異世界マゼマゼ奮闘記

ぷい16

日本語教室とサーメイヤ語教室の面々の会話実習

 アカツキ邸は何とか片付いて、人が住めるようになった。そして、次に待っているのは人材教育である。

 ステファニアには執事のセバスチャン、メイドのユートピーが付いているので問題ない。問題はそれ以外の人材だ。

 悠生ゆうせいの専属にはそれなりに経験のある者を選んだ。

 ただし、悠生ゆうせいのライフスタイルが、こちらの人間のライフスタイルとちょっと違うため、実際に仕事を始めないと、相性などは分からない。

 次に、その他、屋敷のことをしてもらう従者である。こちらには新人もいる。しかしこちらはカンデラ家から人材教育をするために人材を派遣してもらっているため、その人達にまかすしかない。


 アカツキ邸のことはできる人に任せて、悠生ゆうせい悠生ゆうせいの仕事をする。

 そう、前に提案していた、日本語教室の生徒とサーメイヤ語教室の生徒を会わせてみることである。

 しかし、時間が微妙にかみ合わない。日本とインジスカン王国とには、時差が12時間ほどある。なので、こちらが18時だと、あちらは朝の6時。こちらを20時にすると、あちらは朝の8時になってしまう。

 日本側は土日は休みにしている。何せ、日本語より、サーメイヤ語の方が、勉強するにはハードルが低いから。

 インジスカン王国にも、日曜日のように、週の休日はあるが、ここは、日本の土曜日の朝の8時で計算して、双方に聞いてみると、すんなりとOKがもらえたので、これで決定にする。

 次に、班割り。1対1だと、まだハードルが高いだろうから、成績優秀者から順に4人ずつの班を作り、10班、そこに、下位3班には成績が優秀なシフォン、マイク、リサを割り当て、一応、話がかみ合いそうな配置にしてみた。

 途中、悠生ゆうせいもステファニアも見回って、アドバイスはするつもりでいるのではあるが。


 そうこうしているうちに、実習当日となった。みなには自己紹介をするからと先に伝え、文書を書いてもらっている。

 インジスカン王国側は、いつものようにカンデラ邸の大広間に集まってもらい、日本側は、岡塚家に一度集まってもらい、掃き出し窓の魔法でカンデラ邸の大広間に招待することにした。日本側の生徒は初めて見る魔法に仰天していた。


「それでは、日本語教室とサーメイヤ語教室の語学の実習訓練を開始します」
『それでは、日本語教室とサーメイヤ語教室の語学の実習訓練を開始します』


 悠生ゆうせいが日本語で言って、ステファニアがサーメイヤ語で言う感じだ。


「それでは、日本語による自己紹介を始めて下さい」
『それでは、日本語による自己紹介を始めて下さい』


 とりあえず、最初は自己紹介から。皆、インジスカン王国側の人間から自己紹介を始める。一通り、自己紹介がんだところで、


「それでは、サーメイヤ語による自己紹介を始めて下さい」
『それでは、サーメイヤ語による自己紹介を始めて下さい』


 どちらの言葉も学んでいる生徒がいるため、片方にかたよりがないようにする。一通り、自己紹介がんだようで、みな、静かになった。


「それでは、答え合わせ的なディスカッションを始めて下さい」
『それでは、答え合わせ的なディスカッションを始めて下さい』


 両方の言葉で同じ内容の言葉を言ってもらったのは、ここに居る者、どちらかがネイティブスピーカーである。

 インジスカン王国側の人間は、サーメイヤ語で正しく自己紹介ができ、日本から来た人は、日本語で正しく自己紹介ができる。

 ならば、両方の言葉で、まず、自己紹介してもらい、意味が通じたところで、細かな言い回しなどをディスカッションで修正してもらう意味合いがある。

 各々メモを取ってもらっている。誰がどんな人か、忘れないためと、気になった言い回しをメモしてもらうためだ。

 それで、一通りディスカッションが済んだところで、インジスカン王国側の班を移動させて、また自己紹介を始めてもらう。

 これを繰り返せば、とりあえず、自己紹介の型はできるだろう。

 2回入れ替わってもらったところで時間となった。今日はこれでお開きにして、また来週集まってもらう。自己紹介の続きだ。


     *


 会話実習をした次の授業のときには、それぞれに感想を聞いてみた。

 日本語で言うなら、てにをはが違うだとか、不自然な言い回しを訂正されたとか、その単語を使うと意味が違ってきて誤解を生むなどだ。

 そこで、週に1度、このペースで語学実習を入れていってもいいか聞いたところ、双方からOKが出た。

 これからは、授業と、語学実習の両輪で動けそうだ。

 ちなみに、実習中に取られたメモは、一度回収して確認し、共有すべき訂正は、授業で教えることにした。


 自己紹介が終わったら、次はテーマを決めて、それを話し合ってもらったらいいかなと一応次にすることを考える悠生ゆうせいであった。

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