婚活アプリで出会う恋~幼馴染との再会で赤い糸を見失いました~
優しさに触れて(4)
お昼近くになって、スマートフォンに小田さんからのメッセージが届いていることに気がついた。
『この間は本当にごめん。あの時悪酔いして、あんなことをしてしまって……。
自分がしたことを反省してる。
もう里穂ちゃんを傷つけることはしないよ。
謝るチャンスをもらえないかな?
明日、レストランを予約してあるから、絶対に来て欲しい』
社内で噂が広まる中、お互い気まずい状況のままでいるのは、仕事にも差し障る。
でも、なるべく二人では会いたくなかった。
『ごめんなさい。最近、体調が悪いので、難しいと思います』
『顔を見て謝りたいんだ。お願いだ。少しだけでもいいから、来てもらえないかな?』
このままでは諦めてはもらえないらしい。
一度顔を合わせて、はっきりと付き合いを断らないと……。
『わかりました。少しだけなら、伺います』
覚悟を決めて、会うことにした。
その夜、遥斗は深夜に帰宅して早々、私をいきなり抱き寄せた。片手で両頬を挟むようにして顔を自分の方へ向かせると、強引に視線を合わせてくる。
「もちろん、クリスマスはここで俺と一緒に過ごすよな」
「う……うん」
「明日は朝から一泊で出張に出掛ける。イブには間に合わないが、クリスマスまでには必ず戻るから、どこへも出掛けるなよ」
イブなのに出張……?
本当に出張なのか、それとも、あの女性と会うための口実なのだろうか。心はざわついたまま落ち着かない。
それでも、思わず目を見つめられた時、こちらの本心を見抜かれたのではないかと、とてもハラハラしていた。
クリスマスを一緒に過ごしたいと願っていたのは、実は私の方だったから。
* * *
イブの当日、遥斗は暗いうちに家を出た。
寒さも本格的になり、強い北風が吹いている。
私は喉の痛みもひどくなって、だるさが残り、体調はすぐれない。いつもだったら薬を飲んで、ムリヤリ仕事に集中しているうちに治ってしまうのに。
ホットミルクと風邪薬を飲むと、仕方なく会社へと出掛けた。
こんな体調で仕事するのも、小田さんと会うのも、なんだか全てがかったるい。
しかもこんな時に限って、仕事が立て込んでくる。
朝から会議の準備をして、午後一で会議。
空き時間にイベントで行ったアプリのアンケートを集計して、報告書を作成。
結局、お昼を食べたのは2時過ぎになってしまった。
「やだ、顔赤いよ里穂。大丈夫?」
万智が心配して声を掛けてくれた。
「えっ、うん。平気だよ。ちょっとふらつくけど、あと少し頑張れば、終わりそうなの」
「あとはやっておくから、早退したら?」
もう一息で報告書も出来上がる。それに、小田さんとの約束もあるし、遥斗が帰って来る前に、せっかくだからケーキでも買っておきたい。
「薬飲んだから、大丈夫。イベント関係が終われば、有給でも取って、お正月にドカンと休もっかな」
「おぉっ! いいねそれ。私もそうしよっ」
少し熱があるものの、勢いで仕事を片付けると、夕方には無事報告書を提出することができた。
定時に上がり、小田さんが予約したレストランへと向かった。
会社のある最寄り駅付近、路地裏にある目立たない小さなお店。
白い内装の西洋料理店で、席同士が仕切られていて、個室のようになっている。
店員に案内されると、いつものように小田さんが先に来て待っていた。
私の顔を見て立ち上がり、済まなそうに呟く。
「本当にごめんね。酔っていたとはいえ、里穂ちゃんに怖い思いさせて。すっごい反省してる。こんな事言える立場じゃないけど、許してもらえないかな?」
『この間は本当にごめん。あの時悪酔いして、あんなことをしてしまって……。
自分がしたことを反省してる。
もう里穂ちゃんを傷つけることはしないよ。
謝るチャンスをもらえないかな?
明日、レストランを予約してあるから、絶対に来て欲しい』
社内で噂が広まる中、お互い気まずい状況のままでいるのは、仕事にも差し障る。
でも、なるべく二人では会いたくなかった。
『ごめんなさい。最近、体調が悪いので、難しいと思います』
『顔を見て謝りたいんだ。お願いだ。少しだけでもいいから、来てもらえないかな?』
このままでは諦めてはもらえないらしい。
一度顔を合わせて、はっきりと付き合いを断らないと……。
『わかりました。少しだけなら、伺います』
覚悟を決めて、会うことにした。
その夜、遥斗は深夜に帰宅して早々、私をいきなり抱き寄せた。片手で両頬を挟むようにして顔を自分の方へ向かせると、強引に視線を合わせてくる。
「もちろん、クリスマスはここで俺と一緒に過ごすよな」
「う……うん」
「明日は朝から一泊で出張に出掛ける。イブには間に合わないが、クリスマスまでには必ず戻るから、どこへも出掛けるなよ」
イブなのに出張……?
本当に出張なのか、それとも、あの女性と会うための口実なのだろうか。心はざわついたまま落ち着かない。
それでも、思わず目を見つめられた時、こちらの本心を見抜かれたのではないかと、とてもハラハラしていた。
クリスマスを一緒に過ごしたいと願っていたのは、実は私の方だったから。
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イブの当日、遥斗は暗いうちに家を出た。
寒さも本格的になり、強い北風が吹いている。
私は喉の痛みもひどくなって、だるさが残り、体調はすぐれない。いつもだったら薬を飲んで、ムリヤリ仕事に集中しているうちに治ってしまうのに。
ホットミルクと風邪薬を飲むと、仕方なく会社へと出掛けた。
こんな体調で仕事するのも、小田さんと会うのも、なんだか全てがかったるい。
しかもこんな時に限って、仕事が立て込んでくる。
朝から会議の準備をして、午後一で会議。
空き時間にイベントで行ったアプリのアンケートを集計して、報告書を作成。
結局、お昼を食べたのは2時過ぎになってしまった。
「やだ、顔赤いよ里穂。大丈夫?」
万智が心配して声を掛けてくれた。
「えっ、うん。平気だよ。ちょっとふらつくけど、あと少し頑張れば、終わりそうなの」
「あとはやっておくから、早退したら?」
もう一息で報告書も出来上がる。それに、小田さんとの約束もあるし、遥斗が帰って来る前に、せっかくだからケーキでも買っておきたい。
「薬飲んだから、大丈夫。イベント関係が終われば、有給でも取って、お正月にドカンと休もっかな」
「おぉっ! いいねそれ。私もそうしよっ」
少し熱があるものの、勢いで仕事を片付けると、夕方には無事報告書を提出することができた。
定時に上がり、小田さんが予約したレストランへと向かった。
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