異世界マゼマゼ奮闘記
新人教育初日―配達業者の実習
「それでは終了~」
終業の時間まで1時間半前になったところで、汲広は今日の成否の報告を聞く。
この時間があればこれくらいはできるよねという結果が出たのは7人。
成功が1ケタなのが13人、一度も成功しなかったのは20人。
これにはビックリした。汲広もアントネラも行き先をイメージできなかったことは無いし、イメージさえできれば行けるのが掃き出し窓の能力だ。
午前中に、掃き出し窓の能力は全員成功している。
失敗したのはは地理の能力か?掃き出し窓の能力か?聞こうにもこの部屋はパーティションで区切られていてお互いの顔が見えづらい。
疋田野課長に食堂の利用許可を取って全員六階まで上がった。
まずは成功例から聞いてみよう。
「能力というのは今日授かって、初めて触れるものなので、不安でしかなかったのですが、いざ使ってみると、集中力は要りますが、ちゃんと行き先をイメージでき、到着でき、数をこなすことができました」
「実は何度か失敗しているんです。指示されたところから10mくらい違う場所をイメージしてしまってGPSを見てビックリ。正しくない場所に出てしまって、仕事が始まったらちゃんとできるか不安です」
イメージで失敗しているということは、やはり地理の能力での失敗なのか?次に1ケタのグループに話を聞いてみた。
「まず、イメージするところが難しかった。いくら頭をひねっても場所が思い浮かばないのです。正直、これから仕事になると、ちゃんとできるか不安でいっぱいです」
「イメージができたので、いざ行ってみると、目的地から1km離れたところに出てしまってビックリしました。今後の練習で精度は上がるのでしょうか?」
「イメージできたのですが、方角を間違ってしまっていて全然違う場所に出てしまいました。ペアの人に、正しい場所のイメージを送ってもらって行ってみたら、成功しましたが、さすがに失敗でカウントしました」
次に、成功しなかった人の話を聞いてみる。
「行き先の場所ってどうやってイメージするんですか?」
「いきなり高度な課題を出されてやれって言われても無理です。今まで魔法なんて使ったこと無いんですから」
「行き先をイメージしたら、怖そうな犬がいたので行けませんでした」
成功しなかった人でも、何らかのイメージができた人は居るようだ。
汲広は全員に声をかける。
「成功しなかった者、後で時間をやるから少しでもイメージできた者にやり方を教われ。それから、全然イメージできなかった者は除いて、イメージできたなら行ってみろ!イメージできなかったら交替するなどして次に進め!これじゃぁ、1カ所で悩んでいたら何ができて何ができないのか分からん。それではお互い教え合え!」
食堂が騒がしくなった。
汲広やアントネラがやり方やコツを教えられれば一番良かったのだが、二人とも、何ら悩まずにできて、失敗したことがない。
成功が普通なのだ。早めに切り上げたのは、精度を上げる話し合いをしたかったのだが、半数が何もできないとは正直思わなかった。
こういった話し合いの時間があったのは正直偶然であり、無ければ困るところであった。
「コツをつかめそうな者、二階のナビゲータールームへ行って試して来い。結果を聞いてやる。でも、今回のペア、揃って行くんだぞ」
何かピンと来るものがあったのだろう。
何組かは部屋を出て行った。
でも、1回もできなかった者の大半は、何か掴もうと、できた者の話を聞くのに真剣だ。
地図の能力は配達員にもナビゲーターにも必須の能力だ。
10mくらいズレようが、行き先で修正できるが、全員何かしらできてもらわなければ困る。
瞬達便の運営に暗雲が立ちこめる。
部屋を出て行ったペアのうち、1組が帰って来た。どうだったか聞いてみた。
「練習時間中は1回もできなかったのですが、コツを聞いてやってみたら成功しました!まぐれかと思ってもう一回やってみたらまた成功しました!これでここを首にならずに済みそうです!」
「クビ」という言葉を聞いて、一瞬、場が静かになり、「首はヤダ」とか「失敗したらどうしよう」とか私語が増え始めた。
「コラ、私語は止めろ!この場でコツを聞いて、全員地図の能力を使いこなせなくてどうする?真面目にしないと本当に首にするぞ!」
そうしているうちに、二階へ降りたペアは全員戻ってきて、全ペア、1回は成功したようだ。
汲広はちょっとほっとした。
「コツの話し合いは終わりだ。明日からはやり方をちょっと考えてみる。全員!できるようになるぞ!」
「「「オー!」」」
「それでは終礼をするので皆、五階へ降りろ!」
汲広とアントネラの長い一日はまだ終わらない。
