地の計画が立ち上がったのである。
そのため、第一流通部門でリーダーになる人材を育てることが急務となっている。
「もう少ししたら領地へ戻らないか?こちらにいるより近い分、指示が出しやすいだろう?」
「そうですね。そろそろ領地へ戻る時期ですし、その方がいいかも知れません」
「その前に、カンデラ家に会っておかないか?」
「いいのですか?」
「領地へ戻るとしばらく会えないんだ。それくらいの時間は作るさ」
そして悠生は、カンデラ子爵夫妻、シフォン、マイク、リサの空いている時間を聞き取り、ちょうど皆の空き時間が重なる時期を見つけたので日時を連絡して、会うことにした。
前はカンデラ子爵邸に招かれたが、今度はアカツキ伯爵邸に招待する。
「アカツキ伯爵、今日は招いてくれてありがとう」
「いえいえ、どういたしまして」
ステファニアの家族が続々と集まる。
場所はアカツキ邸の広めの応接室。
食堂でもよかったのだが、7人集まるにしては部屋が広すぎるので、狭すぎもせず、広すぎもしない部屋を考えたらここになったのだ。
全員が集まったところでアカツキ伯爵が、
「今日はお集まりいただきありがとうございます。我々が城下町から離れることになったため、しばらく会えなくなるため、その前に親睦を深めたいとお集まり頂きました。お話をしながら、親睦を深めましょう」
アカツキ伯爵は適当に挨拶を述べると、お茶やお茶菓子に一度、皆が口を付ける。すると、カンデラ夫妻が、
「我々ももうすぐしたら領地に帰るので、ちょうど良いタイミングだったよ」
「久々に皆に会えて嬉しいわ」
喜んでもらえたようだ。
始めは近況を報告し合う。
カンデラ夫妻は貴族の仕事やら、領地の仕事など、シフォン、マイク、リサは、アカツキ伯爵が手がけた学校を全て受講したので、通訳など、仕事に困らないそうだ。
そうこう話しているうちに工業団地の話になった。
「工業団地の流通部門の人間は我々が育てているんですよ」
「掃き出し窓の魔法を使える者なんて、あまり多くはいないだろうに、どうやって見つけてくるんだい?」
と、マイクから質問が来たので、アカツキ伯爵は、
「見つけてくるんじゃなくて、使えない者も、使えるようにするんです」
と言った。
「使えるようにするって、何か新しい習得法を編み出したのかい?」
「体験してみますか?」
「面白そうだし、頼むよ」
「私も」
全員が興味を示したので、順々に、流通部門が必要な能力を、スティーブ、ナンシー、シフォン、マイク、リサに授けていった。
「知識を他者から送られるなんて初めて体験した」
「何だか不思議な気分ですね」
口々に感想を述べる。
「こんな感じで知識を与えて、あとは慣れるために練習をしてもらってます」
「これなら掃き出し窓の魔法が元々使えなくても、使えるようになりますね」
すると、
「どこでこんな他人に知識を与える魔法を習得したんだい?」
あまり聞いて欲しくない話題を振られた。
どうしよう。
いっそのこと言ってしまおうか?
悠生とステファニアは顔を見合わせた。
汲広とアントネラは『掃き出し窓の能力集中講習センター』の講師を続ける傍ら、神代魔法の中級編を読み進めていた。
残り1割、あと少し。
二人は変化の乏しい繰り返しの日々を送っていた。
一方、インジスカン王国側のアカツキ伯爵とステファニアは、もう、各学校の講師役は退き、領地側の仕事に追われていた。
「何が領地側は手のかからないようにしておいただ。工場の誘致で流通部門の需要が高まって、第一流通部門でリーダーになる人材を育てないといけないわ、新しく開設した流通部門の問題を片付けないといけないわで結構忙しいではないか」
「そうは言っても暇をもてあますよりいいではありませんか」
日本の汲広は第三工業団地までの計画までしか知らず、それならアカツキ伯爵たちにはあまり負担が無いだろうと、領地のことを引き継いだのである。
しかし実際は、日本企業の経費削減の要望と、インジスカン王国側の工場を誘致したいという利害の一致を受け、第四,第五の工業団地の計画が立ち上がったのである。
そのため、第一流通部門でリーダーになる人材を育てることが急務となっている。
「もう少ししたら領地へ戻らないか?こちらにいるより近い分、指示が出しやすいだろう?」
「そうですね。そろそろ領地へ戻る時期ですし、その方がいいかも知れません」
「その前に、カンデラ家に会っておかないか?」
「いいのですか?」
「領地へ戻るとしばらく会えないんだ。それくらいの時間は作るさ」
そして悠生は、カンデラ子爵夫妻、シフォン、マイク、リサの空いている時間を聞き取り、ちょうど皆の空き時間が重なる時期を見つけたので日時を連絡して、会うことにした。
前はカンデラ子爵邸に招かれたが、今度はアカツキ伯爵邸に招待する。
「アカツキ伯爵、今日は招いてくれてありがとう」
「いえいえ、どういたしまして」
ステファニアの家族が続々と集まる。
場所はアカツキ邸の広めの応接室。
食堂でもよかったのだが、7人集まるにしては部屋が広すぎるので、狭すぎもせず、広すぎもしない部屋を考えたらここになったのだ。
全員が集まったところでアカツキ伯爵が、
「今日はお集まりいただきありがとうございます。我々が城下町から離れることになったため、しばらく会えなくなるため、その前に親睦を深めたいとお集まり頂きました。お話をしながら、親睦を深めましょう」
アカツキ伯爵は適当に挨拶を述べると、お茶やお茶菓子に一度、皆が口を付ける。すると、カンデラ夫妻が、
「我々ももうすぐしたら領地に帰るので、ちょうど良いタイミングだったよ」
「久々に皆に会えて嬉しいわ」
喜んでもらえたようだ。
始めは近況を報告し合う。
カンデラ夫妻は貴族の仕事やら、領地の仕事など、シフォン、マイク、リサは、アカツキ伯爵が手がけた学校を全て受講したので、通訳など、仕事に困らないそうだ。
そうこう話しているうちに工業団地の話になった。
「工業団地の流通部門の人間は我々が育てているんですよ」
「掃き出し窓の魔法を使える者なんて、あまり多くはいないだろうに、どうやって見つけてくるんだい?」
と、マイクから質問が来たので、アカツキ伯爵は、
「見つけてくるんじゃなくて、使えない者も、使えるようにするんです」
と言った。
「使えるようにするって、何か新しい習得法を編み出したのかい?」
「体験してみますか?」
「面白そうだし、頼むよ」
「私も」
全員が興味を示したので、順々に、流通部門が必要な能力を、スティーブ、ナンシー、シフォン、マイク、リサに授けていった。
「知識を他者から送られるなんて初めて体験した」
「何だか不思議な気分ですね」
口々に感想を述べる。
「こんな感じで知識を与えて、あとは慣れるために練習をしてもらってます」
「これなら掃き出し窓の魔法が元々使えなくても、使えるようになりますね」
すると、
「どこでこんな他人に知識を与える魔法を習得したんだい?」
あまり聞いて欲しくない話題を振られた。
どうしよう。
いっそのこと言ってしまおうか?
悠生とステファニアは顔を見合わせた。
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