婚活アプリで出会う恋~幼馴染との再会で赤い糸を見失いました~

春乃未果

すれ違いと本当の心~二人のafterstor~(5)

「あぁ、いいですよ。時々、ランチご馳走になってますし」

「で、でも……」

「それでは、失礼します」

 一礼して、にこやかな笑顔を残し、去って行った。里穂の肩を強引に引き寄せ、遥斗が言葉を絞り出す。

「部屋に戻ろうか…」

「う、うん……」
 
 遥斗の顔を見るのが怖くて、肩を抱かれながらエレベーターに乗り込んだ。ドアが閉まり階が上昇したとたん、体を引き寄せられ唇を塞がれる。

「んんっ……」

 呼吸する間もなく口を塞がれて、顔を押し付けるようにキスをされるから、足元はふらつくし、息苦しい。胸元を強めに叩くと、やっと離してくれた。

「……にするの。苦しいじゃない」

「もう我慢するのも限界だ。あいつは絶対に里穂に気がある。あいつを辞めさせるか、里穂が仕事を辞めろっ!」

「は、はぁ……!?」

 遥斗は切羽詰まったような表情で里穂に迫る。エレベーターを降りると里穂の腕を掴み、玄関を開けて先に部屋へ入れさせた。靴を脱いで廊下を歩き出したとたん、背後から抱きつかれる。

「今夜は絶対に許さないからな」

「な、何を?」

 背後から顔を寄せ、頬に何度もキスをされる。

「一晩中ベッドで謝ってもらう」

「は、はぁ~!? ま、待って、シャワー浴びたいし、喉が渇いちゃった」

「水ならいくらでも用意してやるよ」

 颯爽とキッチンへ向かい水のボトルを持って来ると、里穂の腕を掴みバスルームへと向かった。

「もう酔いが醒めたから、お風呂くらい一人で入れるよ~」

「さっき言っただろ。許さないって」

 遥斗は里穂よりも先に服を脱いで、バスルームのドアを開けた。

「俺が脱がせてやろうか?」

「わ、わかった。すぐ入るから」

 子どもをあやすように、遥斗をなだめながらバスルームの扉を閉めた。その晩はバスルームの中で溶かされ、ベッドへ連れて行かれた。




 翌週、仕事を終えて帰宅しようと会社のエントランスを出ると、そこに遥斗の姿があった。

「ちょ、ちょっと。どうしたの……?」

「今日はいつもより早く上がれた。一緒に帰ろう」

「早くって……」

 いくら心配だからといって、会社のトップたるものが妻のお迎えにホイホイ現れていいのだろうか……?
 それに、こうして監視されているような状況では、信用されていないようで、何だか悲しい。どう伝えれば、遥斗のことが一番だと理解してくれるのだろうか。

「婚活アプリで出会う恋~幼馴染との再会で赤い糸を見失いました~」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く