異世界マゼマゼ奮闘記
初稼働―前編
ハンディーターミナルを覚えさせ、充電器に指すところまで教える。
このセンターでは使い終わったハンディーターミナルは、シャットダウンさせるらしい。もちろん、使うときには起動からだ。
そこまで教えて、不安を無くすのも我々の仕事だ。
昼食の1時間前、五階の比較的広い部屋でミーティングをし、一段落したところで、明日実作業に入る者を指定する。
「以上7組14名は、明日、実際に配達してもらう」
「「「はい」」」
「で、だ。会計が済むまでは掃き出し窓の能力を使うな」
一人のメンバーが、
「それはどうしてですか?」
と、訪ねてくるので、汲広は、
「先に掃き出し窓の能力を開けて見ろ。最初は何が起こったのか分からないが、1回でもアレを使うと、あれで届け先へ向かうのだとバレる。会計前に、客が掃き出し窓の能力で先方へ行き、荷物を届けてみろ。荷物は届くがこちらには一銭も入らん。何しに行ったのか分からん」
周りがザワザワし始める。
「何回か行ってどういう仕組みか理解できたら悪用するヤツらも出てくるという話しだ。何か問題があればすぐに報告しろ!どんな悪知恵を使って安く抑えようとするか分からん」
「「「はい」」」
「もうそろそろ昼食の時間だな」
ここでは、バイク便のメンバーが、12時から2時までに食事を摂る。
時間が2時間あるのは、12時台に仕事がある者、1時台に仕事がある者、どの時間でも荷物を届けられるように時間差で食事を摂るためだ。そのため、瞬達便メンバーは11時から食事を摂る。
バイク便メンバーのジャマはしないのである。
午後は、実際の配達の振り分けをするアプリを開き、練習モードでどう配達依頼が来、依頼が終了すると、どう操作するか練習した。
このソフトにも練習モードがあり、実際依頼が来たような実践的な練習ができる。
それでしばらく練習したその後、模擬練習とミーティングである。今日も少し精度が上がった。
そして次の日、制服は皆、配達に出られる服を毎日着用しているので服装は変わらないのだが、土のう袋の能力にいろいろ詰め、腰のポシェットには会計用の釣り銭の入った腰カバンをしたメンバーがいた。
今日、実際に配達することとなった7組14名の優秀なメンバ-のうち、配達員の7名である。準備が整って、五階で朝礼だ。
疋田野課長からの訓示があり、7組14名は同じ列のブースに入った。
配達を振り分けるアプリを開き、依頼が来るまで待機だ。
しばらくして、1組に依頼が入った。
住所を見て、配達員はすぐに現場へ駆けつけた。依頼主は会社であった。
受付で、
「まいど、木瀬通運です。荷物をお預かりに上がりました。直接7階へ行ってもいいですか」
「どうぞお通り下さい」
配達員が7階へ行き、目的の部屋にたどり着き、少しドア話開けながら、
「まいど、木瀬通運です。荷物をお預かりに上がりました」
「随分と早い対応だね?」
「バイク便でのご依頼でしたが、この度、新たにバイク便より早い『瞬達便』というサービスを始めまして、通常は瞬達便の方がバイク便より送料がお高いのですが、お試しで、バイク便の料金で瞬達便がご利用になれます」
「バイク便より早いのか。まぁ、早くて確実に届くのならどちらでも構わん。この荷物を至急届けてくれ」
もう宛名が書いてある厚紙の封筒に入った荷物を受け取り、ハンディーターミナルで読み込みんだ。
この会社は月払いの会社だ。今は集金しない。宛名から場所を連想し、
「それではすぐにお届けします」
そう言ってドアを閉めて掃き出し窓の能力で宛先へ向かった。
果たしてそこには宛名に書いてある会社があった。受付で、
「まいど、木瀬通運です。荷物をお届けに上がったのですが、お急ぎの荷物で、直接部屋へ行ってもいいですか?」
「はい。お通り下さい」
お目当ての部屋の前まで来ると、扉を少し開けて、
「まいど、木瀬通運です。荷物をお届けに上がりました」
「あぁ、入ってくれ」
「宛先はこちらでお間違いありませんか?」
「あぁ、間違い無い」
「それではこちらに受け取りのハンコをお願いします」
「はい、ハンコね」
「バイク便での依頼でしたが、バイク便より急ぎの場合、瞬達便というサービスができましたので、お急ぎのときにご利用下さい」
「あぁ、分かった」
「ご利用ありがとうございます」
そして、持ち帰らないといけない伝票を鞄に詰めると、ナビゲーターに念話を飛ばす。
(配達終わりました。次の依頼は来ていますか?)
