婚活アプリで出会う恋~幼馴染との再会で赤い糸を見失いました~
お付き合い(7)
これはきっと、遥斗から呪いのようなものをかけられていただけ。私の心をかき乱したのは遥斗の方なんだから、全て忘れればいいんだ。
アパートへ帰る途中コンビニに立ち寄ると、棚に並んだ売れ残りのスイーツを、端からカゴの中に放り込んだ。
「よーしっ。今日は好きなだけ食べるぞ!」
アパートに一人戻ると、潰れたシュークリームを、口いっぱいに頬張る。
チョコレートケーキやプリンをひたすら食べ続け、その夜は悩まなくて済むように、頭の中を気持ち悪さで一杯にすることにした。
* * *
1週間後にイベントを控えた日、課長からとんでもない提案が飛び出す。
「聞いたよ~。人事の小田君とつき合ってるんだって? それもアプリで知り合ったとか。
それでさ、出会いとかデートの様子とか、少しでいいから、二人で一緒にステージでしゃべってくれないかな?」
「か、課長、それって公開処刑ですっ! 絶対にできません!!」
「そっかぁ。小田君は了承してくれたらしいけど、女子に無理強いは出来ないからなぁ……」
小田さんが了承!? 課長の意外なセリフに驚く。
「それじゃ、別々のステージで話をしてもらうしかないか」
どういう経緯で、小田さんがステージに上がることになったのかはわからない。けれど、本人が参加することは、変わらない決定事項のようだった。
私一人で話そうが、小田さんと二人で話そうが、社内の人から見れば誰の内容かはすぐ
にわかる。
どうして小田さんは承諾したのだろうか……。
詳しいことを聞くために、仕事帰りに小田さんと待ち合わせをした。
会社から数駅離れた場所にあるレストランに入る。
「しばらくお互いの仕事が忙しかったから、こうして里穂ちゃんから誘われて、凄く嬉しいよ」
小田さんは相変わらずにこやかな表情で席に着いた。
「あの……いきなりですが、トークイベントのことなんですけど……」
「あぁ、あれ? 企画に知り合いがいて、そいつにどうしてもって頼まれて、了承したんだ。僕でいいのか迷ったけど、里穂ちゃんとのことなら、話したいことは山ほどあるから。それに、いずれわかることなんだから、いいよね?」
「でも、ステージ上でプライベートなことを話すのって、まだちょっと……」
私を想ってくれている気持ちはありがたいけど、小田さんの自信満々の態度に少し呆れてしまった。せめて私に相談してからでもいいのに。
「大丈夫。なるべく当たり障りのないことを言うようにするから。短時間でいいっていうし、司会の人が上手くリードする約束になってるから。それに、お互いがこうして愛し合っているんだから、他人に話してやましいことは何も無いだろう?」
愛し合う……?
その言葉に違和感を感じた。
私はまだ小田さんにそこまでの感情は持っていない。
彼の堂々とした態度に圧倒され、結局それ以上反論することができなくなってしまった。
とにかく今は、イベントが無事に終了することに集中するしかない。
アパートへ帰る途中コンビニに立ち寄ると、棚に並んだ売れ残りのスイーツを、端からカゴの中に放り込んだ。
「よーしっ。今日は好きなだけ食べるぞ!」
アパートに一人戻ると、潰れたシュークリームを、口いっぱいに頬張る。
チョコレートケーキやプリンをひたすら食べ続け、その夜は悩まなくて済むように、頭の中を気持ち悪さで一杯にすることにした。
* * *
1週間後にイベントを控えた日、課長からとんでもない提案が飛び出す。
「聞いたよ~。人事の小田君とつき合ってるんだって? それもアプリで知り合ったとか。
それでさ、出会いとかデートの様子とか、少しでいいから、二人で一緒にステージでしゃべってくれないかな?」
「か、課長、それって公開処刑ですっ! 絶対にできません!!」
「そっかぁ。小田君は了承してくれたらしいけど、女子に無理強いは出来ないからなぁ……」
小田さんが了承!? 課長の意外なセリフに驚く。
「それじゃ、別々のステージで話をしてもらうしかないか」
どういう経緯で、小田さんがステージに上がることになったのかはわからない。けれど、本人が参加することは、変わらない決定事項のようだった。
私一人で話そうが、小田さんと二人で話そうが、社内の人から見れば誰の内容かはすぐ
にわかる。
どうして小田さんは承諾したのだろうか……。
詳しいことを聞くために、仕事帰りに小田さんと待ち合わせをした。
会社から数駅離れた場所にあるレストランに入る。
「しばらくお互いの仕事が忙しかったから、こうして里穂ちゃんから誘われて、凄く嬉しいよ」
小田さんは相変わらずにこやかな表情で席に着いた。
「あの……いきなりですが、トークイベントのことなんですけど……」
「あぁ、あれ? 企画に知り合いがいて、そいつにどうしてもって頼まれて、了承したんだ。僕でいいのか迷ったけど、里穂ちゃんとのことなら、話したいことは山ほどあるから。それに、いずれわかることなんだから、いいよね?」
「でも、ステージ上でプライベートなことを話すのって、まだちょっと……」
私を想ってくれている気持ちはありがたいけど、小田さんの自信満々の態度に少し呆れてしまった。せめて私に相談してからでもいいのに。
「大丈夫。なるべく当たり障りのないことを言うようにするから。短時間でいいっていうし、司会の人が上手くリードする約束になってるから。それに、お互いがこうして愛し合っているんだから、他人に話してやましいことは何も無いだろう?」
愛し合う……?
