誘惑の延長線上、君を囲う。
雨に打たれる【1】
「可愛い~!自宅に飾りたい!」
今にも雨が降り出しそうな梅雨の日の15時過ぎ、私は新作の商品を眺めては惚れ惚れしていた。陶器で出来ている小さな小物入れ。指輪とか入れるのに丁度良さそう。
私は無事に彩羽コーポレーションの"Иatural+"の面接をパスして、入社する事が出来た。地方の店舗が増えるまでは実際の店舗での研修となり、主に第3号店に勤務している。
来客がない時間帯はアルバイト店員の美鈴ちゃんと一緒に商品を眺めている。私はフルタイムの勤務で早番、中番、遅番のシフト制、美鈴ちゃんは掛け持ちアルバイトだから早番、中番のみ。美鈴ちゃんは私よりも歳が6つも下。身長も小さくて、話し方から立ち振る舞いまで全てが可愛い女の子。
「今日は来ませんね、日下部部長」
「本社での仕事もあるから、そう毎日は来ないんじゃない?」
「でも佐藤さんが出勤の時は二日に一度は顔出しに来てますよ!佐藤さんが休みの時は、よっぽど何かがない限りは来ないですもん!ぜぇーったいっ、佐藤さんに会いに来てますって!」
「……だとしたら、冷やかしじゃないの?私がきちんとやれてるかどうか見に来てるんだよ」
日下部部長こと日下部  郁弥。高校時代の同級生であり、現在は上司。そして一夜限りの男女の関係。
美鈴ちゃんは私と日下部君が同級生だと知っていて、私達のやり取りを見ていた時から『二人の関係は怪しい…』と言っている。私は怪しい関係になりたいけれど、それはない。もう二度と身体を重ねる事もなければ、恋人にも発展しない関係だから。
「そうですかね?朝イチで顔を出してみたり、私が退勤押す頃に来てみたり、急な仕事の用ではなさげですけど?」
美鈴ちゃんはニヤニヤしながら私に訴える。確かに仕事の事を伝えるにしてもメールや電話で済む話だったから、わざわざ来なくても良かった。美鈴ちゃんの話を総合的に見て期待が膨むが、そんな事はない、絶対に!日下部君が会いに来るとしたら、一夜限りでも男女の関係になった後ろめたさなんじゃないかな?私が誘惑したのだから、もういい加減に割り切ったら良いのに。
「……多分ね、高校時代の話が盛り上がったから、もっと話したいだけなんじゃないかな?私と日下部君はクラス委員や生徒会長とか一緒にやった仲だから。高校時代もね、私は可愛げがないから日下部君には女の子としては見られてなかったの。私、男の子に混ざって遊ぶのも好きだったし、友達も女の子より男の子の方が多かったんだよ」
「あー、上手くはぐらかされた気がする!私は絶対に日下部部長は佐藤さんに気があると思うんだよなぁ……」
何も知らないって、これ程までに残酷なんだな。気があるのだとしたら、高校時代にとっくに付き合っていると思う。ないからこそ、私達は時を経ても、身体の関係があってもこのままなの。
「美鈴ちゃん、もう上がり時間じゃないの?」
「あ、大変!今日は居酒屋バイトが入ってるから急いで行かなきゃ……!」
美鈴ちゃんの上がり時間は16時。バタバタしながら帰り支度をして、店舗を後にした。平日はお店がそんなに混まないから、アルバイトスタッフと私の二人体制。夕方17時から締め作業までの間にもう一人のアルバイトの女の子が来る事になっている。
今にも雨が降り出しそうな梅雨の日の15時過ぎ、私は新作の商品を眺めては惚れ惚れしていた。陶器で出来ている小さな小物入れ。指輪とか入れるのに丁度良さそう。
私は無事に彩羽コーポレーションの"Иatural+"の面接をパスして、入社する事が出来た。地方の店舗が増えるまでは実際の店舗での研修となり、主に第3号店に勤務している。
来客がない時間帯はアルバイト店員の美鈴ちゃんと一緒に商品を眺めている。私はフルタイムの勤務で早番、中番、遅番のシフト制、美鈴ちゃんは掛け持ちアルバイトだから早番、中番のみ。美鈴ちゃんは私よりも歳が6つも下。身長も小さくて、話し方から立ち振る舞いまで全てが可愛い女の子。
「今日は来ませんね、日下部部長」
「本社での仕事もあるから、そう毎日は来ないんじゃない?」
「でも佐藤さんが出勤の時は二日に一度は顔出しに来てますよ!佐藤さんが休みの時は、よっぽど何かがない限りは来ないですもん!ぜぇーったいっ、佐藤さんに会いに来てますって!」
「……だとしたら、冷やかしじゃないの?私がきちんとやれてるかどうか見に来てるんだよ」
日下部部長こと日下部  郁弥。高校時代の同級生であり、現在は上司。そして一夜限りの男女の関係。