(依頼は来ていません。一度こちらにお戻り下さい)
(了解です。すぐに戻ります)
ナビゲータールームに戻ると、汲広から、
「どうだった?」
と、聞かれたので、自慢げに、
「実にスムーズに事が進みました」
と、返答するのであった。
このセンターでは使い終わったハンディーターミナルは、シャットダウンさせるらしい。もちろん、使うときには起動からだ。
そこまで教えて、不安を無くすのも我々の仕事だ。
昼食の1時間前、五階の比較的広い部屋でミーティングをし、一段落したところで、明日実作業に入る者を指定する。
「以上7組14名は、明日、実際に配達してもらう」
「「「はい」」」
「で、だ。会計が済むまでは掃き出し窓の能力を使うな」
一人のメンバーが、
「それはどうしてですか?」
と、訪ねてくるので、汲広は、
「先に掃き出し窓の能力を開けて見ろ。最初は何が起こったのか分からないが、1回でもアレを使うと、あれで届け先へ向かうのだとバレる。会計前に、客が掃き出し窓の能力で先方へ行き、荷物を届けてみろ。荷物は届くがこちらには一銭も入らん。何しに行ったのか分からん」
周りがザワザワし始める。
「何回か行ってどういう仕組みか理解できたら悪用するヤツらも出てくるという話しだ。何か問題があればすぐに報告しろ!どんな悪知恵を使って安く抑えようとするか分からん」
「「「はい」」」
「もうそろそろ昼食の時間だな」
ここでは、バイク便のメンバーが、12時から2時までに食事を摂る。
時間が2時間あるのは、12時台に仕事がある者、1時台に仕事がある者、どの時間でも荷物を届けられるように時間差で食事を摂るためだ。そのため、瞬達便メンバーは11時から食事を摂る。
バイク便メンバーのジャマはしないのである。
午後は、実際の配達の振り分けをするアプリを開き、練習モードでどう配達依頼が来、依頼が終了すると、どう操作するか練習した。
このソフトにも練習モードがあり、実際依頼が来たような実践的な練習ができる。
それでしばらく練習したその後、模擬練習とミーティングである。今日も少し精度が上がった。
そして次の日、制服は皆、配達に出られる服を毎日着用しているので服装は変わらないのだが、土のう袋の能力にいろいろ詰め、腰のポシェットには会計用の釣り銭の入った腰カバンをしたメンバーがいた。
今日、実際に配達することとなった7組14名の優秀なメンバ-のうち、配達員の7名である。準備が整って、五階で朝礼だ。
疋田野課長からの訓示があり、7組14名は同じ列のブースに入った。
配達を振り分けるアプリを開き、依頼が来るまで待機だ。
しばらくして、1組に依頼が入った。
住所を見て、配達員はすぐに現場へ駆けつけた。依頼主は会社であった。
受付で、
「まいど、木瀬通運です。荷物をお預かりに上がりました。直接7階へ行ってもいいですか」
「どうぞお通り下さい」
配達員が7階へ行き、目的の部屋にたどり着き、少しドア話開けながら、
「まいど、木瀬通運です。荷物をお預かりに上がりました」
「随分と早い対応だね?」
「バイク便でのご依頼でしたが、この度、新たにバイク便より早い『瞬達便』というサービスを始めまして、通常は瞬達便の方がバイク便より送料がお高いのですが、お試しで、バイク便の料金で瞬達便がご利用になれます」
「バイク便より早いのか。まぁ、早くて確実に届くのならどちらでも構わん。この荷物を至急届けてくれ」
もう宛名が書いてある厚紙の封筒に入った荷物を受け取り、ハンディーターミナルで読み込みんだ。
この会社は月払いの会社だ。今は集金しない。宛名から場所を連想し、
「それではすぐにお届けします」
そう言ってドアを閉めて掃き出し窓の能力で宛先へ向かった。
果たしてそこには宛名に書いてある会社があった。受付で、
「まいど、木瀬通運です。荷物をお届けに上がったのですが、お急ぎの荷物で、直接部屋へ行ってもいいですか?」
「はい。お通り下さい」
お目当ての部屋の前まで来ると、扉を少し開けて、
「まいど、木瀬通運です。荷物をお届けに上がりました」
「あぁ、入ってくれ」
「宛先はこちらでお間違いありませんか?」
「あぁ、間違い無い」
「それではこちらに受け取りのハンコをお願いします」
「はい、ハンコね」
「バイク便での依頼でしたが、バイク便より急ぎの場合、瞬達便というサービスができましたので、お急ぎのときにご利用下さい」
「あぁ、分かった」
「ご利用ありがとうございます」
そして、持ち帰らないといけない伝票を鞄に詰めると、ナビゲーターに念話を飛ばす。
(配達終わりました。次の依頼は来ていますか?)
(依頼は来ていません。一度こちらにお戻り下さい)
(了解です。すぐに戻ります)
ナビゲータールームに戻ると、汲広から、
「どうだった?」
と、聞かれたので、自慢げに、
「実にスムーズに事が進みました」
と、返答するのであった。
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