異世界マゼマゼ奮闘記
油田の発掘と汲広の進路
欲しいと言っていた貴族に電気の配線を行った。
映画館が欲しいという商人には映画館をやっていけるだけの設備を整えた。
通常運転に戻っていた汲広にアカツキ伯爵から念話が届いた。
(油田に関する話し合いがある程度決まってな。油田の発掘をする施設を建てる手伝いをしてもらいたい)
日本のとある駅で、業者さんと待ち合わせの後、車に乗ってとある場所に向かっている。
掃き出し窓の魔法、行ったことがある場所にしか行けない。
便利な面が多い魔法だが、こういった不便なところもあるのだ。
その道中で話を聞いた。
油田発掘には多くの機材というか、工場みたいになる。
一部の組み立てを日本側で行うのだが、その、大きなパーツを運ぶのに、掃き出し窓の魔法を使いたいという話しだった。
「期間はどのくらいかかる?」
「工場を作るのですから、年単位で期間がかかりますねぇ」
「うげぇ。それは、1カ所だけでと言うこと?」
「そうなりますね。インジスカン王国にはもう2カ所油田があると聞きます。そうなると、3倍と考えてもらうことになります」
年単位で3倍。ずっと付き合っていたら、汲広は高校の休学の期限を過ぎて、退学になってしまう。
今、復学して、卒業だけでもしてしまおうか、悩むところである。
そうして話したり考え事をしていると、とある巨大な鉄工所へ着いた。
そこには”家か!”と思う程巨大な車に、クレーンを積んでいて、もう用意万端といったところである。
「それでは、その、油田への道を開いて下さい」
言われるがままに、掃き出し窓の魔法でアカツキ伯爵領の悪魔の地へと繋いだ。
すると、続々と機材を詰んだトラックや、作業員を乗せたバスが、アカツキ領に吸い込まれていく。
念のため、
(アントネラ、この場所を覚えて)
(了解。 … 覚えたわ)
ひとしきりトラックがアカツキ領へ行くと、あとはアカツキ領での作業になる。
採掘場所の選定とか運んだ機材の組み立てとか。すると、業者の人から、
「今日の運搬は以上です。作業員も帰って食事や睡眠を摂らなければならないので戻る際にはまた道を繋いでもらう必要がありますが、その頃に、またこちらへいらして下さい」
そうして汲広は、一旦、アカツキ領の領主邸へと帰るのであった。
*
帰って来た汲広は、アントネラと話しをすることにした。
「油田の採掘場を作るには、年単位で期間がかかるそうだ。そうすると、休学の期限を過ぎて、高校は退学となるだろう」
「まぁ」
「そこで相談なのだが、高校卒業の資格を切り捨て、中退するか、無理に復学して卒業するか、それか…」
「それか?」
「通信教育制の高校に編入して学校へ通わずに高校卒業の資格を取るかだ」
汲広とアントネラの話し合いは続いた。
話し合った結果、通信制の学校への編入を選んだ。
「でも、これは両親との話し合いも必要だなぁ」
「そうですね」
機材の運搬とか、従業員の送り戻しとか、そう言った作業の合間を縫って、日本での日曜日に、汲広とアントネラは岡塚家の実家を訪ねた。
前もって電話で行くことは話してある。
「まぁ、汲広にアントネラさん、お帰りなさい」
汲広とアントネラ、父の修司、母の朋子で高校について話し合いがもたれた。
「…ということで、通信制の高校へ編入したいと思っている」
「まぁ、あなたたちの忙しさを考えると高校への通学は無理よねぇ」
「まぁ、それしか方法はないか」
両親とも賛成してくれた。インターネットで学校選びをして、お目当ての高校も選んである。
「分かった。学校への連絡はこちらでしておく。その通信制の高校へも話しはしてみる。お前本人が出向かなければいけないときは電話で連絡する。心配するな。しかし、高校卒業を諦めないという決断は私も支持する」
こうして、学校関連の雑務は修司に任せて、汲広はまた仕事に戻るのであった。
そうこうしていくうちに、修司が着々と編入に向けて動いてくれた。
電話で詳細について教えてもくれた。
今の汲広の学力が知りたいと、通信制の高校が言ってきたのでテストも受けた。
テストの結果、合格がもらえたので、正式に編入手続きが出来る運びとなった。
すると、今まで通っていた高校から、ホームルームで挨拶だけでも顔を出して欲しいと連絡が入った。
そして、インジスカン王国出の時間で夜、日本時間では朝に出発し、久しぶりに学校へ行くのであった。
汲広は教室で壇上へ呼ばれ、
「ご無沙汰しております。岡塚汲広です。久しぶり。家業が忙しくなり、通学が必要なこちらの学校へは通う時間が無くなりました。そこで考えた末、学校へ通わなくても高校卒業の資格がもらえる通信制の学校への編入を決意しました。みんなと一緒に卒業、というのは休学の判断をしたときから諦めていましたが、この学校を卒業できないことは残念に思っています。今までどうもありがとう!これでこの学校を離れることになりますが、友達は友達のままでいてね」
汲広の挨拶が終わり、先生から花束を貰った。
本当は送別会を予定していたのだが、汲広が忙しく、断念したらしい。
「工事業者の人達を待たせちゃってるから、もう行くね」
と言い残し、皆の前で掃き出し窓の魔法を使って、姿を消すのであった。
(工事業者って、汲広、アンタの仕事って一体何なのさ)
一同、汲広の仕事の謎さにツッコまずにはいられなかった。
