婚活アプリで出会う恋~幼馴染との再会で赤い糸を見失いました~
真実と赤い糸(2)
「どうして……こんなものを……」
「最初は里穂のことを見返してやろうと、身長を伸ばす努力をして、筋肉付けて、猛勉強して、一流大を出て……。
成長していくにつれて、里穂のことを忘れたつもりだった。
もちろん何人もの女性とも付き合ってみた。
でも、心のどこかで里穂のことを求めてる自分がいて、結局、誰ともうまくいかないことに気がついたんだ」
「わ、私、ひどいことして、遥斗のこと困らせたのに……」
話を聞いているうちに恥ずかしくなり、頬が熱くなってきた。
「昔の俺にとっては、ずっと背中を追いかけていた里穂が憧れだったんだろうな。
無意識に生活していたつもりが、いつの間にか忘れられない存在になっていた。
それで3年前に思い立ち、知り合いに調べてもらうことにしたんだ。
写真を見たら、すごく可愛くなってただろ。それで……」
視線も合わせず、頬を赤らめながら話す。それはまるで純情そうな少年のよう。言動は犯罪者に近いけど、思わずその姿を可愛いらしいと感じてしまった。
どうやら私まですっかりおかしくなってしまったらしい。
「男がいないことを知って安心した。しかし、今後他の奴が現れないとは限らないし、かと言って、俺が急に里穂の前に現れたら、どんな顔をされるかもわからない。
そこから入念に戦略を立てることにしたんだ」
桂木さんが私に伝えた変態でストーカーというセリフの意味が、今になって段々とわかってきた。
「……どっ、どんな戦略?」
「雅からラングルに出資する案件があることを聞いて、俺も本格的にアプリビジネスに乗り出した。アプリを成長させ、成功させれば、里穂にも認めてもらえると思ったからな。
クリスマスのイベント企画で社員を総動員すると雅から聞いて。高確率でマッチングされるように、調査した内容を入力していった。
まさか本当に里穂とのマッチングが上手くいくと思わなくて……初めて待ち合わせた当日、しばらく声を掛けることができなかった」
遥斗の果てしない計画に唖然としたが、それ程思われていたなんて、まるで想像もつかない。随分お金と時間と労力をかけて、私まで辿り着いている。
遥斗のパワフルな想いに呆れ、そして、もの凄く嬉しくなった。
「そんなことしないで、正々堂々と私の前に現れてくれれば良かったのに……」
「こう見えて、里穂に対しては自信が無いんだ」
「私をあんなに大胆に脅迫しておいて……呆れる」
あんなに復讐と言って迫り、平然と私のこと抱いておきながら、自信が無いって……。
遥斗はやはり、人一倍繊細な人なのだろうか。
「絶対手に入れたいからこそ、余計臆病にもなる。だから、復讐っていう名目で里穂を虜にしようと企んだ」
「遥斗の作戦には適わないよ。だって、ずっと頭から離れなかったもの」
「最初に里穂は俺とは気がつかないまま承諾してくれただろう? そのまま付き合うことも一瞬考えた。だが、途中で真実を話して嫌われたら、もう取り戻すことができないと思った」
「確かに……。嘘をつかれたまま付き合っても、遥斗のことが信用できずに、うまくいかなかったかも。だからって、いきなり遥人が目の前に現れても、そんな気になっていたかどうか……」
拗らせていた私にとって、恋愛をすること自体が一大事だった。
遥斗が強引にでも赤い糸を結び付けてくれなかったら、今頃私はまだ同じ場所で足踏みしていたかもしれない。
「でも……もし私が遥斗のことを途中で嫌いになったり、結婚を断ったりしたらどうする気だったの?」
「里穂が完全に俺のことを好きになるまでは、諦めないつもりでいた。だから、確実に返事を貰えるタイミングでプロポーズしたはずだが。……どうかな?」
いつもの迫るような態度ではなく、どこか寂しげな表情で尋ねてくる。
「そんな顔されたら……。遥斗って、ずるいよ」
私は彼の元へ駆け寄り、両手を思い切り伸ばすと、ギュッと抱きしめた。
繊細な部分を隠しながら、強気で迫っていたなんて。健気すぎて、嫌いになんかなれる訳ない。
「こんな俺を、ずっと愛せる自信はあるか?」
抱きしめている私の顔を覗くように、改めて問いただす。
視線を合わせ、同意を示すため大袈裟に頷くと、遥斗の瞳が大きく見開いた。
「これからもずっと、遥斗が私のことを追いかけてくれるのなら」
「……もちろん。永遠に離すわけないだろ」
お互いの確認が終わると、彼の力強い腕が私を持ち上げるように抱き寄せ、まるで想いを伝え合うかのように、ゆっくりとそして丁寧に唇を重ねた。