その言葉に違和感を感じた。
私はまだ小田さんにそこまでの感情は持っていない。
彼の堂々とした態度に圧倒され、結局それ以上反論することができなくなってしまった。
とにかく今は、イベントが無事に終了することに集中するしかない。
「婚活アプリで出会う恋~幼馴染との再会で赤い糸を見失いました~」を読んでいる人はこの作品も読んでいます
-
-
2.1万
-
7万
-
-
33
-
59
-
-
6,681
-
2.9万
-
-
61
-
149
-
-
176
-
61
-
-
78
-
140
-
-
66
-
22
-
-
1.2万
-
4.8万
-
-
59
-
111
-
-
49
-
125
-
-
5,217
-
2.6万
-
-
5,039
-
1万
-
-
9,711
-
1.6万
-
-
40
-
6
-
-
34
-
16
-
-
8,191
-
5.5万
-
-
2,534
-
6,825
-
-
30
-
35
-
-
3,152
-
3,387
-
-
40
-
55
-
-
218
-
165
-
-
1.3万
-
2.2万
-
-
9,448
-
2.4万
-
-
3,548
-
5,228
-
-
6,199
-
2.6万
-
-
23
-
3
-
-
1,295
-
1,425
-
-
6,675
-
6,971
-
-
2,860
-
4,949
-
-
6,044
-
2.9万
-
-
3万
-
4.9万
-
-
344
-
843
-
-
62
-
89
-
-
76
-
153
-
-
83
-
2,915
-
-
6,237
-
3.1万
-
-
450
-
727
-
-
65
-
390
-
-
10
-
46
-
-
3
-
2
-
-
3,653
-
9,436
-
-
1,863
-
1,560
-
-
7,474
-
1.5万
-
-
14
-
8
-
-
42
-
14
-
-
108
-
364
-
-
265
-
1,847
-
-
187
-
610
-
-
62
-
89
-
-
1,000
-
1,512
-
-
89
-
139
-
-
86
-
288
-
-
71
-
63
-
-
477
-
3,004
-
-
33
-
48
-
-
4
-
1
-
-
10
-
72
-
-
2,951
-
4,405
-
-
86
-
893
-
-
398
-
3,087
-
-
2,629
-
7,284
-
-
408
-
439
-
-
83
-
250
-
-
6
-
45
-
-
215
-
969
-
-
27
-
2
-
-
4
-
4
-
-
3,224
-
1.5万
-
-
47
-
515
-
-
9,173
-
2.3万
-
-
7
-
10
-
-
17
-
14
-
-
29
-
52
-
-
9
-
23
-
-
18
-
60
-
-
183
-
157
-
-
1,301
-
8,782
-
-
614
-
221
-
-
2,799
-
1万
-
-
213
-
937
-
-
614
-
1,144
-
-
116
-
17
-
-
104
-
158
-
-
164
-
253
-
-
2,430
-
9,370
-
-
1,392
-
1,160
-
-
4,922
-
1.7万
-
-
1,658
-
2,771
-
-
88
-
150
コメント