異世界マゼマゼ奮闘記
宅配業者との面談―後編
「サインして頂けたのでやっと本題に入れますね」
北入は、そう言うと、資料をざっと広げた。
「最初は試験的に宅配員20名程で、都心のみに限っての配達でと考えています」
北入は資料を指さし、
「最初はお試しで、バイク便と同程度の利用料で、このサービスが浸透しだしたらバイク便より早いので、値上げを考えていますが、ここで伺いたいのですが、近距離の移動と、県をまたいだ遠方の運搬とでは体力を使ったり、魔力でしたか、それを多く消費したり、何か長距離で不利になるようなことってありますか?」
アントネラが答える。
「前の技術では、遠方に行けば行く程魔力を使って、魔力の減り具合によって回数や、その後の距離に影響が出ましたが、このサービスで使う技術に関して言えば、距離で不利になることは、そうですね。配達先を探す手間くらいでしょうか?」
北入は、
「配送先を探す手間ですか… まぁ、それにコストがかかっても、儲けは出るでしょうし、それくらいしか距離が不利になることがないなら、配達は距離にかかわらず一律でも大丈夫そうですか?」
「はい。一律でも問題ないと思います」
「それでは、料金は距離にかかわらず一律にしましょう」
北入は、胸をなで下ろした。すると、汲広は、
「掃き出し窓の能力は、宛先を思い描けないと行きたいところに行けないのですが、初期の配達では、宛名を見ても、宛先を思い描けないので、専属のナビゲーターが必要になると思いますよ」
「ナビゲーターですか。どんなことをする人でしょう?」
「能力で宛先を思い描いたり、パソコンや地図を使って宛先を探したりして、その場所を確定させて、念話で宛先情報を配達員に知らせる人を想定しています」
「それでは、ナビゲーターも雇わないといけないんですね」
「そうなります。ただ、配達員も慣れてくると宛名がすんなりと出てくるようになるので新人や、よほど思い描きにくいときに頼る相手ですかね」
掃き出し窓の能力は、今までは、宛先も含めて行ったことがあるところへしか行けなかったのだ。
行ったことのないところまで行けるようになったのは画期的だ。
でも、新人がいきなりやれと言われても、できるとは限らない。
バックアップできる人間を抱えておくのは悪い案ではないだろう。
「配達員が20名程として、ナビゲーターは何人要りますか?」
「10名程は欲しいですね。でも、規模を拡大しても、ナビゲーターはそれほど人数を増やさなくても配達員が慣れるでしょう」
「ナビゲーターですか… 想定外の人員ですねぇ。他にどのような人員が必要になるでしょう?」
「配達員は一回一回事務所に戻ってきたりしません。配達が終わると、次の配達先へ向かいます。集金はどのようにするかとか、次の宛先へナビゲートする人だとかが要りますね。…となると、次の行き先へ指示を出す人が必要になるわけだから、ナビゲーターは次の配達元へ行くように指示を出すのを兼任して、やはり、ナビゲーターは規模を大きくすると増えますね。配達員と同程度の人員が必要になると訂正させて下さい」
北入は腕を組み、
「配達員と同程度の数のナビゲーターですか… ナビゲーターを配車係の人間と同じ事をするにしても… 配達員と同じ数ですか…」
「逆にナビゲーターを増やしたいくらいですよ。配達がすぐに終わるのだから、次々指示を出す方はかなり大変ですよ」
「そういうものですか」
北入は、ちょっとうなった後、
「分かりました。配送係20と、ナビゲーター20で開始しましょう」
「それでもナビゲーター、キツいと思いますよ」
アントネラがそれに続き、
「電話対応や依頼を受ける人員は別でお願いします。それまでさせるとナビゲーターの負担が大きすぎて配達員が暇になりますから」
「そちらはバイク便と兼任してもらえば大丈夫ですよ」
「あと、集金はどのようにして行うのですか?」
「1回きりだとか、利用回数の少ない人は配達員がお金を扱うことになります。定期的や回数の多いお客様でしたらこちらで料金のことはしますよ。他に問題点やら気付いたことはないですか?」
「特にありません」
「あとはやってみないと分かりません」
「はぁ、やってみないとですか… そりゃ、やってみてやっと不具合が見つかることは多々ありますが、その言い方、何だか不安ですねぇ」
北入は、ちょっとうなった後、
