婚活アプリで出会う恋~幼馴染との再会で赤い糸を見失いました~
赤い糸の絡まり(1)
アプリ体験の報告書を提出する期限が迫っていた。
1カ月毎に1度の提出を求められているので、ひとまず小田さんのことを入力する。
イベントの参加は未定だとしても、なんとか相手が見つかったこの状況に、少しだけ安心することができた。
「里穂、最近なんだか楽しそうに見えるけど、いいことあった?」
ランチ中、万智に鋭く指摘される。
「えっ? ううん。別に、そんなことないけど……」
「もしかして、カップリングできたの?」
「う~ん、まだはっきりしてないから。ちゃんと決まったら報告するね」
今、このタイミングで小田さんとの関係をバラしてしまうと、あっという間に噂が広がりそう。
もし騒がれて、イベントに二人で強制参加なんてことにでもなったら……。
付き合うことがはっきりするまでは、もう少し黙っておかないと。
『今夜も仕事関係の人と、食事を外で済ませます』
遥斗にメッセージを送っておいた。
退社時間になり、待ち合わせているチェーン店の居酒屋へ向かう。
会社から離れた駅にあるお店だから、たぶん知り合いに会うことも少ないだろう。
ターミナル駅を出てスクランブル交差点を渡ると、居酒屋が何軒も並ぶ飲み屋街が現れた。大きな提灯がぶら下がる店内に入ると、中はすでに多くの客で賑わっている。
「おーい、鈴河さーん。こっち、こっち」
奥の方で、小田さんが手を上げて私を呼んだ。
「また、待たせちゃいました?」
「大丈夫。待ち遠しくて、早く来たんだ」
小田さんに優しく微笑みかけられた。
明らかに遥斗とは違う人種らしい。あの人は、こんな風に穏やかな表情で私を出迎えない。大抵ニヤついてるか、何か企んで意地悪そうな笑いをしてる。
「どうしたの、鈴河さん?」
「えっ!? なっ、なんでもないです」
せっかく小田さんと会っているのに、危うく遥斗のことを考えるところだった。
「あの……飲み物、何を頼みますか?」
「そうだね、まずビールにしようか? それとも、さっぱりしたレモンサワーにしようか?」
「私、居酒屋って久しぶりに来ました。メニューが沢山あって、楽しいんですよね」
メニューをめくりながら小田さんを見ると、ニコニコしながら聞いている。
「何か変なこと言いました?」
「いや。もっとおしゃれな店がいいのかと思ってたけど、居酒屋で正解だったかなって」
レモンサワーを二つ注文すると、すぐに店員がお通しと一緒に運んできてくれた。
「カンパーイ」
ジョッキをカチンと合わせ、初めのひと口を飲む。
「んーっ! おいしい」
「やっぱり仕事終わりはうまいな~」
お互い一言ずつ言い合い、同時に笑い合った。
小田さんがジョッキの半分を一気に飲んで、私の方を見つめてくる。
「鈴河さんって、外見は大人っぽく見えるけど、中身は可愛らしいよね」
男性から褒め慣れていないせいか、そんな言葉を聞いて、頬が熱くなってきた。
「私なんて、可愛い存在なんかじゃないですよ。社内でも、デカい女子っていうレッテル貼られてますから」
1カ月毎に1度の提出を求められているので、ひとまず小田さんのことを入力する。
イベントの参加は未定だとしても、なんとか相手が見つかったこの状況に、少しだけ安心することができた。
「里穂、最近なんだか楽しそうに見えるけど、いいことあった?」
ランチ中、万智に鋭く指摘される。
「えっ? ううん。別に、そんなことないけど……」
「もしかして、カップリングできたの?」
「う~ん、まだはっきりしてないから。ちゃんと決まったら報告するね」
今、このタイミングで小田さんとの関係をバラしてしまうと、あっという間に噂が広がりそう。
もし騒がれて、イベントに二人で強制参加なんてことにでもなったら……。
付き合うことがはっきりするまでは、もう少し黙っておかないと。
『今夜も仕事関係の人と、食事を外で済ませます』
遥斗にメッセージを送っておいた。
退社時間になり、待ち合わせているチェーン店の居酒屋へ向かう。
会社から離れた駅にあるお店だから、たぶん知り合いに会うことも少ないだろう。
ターミナル駅を出てスクランブル交差点を渡ると、居酒屋が何軒も並ぶ飲み屋街が現れた。大きな提灯がぶら下がる店内に入ると、中はすでに多くの客で賑わっている。
「おーい、鈴河さーん。こっち、こっち」
奥の方で、小田さんが手を上げて私を呼んだ。
「また、待たせちゃいました?」
「大丈夫。待ち遠しくて、早く来たんだ」
小田さんに優しく微笑みかけられた。
明らかに遥斗とは違う人種らしい。あの人は、こんな風に穏やかな表情で私を出迎えない。大抵ニヤついてるか、何か企んで意地悪そうな笑いをしてる。
「どうしたの、鈴河さん?」
「えっ!? なっ、なんでもないです」
せっかく小田さんと会っているのに、危うく遥斗のことを考えるところだった。
「あの……飲み物、何を頼みますか?」
「そうだね、まずビールにしようか? それとも、さっぱりしたレモンサワーにしようか?」
「私、居酒屋って久しぶりに来ました。メニューが沢山あって、楽しいんですよね」
メニューをめくりながら小田さんを見ると、ニコニコしながら聞いている。
「何か変なこと言いました?」
「いや。もっとおしゃれな店がいいのかと思ってたけど、居酒屋で正解だったかなって」
レモンサワーを二つ注文すると、すぐに店員がお通しと一緒に運んできてくれた。
「カンパーイ」
ジョッキをカチンと合わせ、初めのひと口を飲む。
「んーっ! おいしい」
「やっぱり仕事終わりはうまいな~」
お互い一言ずつ言い合い、同時に笑い合った。
小田さんがジョッキの半分を一気に飲んで、私の方を見つめてくる。
「鈴河さんって、外見は大人っぽく見えるけど、中身は可愛らしいよね」
男性から褒め慣れていないせいか、そんな言葉を聞いて、頬が熱くなってきた。
「私なんて、可愛い存在なんかじゃないですよ。社内でも、デカい女子っていうレッテル貼られてますから」
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