「最初は里穂のことを見返してやろうと、身長を伸ばす努力をして、筋肉付けて、猛勉強して、一流大を出て……。
成長していくにつれて、里穂のことを忘れたつもりだった。
もちろん何人もの女性とも付き合ってみた。
でも、心のどこかで里穂のことを求めてる自分がいて、結局、誰ともうまくいかないことに気がついたんだ」
「わ、私、ひどいことして、遥斗のこと困らせたのに……」
話を聞いているうちに恥ずかしくなり、頬が熱くなってきた。
「昔の俺にとっては、ずっと背中を追いかけていた里穂が憧れだったんだろうな。
無意識に生活していたつもりが、いつの間にか忘れられない存在になっていた。
それで3年前に思い立ち、知り合いに調べてもらうことにしたんだ。
写真を見たら、すごく可愛くなってただろ。それで……」
視線も合わせず、頬を赤らめながら話す。それはまるで純情そうな少年のよう。言動は犯罪者に近いけど、思わずその姿を可愛いらしいと感じてしまった。
どうやら私まですっかりおかしくなってしまったらしい。
「男がいないことを知って安心した。しかし、今後他の奴が現れないとは限らないし、かと言って、俺が急に里穂の前に現れたら、どんな顔をされるかもわからない。
そこから入念に戦略を立てることにしたんだ」
桂木さんが私に伝えた変態でストーカーというセリフの意味が、今になって段々とわかってきた。
「……どっ、どんな戦略?」
「雅からラングルに出資する案件があることを聞いて、俺も本格的にアプリビジネスに乗り出した。アプリを成長させ、成功させれば、里穂にも認めてもらえると思ったからな。
クリスマスのイベント企画で社員を総動員すると雅から聞いて。高確率でマッチングされるように、調査した内容を入力していった。
まさか本当に里穂とのマッチングが上手くいくと思わなくて……初めて待ち合わせた当日、しばらく声を掛けることができなかった」
遥斗の果てしない計画に唖然としたが、それ程思われていたなんて、まるで想像もつかない。随分お金と時間と労力をかけて、私まで辿り着いている。
遥斗のパワフルな想いに呆れ、そして、もの凄く嬉しくなった。
「そんなことしないで、正々堂々と私の前に現れてくれれば良かったのに……」
「こう見えて、里穂に対しては自信が無いんだ」
「私をあんなに大胆に脅迫しておいて……呆れる」
あんなに復讐と言って迫り、平然と私のこと抱いておきながら、自信が無いって……。
遥斗はやはり、人一倍繊細な人なのだろうか。
「絶対手に入れたいからこそ、余計臆病にもなる。だから、復讐っていう名目で里穂を虜にしようと企んだ」
「遥斗の作戦には適わないよ。だって、ずっと頭から離れなかったもの」
「最初に里穂は俺とは気がつかないまま承諾してくれただろう? そのまま付き合うことも一瞬考えた。だが、途中で真実を話して嫌われたら、もう取り戻すことができないと思った」
「確かに……。嘘をつかれたまま付き合っても、遥斗のことが信用できずに、うまくいかなかったかも。だからって、いきなり遥人が目の前に現れても、そんな気になっていたかどうか……」
拗らせていた私にとって、恋愛をすること自体が一大事だった。
遥斗が強引にでも赤い糸を結び付けてくれなかったら、今頃私はまだ同じ場所で足踏みしていたかもしれない。
「でも……もし私が遥斗のことを途中で嫌いになったり、結婚を断ったりしたらどうする気だったの?」
「里穂が完全に俺のことを好きになるまでは、諦めないつもりでいた。だから、確実に返事を貰えるタイミングでプロポーズしたはずだが。……どうかな?」
いつもの迫るような態度ではなく、どこか寂しげな表情で尋ねてくる。
「そんな顔されたら……。遥斗って、ずるいよ」
私は彼の元へ駆け寄り、両手を思い切り伸ばすと、ギュッと抱きしめた。
繊細な部分を隠しながら、強気で迫っていたなんて。健気すぎて、嫌いになんかなれる訳ない。
「こんな俺を、ずっと愛せる自信はあるか?」
抱きしめている私の顔を覗くように、改めて問いただす。
視線を合わせ、同意を示すため大袈裟に頷くと、遥斗の瞳が大きく見開いた。
「これからもずっと、遥斗が私のことを追いかけてくれるのなら」
「……もちろん。永遠に離すわけないだろ」
お互いの確認が終わると、彼の力強い腕が私を持ち上げるように抱き寄せ、まるで想いを伝え合うかのように、ゆっくりとそして丁寧に唇を重ねた。
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