異世界マゼマゼ奮闘記
インジスカン王国の医師のレベル
汲広、省語、多田之助がケネヴァ・フォン・バーラルの治療を終えて戻って来たのは、アカツキ伯爵領の城下町、ハーパヤに唯一ある治療院。
そこにはストレッチャーを準備していつお呼びがかかるか待ち構えていたこの治療院の医師、ゴードン・ラリーの姿があった。
ちなみにストレッチャーというのは折りたためて自在車の付いた寝台。救急車でけが人、病人を寝かせたまま運ぶ、あれである。
「お姫様をこちらへ運ぶ準備は整い… ってあれ?全員戻って来たのですか?」
「あぁ。治療が終わったのでな」
ゴードンはストレッチャーを仕舞い、姫様が治ったというのに浮かない顔をしている3人を、とりあえず、待合室の椅子に座らせ、テーブルを持って来てお茶を注ぎ、自分も椅子に座る。
「姫様は治ったのでしょ?何故そんな苦虫をかみつぶしたような顔を皆さんしているのですか?」
「いやなに、あまりにも治療が簡単だったのでな」
汲広の後に、省語が続ける。
「我々は、バーラル子爵が、色々な名医に診せて、それでも異常を発見できなかったので、大病を患っているものだと思って、場合によっては日本で手術をさせる心づもりであちらに行ったのだよ。そしたら我々の画像診断で原因がすぐに発見でき、短時間で処置ができ、経過は見ないといけないのだが、それでも姫様は今後快方に向かうだろうと確信を持っている」
「それは、つまり…」
「こちらの名医様は、たった1時間もかからずに治療できるものを、原因すらつかめず何の処置もできないことに我々3人は頭を抱えているのだよ」
汲広は、
「レベルが低い。低すぎる」
と言い、4人に一時沈黙が走った。すると、汲広は、
「私は、どうもこの国の医療レベルを知り、国民のために医者のレベルアップを図らねばならぬようだ」
再び4人は沈黙に包まれた。
*
領主邸に戻った汲広は、代官のミラトに指示を出す。
「ミラト、国中の名医をリストアップし、どこへ行けば会えるか調べてくれ」
「いきなりどうしたのですか?アカツキ伯爵?」
汲広は今日の事をミラトに話して聞かせた。汲広は、
「この国の医者のレベルを知りたい」
そう、ミラトに言うのであった。
「あと、これは時間がかかってもいいのだが、医者という高い立場の待遇に溺れず、患者を救いたいと本気で思っている医者もリストアップして、治療院や自宅の住所を調べておいてくれ」
「と、言うと、教育されるのですか?」
「このままこの状態を見過ごせん。何らかの処置を施す」
汲広は、ミラトとの話を終えると、報告のため、念話を飛ばした。
(アカツキ伯爵、今いいですか?)
(大丈夫だ。よくやってくれた。バーラルのお姫様を無事、治療できたそうではないか)
(そのことについて、気づいたことでお話しがあります)
汲広は一度深呼吸をして、
(我々は3人でまず、診断をしました。全員一致で胃に大きめのポリープがあると3人とも同じ意見でした。その意見にたどり着くまで、10分程です)
(ふむ)
(そこで、こちらの西洋医で、魔術医療の心得もある多々身省語に処置を任せました。魔術医療を駆使してポリープを小さくして、豆粒くらいにしたところで切除しました。処置が終わったのが姫様の部屋に到着してから30分くらいです)
(ふむ)
(それから、3人で腹部をもう一度画像診断し、念のため、省語が体全体を画像診断で異常がないか調べました。姫様の部屋に入ってから1時間もかからずに全ての診断を終えました)
(…つまり、こちらでは名医と言われる者が、原因も分からず取る手段を持たなかった病気を、お前達は1時間もかからずに完治させたということか)
(そのとおりです)
(ふむ。こちらの国の医者と、お前達とでは、医療技術に大きな差があるということだな)
(そのとおりです)
汲広は、噴き出した汗を拭い、一口茶を飲んだ後、深呼吸して、
(私は、この国の医療をレベルアップさせたいと思います)
(それはいいことだ。こちらも王に話しを通しておく)
*
インジスカン王国では早朝、日本では仕事が一段落し、仕事を終えようかというような時間帯である。
汲広は”トンデモな世界の第一人者”の人脈を生かし、医療ルポライターをしている記者に、日本で名医と言われている人物のリストアップと、どの病院に勤めているかを調べて欲しいと頼み込むのであった。
