婚活アプリで出会う恋~幼馴染との再会で赤い糸を見失いました~
優しさに触れて(3)
ご飯を食べたら、少しだけ元気が出てきた。
いつまでも遥斗に甘えてはいられない。
ベッド脇で、下着姿のまま身支度を整えていたら、突然ドアが開く。
「きゃっ!」
「そんなに驚くことか? 俺たちとっくにお互いの体を見てるだろ」
慌てて近くにあった毛布で隠し、座り込んだ。
いくら体を許していても、明るい部屋で下着姿を見られるのは恥ずかしい。
「どこへ行くつもりだ?」
「昨日はありがとう。遥斗がいてくれて心強かった。でも、いつまでもここにいるわけにもいかないから、アパートに戻るね」
すると遥斗がドアの前で腕を組み、睨みつけるような表情で仁王立ちしている。
「だめだ! 今度ばかりは許すわけにいかない。絶対ここにいろ。これは命令だ!」
「でも……」
「無理にでも、いると約束させようか?」
遥斗がにじり寄り、今にも押し倒すような勢いで囁いてきた。思わずその視線を外せなくなって、彼を見つめたまま、首を横に振る。
いつも聞かされているような脅し文句なのに、真剣な眼差しと言葉に動揺してしまう。
「わかった。ここにいる。……それじゃ、もう少しだけ横になってもいい?」
そう言うと、とたんに彼が柔和な表情に戻った。
「――いいよ。それなら、また隣で寝てあげようか?」
「けっ、結構ですっ!」
遥斗はニヤリと笑って、行ってしまった。
――――はぁ~。
いつまでも止まらない胸の高鳴りに、自分で落ち着かせようと深呼吸した。
本気なのか、冗談なのか、わからない態度に毎回ときめいていたら身がもたない。しばらくここにいるのなら、弄ばれないように注意しないと。
* * *
相変わらず仕事が忙しいのか、月曜の朝から遥斗の姿が見えない。
起き上がると、のどに違和感を感じた。
昨日の昼間に何度も寝てしまったせいで、夜に寝つけなくなり、睡眠不足になってしまったせいかも。
やだ、カゼひいちゃったかなぁ……。
でも、明日はクリスマスイブ。
イベントの報告書も提出が迫っているし、年末まで休むわけにもいかなかった。
翌朝いつも通りに出社し、エントランスホールでエレベーターを待つ。いつ小田さんとすれ違うのかとビクビクしていたが、結局現れることはなかった。
良かった……。
ホッとして自分の席に近づくと、先に出社していた万智が近づいて来た。
彼女は第1部の進行や、来客の対応をしていたから、イベントではずっと別行動で顔を合わせていない。
「イベントお疲れー! 小田さんと里穂、二人ともステージに上がったんだって?」
「う、うん。でも、ほとんどシナリオ通り話しただけだから」
「社内の話題になってるみたいよ。里穂が手料理まで披露して、もうゴールイン間近だって」
やっぱり……そんなことになるんじゃないかと思ってた……。
アプリがきっかけで結婚すれば、社内の評判も上がるし、宣伝にも使える。
もしかして、この交際を広めているのは上司の策略なの? と思わず勘ぐってしまう。
とりあえず、耳障りな話題は無視することに決め込んだ。
いつまでも遥斗に甘えてはいられない。
ベッド脇で、下着姿のまま身支度を整えていたら、突然ドアが開く。
「きゃっ!」
「そんなに驚くことか? 俺たちとっくにお互いの体を見てるだろ」
慌てて近くにあった毛布で隠し、座り込んだ。
いくら体を許していても、明るい部屋で下着姿を見られるのは恥ずかしい。
「どこへ行くつもりだ?」
「昨日はありがとう。遥斗がいてくれて心強かった。でも、いつまでもここにいるわけにもいかないから、アパートに戻るね」
すると遥斗がドアの前で腕を組み、睨みつけるような表情で仁王立ちしている。
「だめだ! 今度ばかりは許すわけにいかない。絶対ここにいろ。これは命令だ!」
「でも……」
「無理にでも、いると約束させようか?」
遥斗がにじり寄り、今にも押し倒すような勢いで囁いてきた。思わずその視線を外せなくなって、彼を見つめたまま、首を横に振る。
いつも聞かされているような脅し文句なのに、真剣な眼差しと言葉に動揺してしまう。
「わかった。ここにいる。……それじゃ、もう少しだけ横になってもいい?」
そう言うと、とたんに彼が柔和な表情に戻った。
「――いいよ。それなら、また隣で寝てあげようか?」
「けっ、結構ですっ!」
遥斗はニヤリと笑って、行ってしまった。
――――はぁ~。
いつまでも止まらない胸の高鳴りに、自分で落ち着かせようと深呼吸した。
本気なのか、冗談なのか、わからない態度に毎回ときめいていたら身がもたない。しばらくここにいるのなら、弄ばれないように注意しないと。
* * *
相変わらず仕事が忙しいのか、月曜の朝から遥斗の姿が見えない。
起き上がると、のどに違和感を感じた。
昨日の昼間に何度も寝てしまったせいで、夜に寝つけなくなり、睡眠不足になってしまったせいかも。
やだ、カゼひいちゃったかなぁ……。
でも、明日はクリスマスイブ。
イベントの報告書も提出が迫っているし、年末まで休むわけにもいかなかった。
翌朝いつも通りに出社し、エントランスホールでエレベーターを待つ。いつ小田さんとすれ違うのかとビクビクしていたが、結局現れることはなかった。
良かった……。
ホッとして自分の席に近づくと、先に出社していた万智が近づいて来た。
彼女は第1部の進行や、来客の対応をしていたから、イベントではずっと別行動で顔を合わせていない。
「イベントお疲れー! 小田さんと里穂、二人ともステージに上がったんだって?」
「う、うん。でも、ほとんどシナリオ通り話しただけだから」
「社内の話題になってるみたいよ。里穂が手料理まで披露して、もうゴールイン間近だって」
やっぱり……そんなことになるんじゃないかと思ってた……。
アプリがきっかけで結婚すれば、社内の評判も上がるし、宣伝にも使える。
もしかして、この交際を広めているのは上司の策略なの? と思わず勘ぐってしまう。
とりあえず、耳障りな話題は無視することに決め込んだ。
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