終業の時間まで1時間半前になったところで、汲広は今日の成否の報告を聞く。
この時間があればこれくらいはできるよねという結果が出たのは7人。
成功が1ケタなのが13人、一度も成功しなかったのは20人。
これにはビックリした。汲広もアントネラも行き先をイメージできなかったことは無いし、イメージさえできれば行けるのが掃き出し窓の能力だ。
午前中に、掃き出し窓の能力は全員成功している。
失敗したのはは地理の能力か?掃き出し窓の能力か?聞こうにもこの部屋はパーティションで区切られていてお互いの顔が見えづらい。
疋田野課長に食堂の利用許可を取って全員六階まで上がった。
まずは成功例から聞いてみよう。
「能力というのは今日授かって、初めて触れるものなので、不安でしかなかったのですが、いざ使ってみると、集中力は要りますが、ちゃんと行き先をイメージでき、到着でき、数をこなすことができました」
「実は何度か失敗しているんです。指示されたところから10mくらい違う場所をイメージしてしまってGPSを見てビックリ。正しくない場所に出てしまって、仕事が始まったらちゃんとできるか不安です」
イメージで失敗しているということは、やはり地理の能力での失敗なのか?次に1ケタのグループに話を聞いてみた。
「まず、イメージするところが難しかった。いくら頭をひねっても場所が思い浮かばないのです。正直、これから仕事になると、ちゃんとできるか不安でいっぱいです」
「イメージができたので、いざ行ってみると、目的地から1km離れたところに出てしまってビックリしました。今後の練習で精度は上がるのでしょうか?」
「イメージできたのですが、方角を間違ってしまっていて全然違う場所に出てしまいました。ペアの人に、正しい場所のイメージを送ってもらって行ってみたら、成功しましたが、さすがに失敗でカウントしました」
次に、成功しなかった人の話を聞いてみる。
「行き先の場所ってどうやってイメージするんですか?」
「いきなり高度な課題を出されてやれって言われても無理です。今まで魔法なんて使ったこと無いんですから」
「行き先をイメージしたら、怖そうな犬がいたので行けませんでした」
成功しなかった人でも、何らかのイメージができた人は居るようだ。
汲広は全員に声をかける。
「成功しなかった者、後で時間をやるから少しでもイメージできた者にやり方を教われ。それから、全然イメージできなかった者は除いて、イメージできたなら行ってみろ!イメージできなかったら交替するなどして次に進め!これじゃぁ、1カ所で悩んでいたら何ができて何ができないのか分からん。それではお互い教え合え!」
食堂が騒がしくなった。
汲広やアントネラがやり方やコツを教えられれば一番良かったのだが、二人とも、何ら悩まずにできて、失敗したことがない。
成功が普通なのだ。早めに切り上げたのは、精度を上げる話し合いをしたかったのだが、半数が何もできないとは正直思わなかった。
こういった話し合いの時間があったのは正直偶然であり、無ければ困るところであった。
「コツをつかめそうな者、二階のナビゲータールームへ行って試して来い。結果を聞いてやる。でも、今回のペア、揃って行くんだぞ」
何かピンと来るものがあったのだろう。
何組かは部屋を出て行った。
でも、1回もできなかった者の大半は、何か掴もうと、できた者の話を聞くのに真剣だ。
地図の能力は配達員にもナビゲーターにも必須の能力だ。
10mくらいズレようが、行き先で修正できるが、全員何かしらできてもらわなければ困る。
瞬達便の運営に暗雲が立ちこめる。
部屋を出て行ったペアのうち、1組が帰って来た。どうだったか聞いてみた。
「練習時間中は1回もできなかったのですが、コツを聞いてやってみたら成功しました!まぐれかと思ってもう一回やってみたらまた成功しました!これでここを首にならずに済みそうです!」
「クビ」という言葉を聞いて、一瞬、場が静かになり、「首はヤダ」とか「失敗したらどうしよう」とか私語が増え始めた。
「コラ、私語は止めろ!この場でコツを聞いて、全員地図の能力を使いこなせなくてどうする?真面目にしないと本当に首にするぞ!」
そうしているうちに、二階へ降りたペアは全員戻ってきて、全ペア、1回は成功したようだ。
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「コツの話し合いは終わりだ。明日からはやり方をちょっと考えてみる。全員!できるようになるぞ!」
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