そこにはストレッチャーを準備していつお呼びがかかるか待ち構えていたこの治療院の医師、ゴードン・ラリーの姿があった。
ちなみにストレッチャーというのは折りたためて自在車の付いた寝台。救急車でけが人、病人を寝かせたまま運ぶ、あれである。
「お姫様をこちらへ運ぶ準備は整い… ってあれ?全員戻って来たのですか?」
「あぁ。治療が終わったのでな」
ゴードンはストレッチャーを仕舞い、姫様が治ったというのに浮かない顔をしている3人を、とりあえず、待合室の椅子に座らせ、テーブルを持って来てお茶を注ぎ、自分も椅子に座る。
「姫様は治ったのでしょ?何故そんな苦虫をかみつぶしたような顔を皆さんしているのですか?」
「いやなに、あまりにも治療が簡単だったのでな」
汲広の後に、省語が続ける。
「我々は、バーラル子爵が、色々な名医に診せて、それでも異常を発見できなかったので、大病を患っているものだと思って、場合によっては日本で手術をさせる心づもりであちらに行ったのだよ。そしたら我々の画像診断で原因がすぐに発見でき、短時間で処置ができ、経過は見ないといけないのだが、それでも姫様は今後快方に向かうだろうと確信を持っている」
「それは、つまり…」
「こちらの名医様は、たった1時間もかからずに治療できるものを、原因すらつかめず何の処置もできないことに我々3人は頭を抱えているのだよ」
汲広は、
「レベルが低い。低すぎる」
と言い、4人に一時沈黙が走った。すると、汲広は、
「私は、どうもこの国の医療レベルを知り、国民のために医者のレベルアップを図らねばならぬようだ」
再び4人は沈黙に包まれた。
*
領主邸に戻った汲広は、代官のミラトに指示を出す。
「ミラト、国中の名医をリストアップし、どこへ行けば会えるか調べてくれ」
「いきなりどうしたのですか?アカツキ伯爵?」
汲広は今日の事をミラトに話して聞かせた。汲広は、
「この国の医者のレベルを知りたい」
そう、ミラトに言うのであった。
「あと、これは時間がかかってもいいのだが、医者という高い立場の待遇に溺れず、患者を救いたいと本気で思っている医者もリストアップして、治療院や自宅の住所を調べておいてくれ」
「と、言うと、教育されるのですか?」
「このままこの状態を見過ごせん。何らかの処置を施す」
汲広は、ミラトとの話を終えると、報告のため、念話を飛ばした。
(アカツキ伯爵、今いいですか?)
(大丈夫だ。よくやってくれた。バーラルのお姫様を無事、治療できたそうではないか)
(そのことについて、気づいたことでお話しがあります)
汲広は一度深呼吸をして、
(我々は3人でまず、診断をしました。全員一致で胃に大きめのポリープがあると3人とも同じ意見でした。その意見にたどり着くまで、10分程です)
(ふむ)
(そこで、こちらの西洋医で、魔術医療の心得もある多々身省語に処置を任せました。魔術医療を駆使してポリープを小さくして、豆粒くらいにしたところで切除しました。処置が終わったのが姫様の部屋に到着してから30分くらいです)
(ふむ)
(それから、3人で腹部をもう一度画像診断し、念のため、省語が体全体を画像診断で異常がないか調べました。姫様の部屋に入ってから1時間もかからずに全ての診断を終えました)
(…つまり、こちらでは名医と言われる者が、原因も分からず取る手段を持たなかった病気を、お前達は1時間もかからずに完治させたということか)
(そのとおりです)
(ふむ。こちらの国の医者と、お前達とでは、医療技術に大きな差があるということだな)
(そのとおりです)
汲広は、噴き出した汗を拭い、一口茶を飲んだ後、深呼吸して、
(私は、この国の医療をレベルアップさせたいと思います)
(それはいいことだ。こちらも王に話しを通しておく)
*
インジスカン王国では早朝、日本では仕事が一段落し、仕事を終えようかというような時間帯である。
汲広は”トンデモな世界の第一人者”の人脈を生かし、医療ルポライターをしている記者に、日本で名医と言われている人物のリストアップと、どの病院に勤めているかを調べて欲しいと頼み込むのであった。
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