婚活アプリで出会う恋~幼馴染との再会で赤い糸を見失いました~
揺れる心(4)
「気をつけて。ある意味一人の女性しか愛せない、ストーカーみたいな人なの」
ニコニコしながら私に畳みかけてくる。
その言葉がまるで『私たちの邪魔をしないで』と警告されているように感じた。
もしかして、私が遥斗のレジデンスに住んでいることを知っているのだろうか?
間違いなく今日のことで、桂木さんと遥斗が親しい関係にあることは確信に変わった。
「あの……そろそろ失礼します」
「そうなの? じゃあ、下までご一緒するわ」
「いえっ。ここで大丈夫です」
「気にしないで。下に用事があるから」
話を終え、桂木さんが入り口まで見送ると聞かないので、仕方なく一緒にエレベーターに乗り込んだ。
早く一人になって落ち着きたかったのに。狭い空間の中で、沈黙が息苦しい。
1階に到着し、扉が開いた瞬間、目の前に遥斗が現れた。
「…………っ!!」
驚きのあまり、声が出そうになるのを必死で堪える。
遥斗も、一瞬ギョッとした表情を浮かべていた。
「たっ、高城専務!! 今日の午後は、他社と打ち合わせのはずでは?」
桂木さんが慌てた様子で遥斗に尋ねた。
「先方の社長が急に体調を崩して延期になったんだ。ところで桂木君が鈴河さんに何の用だ?」
「資料を届けてもらったので。それと、先日のアプリについて、個人的な意見が欲しくて、お呼びしました」
桂木さんはあちこち視線を動かしながら、なぜがバツが悪そうにしている。
遥斗とその彼女が目の前でバッティングだなんて。
私だって、この場にいることは、とても気まずい。
「鈴河さんは、もう用件が済んだのかな?」
「彼女は今帰るところです。エントランスまで見送るつもりで……」
「せっかくいらしたのだから、こちらも今後の企画について話を伺おうかな」
――なっ、何を言ってるの!?
思わず遥斗の顔を睨みつける。
こちらが戸惑っている間、勝手にエレベーターへ乗り込んできた。
「それでは、私は外に用事があるのでここで失礼します。」
桂木さんは遥斗の顔をチラチラ見ながら、エレベーターを降りた。
遥斗も、私を呼び止めるなんて、いったいどういうつもり?
もしかしてこの状況は、つき合ってる男女と、そのセフレっていう構図なのかな……。
複雑すぎる状況の中、遥斗と二人きりで乗るエレベーターの扉が閉まった。
最上階のボタンを押すと、エレベーターは静かに上昇していく。
背中を向けたまま、何も話さない遥斗。
到着音が鳴り、扉が開いた。
目の前にある長い廊下へ出ると、10mくらい離れた場所から、黒のベストとタイトスカート姿の、いかにも秘書のような女性が、こちらへ向かって近づいてくる。
「専務、打ち合わせが変更になったということで、15時からのミーティングを設定したいと営業部の方から連絡が……」
遥斗は歩きながら、手の平を向けると、秘書らしい女性の話を止めた。
「今から1時間はラングルの担当者と懇談する。営業部の方には16時と連絡してくれ」
強引に懇談なんて言ってるけど、まさか私と話すためにムリヤリ変更しているんじゃないでしょうね?
呆れながらも後を追って行くと、専務室と表記されたドアを開け、私に入るよう促した。
「失礼します」
中へ入ると、遥斗はすぐ後ろにいる秘書の女性に声を掛けた。
「飲み物は必要ない。秘密事項の話もあるから、しばらくは人を入れないでくれ」
そう言うと、ドアを閉めた。
ニコニコしながら私に畳みかけてくる。
その言葉がまるで『私たちの邪魔をしないで』と警告されているように感じた。
もしかして、私が遥斗のレジデンスに住んでいることを知っているのだろうか?
間違いなく今日のことで、桂木さんと遥斗が親しい関係にあることは確信に変わった。
「あの……そろそろ失礼します」
「そうなの? じゃあ、下までご一緒するわ」
「いえっ。ここで大丈夫です」
「気にしないで。下に用事があるから」
話を終え、桂木さんが入り口まで見送ると聞かないので、仕方なく一緒にエレベーターに乗り込んだ。
早く一人になって落ち着きたかったのに。狭い空間の中で、沈黙が息苦しい。
1階に到着し、扉が開いた瞬間、目の前に遥斗が現れた。
「…………っ!!」
驚きのあまり、声が出そうになるのを必死で堪える。
遥斗も、一瞬ギョッとした表情を浮かべていた。
「たっ、高城専務!! 今日の午後は、他社と打ち合わせのはずでは?」
桂木さんが慌てた様子で遥斗に尋ねた。
「先方の社長が急に体調を崩して延期になったんだ。ところで桂木君が鈴河さんに何の用だ?」
「資料を届けてもらったので。それと、先日のアプリについて、個人的な意見が欲しくて、お呼びしました」
桂木さんはあちこち視線を動かしながら、なぜがバツが悪そうにしている。
遥斗とその彼女が目の前でバッティングだなんて。
私だって、この場にいることは、とても気まずい。
「鈴河さんは、もう用件が済んだのかな?」
「彼女は今帰るところです。エントランスまで見送るつもりで……」
「せっかくいらしたのだから、こちらも今後の企画について話を伺おうかな」
――なっ、何を言ってるの!?
思わず遥斗の顔を睨みつける。
こちらが戸惑っている間、勝手にエレベーターへ乗り込んできた。
「それでは、私は外に用事があるのでここで失礼します。」
桂木さんは遥斗の顔をチラチラ見ながら、エレベーターを降りた。
遥斗も、私を呼び止めるなんて、いったいどういうつもり?
もしかしてこの状況は、つき合ってる男女と、そのセフレっていう構図なのかな……。
複雑すぎる状況の中、遥斗と二人きりで乗るエレベーターの扉が閉まった。
最上階のボタンを押すと、エレベーターは静かに上昇していく。
背中を向けたまま、何も話さない遥斗。
到着音が鳴り、扉が開いた。
目の前にある長い廊下へ出ると、10mくらい離れた場所から、黒のベストとタイトスカート姿の、いかにも秘書のような女性が、こちらへ向かって近づいてくる。
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強引に懇談なんて言ってるけど、まさか私と話すためにムリヤリ変更しているんじゃないでしょうね?
呆れながらも後を追って行くと、専務室と表記されたドアを開け、私に入るよう促した。
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中へ入ると、遥斗はすぐ後ろにいる秘書の女性に声を掛けた。
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そう言うと、ドアを閉めた。
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