婚活アプリで出会う恋~幼馴染との再会で赤い糸を見失いました~

春乃未果

すれ違いと本当の心~二人のafterstory~(2)

 スペイン風バルを貸し切り、白で統一されたオシャレな店内に全員が集まる。店内は貸し切りになっていて、飲み放題、食べ放題だ。
 雅さんが代表で全員に言葉をかけた。

「おかげさまで協力していただき、とてもうまくまとまりました。今夜はひとまず打ち上げですので、存分味わって楽しんでくださいね」

 それぞれ皿を持ち、好きな料理を取りに向かう。

「里穂先輩、僕が料理取って来ますよ。苦手なものとかありますか?」

「あ、ううん。何でも食べられるから。でも、気を遣わないでいいのよ」

「こっちは一人で大丈夫ですから、里穂先輩は飲み物をお願いします」

 万智とテーブルに座り、数人分の飲み物を準備する。

「あれま。里穂ってば、モテモテじゃん」

「ち、違うよ。加地君は元々みんなに優しいタイプみたいだから」

「そうかなぁ。あれは、きっと奥様キラーなのよ」

「な、何それ」

「年上の人妻が好みなのかも~」

 万智は意味ありげに微笑んで、ワインをひと口飲んだ。
 まさか、そんなはずがない。私に人妻としての魅力なんてものはないし、加地君に対して特別な感情を持ったこともない。なんといっても遥斗以外に興味がないのだから。
 それに元々、年下の男性に魅力を感じていない。自分にとって存分に甘えさせて、愛してくれる存在は遥斗だけなのだから。
 雅さんが各テーブルを回り、私のいるテーブルに近付いた。

「お疲れ~里穂ちゃん。今回は大活躍だったわね。これで遥斗のイヤミから解放されるわ。あなたを遅く帰宅させると怖いメールよこすから。文面が脅迫状みたいなのよ」

「す、すみません、雅さん。遥斗には常々言ってるんですが、なかなか信じてもらえなくて。特に年下の部下ができたことを伝えてしまってから、毎日何度もメールよこすし……」

「あいつも困ったものね。いい加減、妻を信用して一人の仕事をしている女性として扱って欲しいわよね」

 遥斗に加地君という年下の部下ができたと伝えた夜、遥斗の慌てぶりといったら……。
 いきなり遥斗がテーブル席を立ち、私の元へ向かうとスマホを掴んで差し出した。

「名前、生年月日、住所、身長、体重、とにかく詳しく教えろ。顔写真はあるか?」

 遥斗の目が真剣すぎて、何も返答できない。

「あ、あのね。仕事だから、あくまでみんなで協力して作業するんだよ。だから、心配することは何も……」

「里穂、自分のことをずいぶん低く見積もっているようだが、世の中に出たらこんなにかわいい女子は他にいないんだぞ。どれだけの他の男が里穂を狙っているか分かるか?」

 遥斗の言葉を聞きながら、私はすっかり呆れていた。

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