美鈴ちゃんは私と日下部君が同級生だと知っていて、私達のやり取りを見ていた時から『二人の関係は怪しい…』と言っている。私は怪しい関係になりたいけれど、それはない。もう二度と身体を重ねる事もなければ、恋人にも発展しない関係だから。
「そうですかね?朝イチで顔を出してみたり、私が退勤押す頃に来てみたり、急な仕事の用ではなさげですけど?」
美鈴ちゃんはニヤニヤしながら私に訴える。確かに仕事の事を伝えるにしてもメールや電話で済む話だったから、わざわざ来なくても良かった。美鈴ちゃんの話を総合的に見て期待が膨むが、そんな事はない、絶対に!日下部君が会いに来るとしたら、一夜限りでも男女の関係になった後ろめたさなんじゃないかな?私が誘惑したのだから、もういい加減に割り切ったら良いのに。
「……多分ね、高校時代の話が盛り上がったから、もっと話したいだけなんじゃないかな?私と日下部君はクラス委員や生徒会長とか一緒にやった仲だから。高校時代もね、私は可愛げがないから日下部君には女の子としては見られてなかったの。私、男の子に混ざって遊ぶのも好きだったし、友達も女の子より男の子の方が多かったんだよ」
「あー、上手くはぐらかされた気がする!私は絶対に日下部部長は佐藤さんに気があると思うんだよなぁ……」
何も知らないって、これ程までに残酷なんだな。気があるのだとしたら、高校時代にとっくに付き合っていると思う。ないからこそ、私達は時を経ても、身体の関係があってもこのままなの。
「美鈴ちゃん、もう上がり時間じゃないの?」
「あ、大変!今日は居酒屋バイトが入ってるから急いで行かなきゃ……!」
美鈴ちゃんの上がり時間は16時。バタバタしながら帰り支度をして、店舗を後にした。平日はお店がそんなに混まないから、アルバイトスタッフと私の二人体制。夕方17時から締め作業までの間にもう一人のアルバイトの女の子が来る事になっている。
「誘惑の延長線上、君を囲う。」を読んでいる人はこの作品も読んでいます
-
-
62
-
89
-
-
9,448
-
2.4万
-
-
26
-
37
-
-
6,681
-
2.9万
-
-
1.2万
-
4.8万
-
-
17
-
28
-
-
71
-
63
-
-
5,217
-
2.6万
-
-
27
-
51
-
-
9,711
-
1.6万
-
-
86
-
288
-
-
8,191
-
5.5万
-
-
2,534
-
6,825
-
-
45
-
93
-
-
23
-
44
-
-
1.3万
-
2.2万
-
-
35
-
56
-
-
3,548
-
5,228
-
-
6,199
-
2.6万
-
-
213
-
937
-
-
3万
-
4.9万
-
-
2.1万
-
7万
-
-
23
-
3
-
-
2,860
-
4,949
-
-
65
-
390
-
-
6,044
-
2.9万
-
-
344
-
843
-
-
187
-
610
-
-
218
-
165
-
-
6,237
-
3.1万
-
-
450
-
727
-
-
29
-
52
-
-
10
-
46
-
-
3
-
2
-
-
3,653
-
9,436
-
-
1,658
-
2,771
-
-
14
-
8
-
-
62
-
89
-
-
1,000
-
1,512
-
-
47
-
515
-
-
86
-
893
-
-
477
-
3,004
-
-
89
-
139
-
-
2,629
-
7,284
-
-
33
-
48
-
-
3,224
-
1.5万
-
-
83
-
250
-
-
10
-
72
-
-
398
-
3,087
-
-
9,173
-
2.3万
-
-
42
-
52
-
-
27
-
2
-
-
7
-
10
-
-
17
-
14
-
-
9
-
23
-
-
18
-
60
-
-
614
-
221
-
-
2,799
-
1万
-
-
4,922
-
1.7万
-
-
183
-
157
-
-
5,039
-
1万
-
-
1,301
-
8,782
-
-
7,474
-
1.5万
-
-
215
-
969
-
-
408
-
439
-
-
116
-
17
-
-
104
-
158
-
-
164
-
253
-
-
88
-
150
-
-
42
-
14
-
-
1,392
-
1,160
-
-
614
-
1,144
-
-
265
-
1,847
-
-
2,430
-
9,370
-
-
83
-
2,915
-
-
220
-
516
コメント