映画館が欲しいという商人には映画館をやっていけるだけの設備を整えた。
通常運転に戻っていた汲広にアカツキ伯爵から念話が届いた。
(油田に関する話し合いがある程度決まってな。油田の発掘をする施設を建てる手伝いをしてもらいたい)
日本のとある駅で、業者さんと待ち合わせの後、車に乗ってとある場所に向かっている。
掃き出し窓の魔法、行ったことがある場所にしか行けない。
便利な面が多い魔法だが、こういった不便なところもあるのだ。
その道中で話を聞いた。
油田発掘には多くの機材というか、工場みたいになる。
一部の組み立てを日本側で行うのだが、その、大きなパーツを運ぶのに、掃き出し窓の魔法を使いたいという話しだった。
「期間はどのくらいかかる?」
「工場を作るのですから、年単位で期間がかかりますねぇ」
「うげぇ。それは、1カ所だけでと言うこと?」
「そうなりますね。インジスカン王国にはもう2カ所油田があると聞きます。そうなると、3倍と考えてもらうことになります」
年単位で3倍。ずっと付き合っていたら、汲広は高校の休学の期限を過ぎて、退学になってしまう。
今、復学して、卒業だけでもしてしまおうか、悩むところである。
そうして話したり考え事をしていると、とある巨大な鉄工所へ着いた。
そこには”家か!”と思う程巨大な車に、クレーンを積んでいて、もう用意万端といったところである。
「それでは、その、油田への道を開いて下さい」
言われるがままに、掃き出し窓の魔法でアカツキ伯爵領の悪魔の地へと繋いだ。
すると、続々と機材を詰んだトラックや、作業員を乗せたバスが、アカツキ領に吸い込まれていく。
念のため、
(アントネラ、この場所を覚えて)
(了解。 … 覚えたわ)
ひとしきりトラックがアカツキ領へ行くと、あとはアカツキ領での作業になる。
採掘場所の選定とか運んだ機材の組み立てとか。すると、業者の人から、
「今日の運搬は以上です。作業員も帰って食事や睡眠を摂らなければならないので戻る際にはまた道を繋いでもらう必要がありますが、その頃に、またこちらへいらして下さい」
そうして汲広は、一旦、アカツキ領の領主邸へと帰るのであった。
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「油田の採掘場を作るには、年単位で期間がかかるそうだ。そうすると、休学の期限を過ぎて、高校は退学となるだろう」
「まぁ」
「そこで相談なのだが、高校卒業の資格を切り捨て、中退するか、無理に復学して卒業するか、それか…」
「それか?」
「通信教育制の高校に編入して学校へ通わずに高校卒業の資格を取るかだ」
汲広とアントネラの話し合いは続いた。
話し合った結果、通信制の学校への編入を選んだ。
「でも、これは両親との話し合いも必要だなぁ」
「そうですね」
機材の運搬とか、従業員の送り戻しとか、そう言った作業の合間を縫って、日本での日曜日に、汲広とアントネラは岡塚家の実家を訪ねた。
前もって電話で行くことは話してある。
「まぁ、汲広にアントネラさん、お帰りなさい」
汲広とアントネラ、父の修司、母の朋子で高校について話し合いがもたれた。
「…ということで、通信制の高校へ編入したいと思っている」
「まぁ、あなたたちの忙しさを考えると高校への通学は無理よねぇ」
「まぁ、それしか方法はないか」
両親とも賛成してくれた。インターネットで学校選びをして、お目当ての高校も選んである。
「分かった。学校への連絡はこちらでしておく。その通信制の高校へも話しはしてみる。お前本人が出向かなければいけないときは電話で連絡する。心配するな。しかし、高校卒業を諦めないという決断は私も支持する」
こうして、学校関連の雑務は修司に任せて、汲広はまた仕事に戻るのであった。
そうこうしていくうちに、修司が着々と編入に向けて動いてくれた。
電話で詳細について教えてもくれた。
今の汲広の学力が知りたいと、通信制の高校が言ってきたのでテストも受けた。
テストの結果、合格がもらえたので、正式に編入手続きが出来る運びとなった。
すると、今まで通っていた高校から、ホームルームで挨拶だけでも顔を出して欲しいと連絡が入った。
そして、インジスカン王国出の時間で夜、日本時間では朝に出発し、久しぶりに学校へ行くのであった。
汲広は教室で壇上へ呼ばれ、
「ご無沙汰しております。岡塚汲広です。久しぶり。家業が忙しくなり、通学が必要なこちらの学校へは通う時間が無くなりました。そこで考えた末、学校へ通わなくても高校卒業の資格がもらえる通信制の学校への編入を決意しました。みんなと一緒に卒業、というのは休学の判断をしたときから諦めていましたが、この学校を卒業できないことは残念に思っています。今までどうもありがとう!これでこの学校を離れることになりますが、友達は友達のままでいてね」
汲広の挨拶が終わり、先生から花束を貰った。
本当は送別会を予定していたのだが、汲広が忙しく、断念したらしい。
「工事業者の人達を待たせちゃってるから、もう行くね」
と言い残し、皆の前で掃き出し窓の魔法を使って、姿を消すのであった。
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