「まぁ、決めることは決めました。ちょっと資料を作り直してから企画会議に行きましょう」
とりあえずは北入とのやり取りは終わるのであった。
北入は、そう言うと、資料をざっと広げた。
「最初は試験的に宅配員20名程で、都心のみに限っての配達でと考えています」
北入は資料を指さし、
「最初はお試しで、バイク便と同程度の利用料で、このサービスが浸透しだしたらバイク便より早いので、値上げを考えていますが、ここで伺いたいのですが、近距離の移動と、県をまたいだ遠方の運搬とでは体力を使ったり、魔力でしたか、それを多く消費したり、何か長距離で不利になるようなことってありますか?」
アントネラが答える。
「前の技術では、遠方に行けば行く程魔力を使って、魔力の減り具合によって回数や、その後の距離に影響が出ましたが、このサービスで使う技術に関して言えば、距離で不利になることは、そうですね。配達先を探す手間くらいでしょうか?」
北入は、
「配送先を探す手間ですか… まぁ、それにコストがかかっても、儲けは出るでしょうし、それくらいしか距離が不利になることがないなら、配達は距離にかかわらず一律でも大丈夫そうですか?」
「はい。一律でも問題ないと思います」
「それでは、料金は距離にかかわらず一律にしましょう」
北入は、胸をなで下ろした。すると、汲広は、
「掃き出し窓の能力は、宛先を思い描けないと行きたいところに行けないのですが、初期の配達では、宛名を見ても、宛先を思い描けないので、専属のナビゲーターが必要になると思いますよ」
「ナビゲーターですか。どんなことをする人でしょう?」
「能力で宛先を思い描いたり、パソコンや地図を使って宛先を探したりして、その場所を確定させて、念話で宛先情報を配達員に知らせる人を想定しています」
「それでは、ナビゲーターも雇わないといけないんですね」
「そうなります。ただ、配達員も慣れてくると宛名がすんなりと出てくるようになるので新人や、よほど思い描きにくいときに頼る相手ですかね」
掃き出し窓の能力は、今までは、宛先も含めて行ったことがあるところへしか行けなかったのだ。
行ったことのないところまで行けるようになったのは画期的だ。
でも、新人がいきなりやれと言われても、できるとは限らない。
バックアップできる人間を抱えておくのは悪い案ではないだろう。
「配達員が20名程として、ナビゲーターは何人要りますか?」
「10名程は欲しいですね。でも、規模を拡大しても、ナビゲーターはそれほど人数を増やさなくても配達員が慣れるでしょう」
「ナビゲーターですか… 想定外の人員ですねぇ。他にどのような人員が必要になるでしょう?」
「配達員は一回一回事務所に戻ってきたりしません。配達が終わると、次の配達先へ向かいます。集金はどのようにするかとか、次の宛先へナビゲートする人だとかが要りますね。…となると、次の行き先へ指示を出す人が必要になるわけだから、ナビゲーターは次の配達元へ行くように指示を出すのを兼任して、やはり、ナビゲーターは規模を大きくすると増えますね。配達員と同程度の人員が必要になると訂正させて下さい」
北入は腕を組み、
「配達員と同程度の数のナビゲーターですか… ナビゲーターを配車係の人間と同じ事をするにしても… 配達員と同じ数ですか…」
「逆にナビゲーターを増やしたいくらいですよ。配達がすぐに終わるのだから、次々指示を出す方はかなり大変ですよ」
「そういうものですか」
北入は、ちょっとうなった後、
「分かりました。配送係20と、ナビゲーター20で開始しましょう」
「それでもナビゲーター、キツいと思いますよ」
アントネラがそれに続き、
「電話対応や依頼を受ける人員は別でお願いします。それまでさせるとナビゲーターの負担が大きすぎて配達員が暇になりますから」
「そちらはバイク便と兼任してもらえば大丈夫ですよ」
「あと、集金はどのようにして行うのですか?」
「1回きりだとか、利用回数の少ない人は配達員がお金を扱うことになります。定期的や回数の多いお客様でしたらこちらで料金のことはしますよ。他に問題点やら気付いたことはないですか?」
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「あとはやってみないと分かりません」
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