条件付きスキル「スキル吸収」を駆使し、冒険者から成り上がれ

ノベルバユーザー538903

36話 王都でお買い物

国別選抜試合も終わって、平和に過ごしていると、

「アスラン様、ご褒美はいつ行きますか?」



アスランは考え、試合に勝ったらご褒美のプレゼントを買いに行く約束をしていたことを思いだす。

「明日の休みにでも行こうか?」

「はい、お願いします」

「エミリアだけズルい。私も行きたいけど…引き分けだったから…」



エリーナの声はどんどん聞こえなくなっていった。



それを見たエミリアは、

「エリーナも一緒にお買い物に行きましょう」

「え、いいの?でもエミリアが…」

「いいんですわ。私達お友達ですから」

ここ最近のSクラスでは、試合で一致団結したことから、呼び捨てで名前を呼ぶことが多くなった。





「エミリア~」

エリーナは嬉しさのあまりにエミリアに抱き着いた。



そんな光景を見てアスランは微笑んでいる。

「じゃあ、明日は何所で待ち合わせにする?」

「王都の待ち合わせと言えば噴水の前ですわ。11時でどうかしら?」

「問題ありませんわ」

「じゃあ、明日噴水の前で11時ってことで」



エミリアとエリーナは鼻歌を歌いながら帰っていった。





翌日、アスランは朝食を食べ終わり準備をしていた。



「ワォン」

「え、遊ぼうって?」



ハクは首を振りながら、

「ク~、クゥン」

「一緒に行きたいってこと?」

「ワォン」

「大丈夫かな~?まあ、いっか。友達もくるから小さいサイズでいるんだぞ」

「ワォン」



ハクは尻尾を振りながら喜んでいる。





10分前に噴水前にアスランが着くと、そこにはエリーナとエミリアが待っていた。

「ごめん。お待たせ。それにしても早くないかい?」

「ええ、楽しみ過ぎて1時間前からいましたわ」

「そ、そっか~、何か申し訳ない」

「ワォン」



エリーナとエミリアはハクに視線を向けると目が釘付けになっている。

「アスラン、その子は?」

「従魔のハクだよ。ほら、ハク挨拶して」



尻尾を振りながら、ちょこんとお辞儀をし、

「ワォン」



「か、か、かわい~~~~~」

「さ、さわってもいいかしら」

「ワォン」



ハクは触りやすい位置に移動してお座りをした。



さわさわ

モフモフ



さわさわ

もふもふ



エリーナとエミリアは一心不乱に撫でている。

しょうがないので、アスランは飲み物を買ってきた。



「はい、オレンジジュース。ここじゃ目立つからベンチに行こう」

「はいですわ」



十分目立っていたからこそアスランは移動したかったのだ。



「アスラン、黙っていたなんて酷いわ」

「そうですよ。独り占めはよくありませんわ」



アスランは苦笑いしながらも

「従魔は学校に一緒に行けないからね。今日の休みはハクがどうしても一緒に行きたいっていうから連れてきたんだ。それよりも買い物はいいの?」





エリーナとエミリアは目を合わせ頷き合いながら、

「そんなことはどうでもいいですわ。ハクと一緒に遊ぶのですわ」

「ええ、今後のことも考えるとハク様?ハク君?ハクさん?と一緒に過ごすのですわ」

「ハクでいいよ。なぁ、ハク?」

「ワォン」



じゃあ、公園で食べれる物を買ってくるから、ハクと一緒に待ってて。

「いつまででも待ってますわ」

「私も行きましょうか?」

「大丈夫だよ。せっかくだから、ハクを可愛がってて」

「はい、ですわ」



アスランはお昼ご飯を買いに行く途中に小ささ露店に目がいった。

「すこし見せてもらってもいいかな?」

「もちろんです」



宝石などは一切ついていないが、綺麗な指輪やネックレスなどが売っていた。



「これは君が作ったのかい?」

「家の鍛冶場で作ったんだよ」

「うん?店では売らないのかい?」



露店の娘は寂しそうな顔しながら、

「店は潰れたんだ。大きな商会が近くに出来て、お客さんが減って安い素材の店ではやっていけないんだって」



「そっか~、細かい仕上げを見ると腕は良さそうだけど」

「お父さんも、私も腕には自身はあるよ。あるけど…。」

「君もお父さんもドワーフかい?」

「お父さんはドワーフだけど、私はエルフとドワーフのハーフだよ」

「そっか~、それは珍しいね」



アスランは考えながら、

「よし、君の商品を何か買うからそこの公園まで一緒にきてくれないか?」

「公園?」

「そう。友達がいるからね。君のお昼ご飯も一緒に買ってから行くよ」



露店の商品を片付けている間にご飯を買い、露店の娘と一緒に公園に戻った。





ハクが一目散に気づいて、足にすり寄ってくる。

「いい子で待っていたかい」

「ワォン」



エリーナはジト目で睨みながら、

「アスラン、お帰り。そしてその子は誰ですの?」



アスランは先程の会話を話し、

「商品を見る前に、お昼ご飯を食べよう。エリーナ達はあまり食べたことがないだろうからホットドックを買ってきたよ」



「外でこんな風に食べるなんて初めてですわ」

「空の下で食べるのもいいもんだよ。エミリアも食べてみて」

「いただきますわ」





それぞれがホットドックを手に持ちかぶりついた。



「………。」



「………。」



「たいした素材は使ってないのに美味しいですわ」

「こんな空の下で、自由に食べる料理が美味しいなんて知りませんでしたわ」



「それは良かった。環境が素材を美味しくすることだってあるからね。それにしても君は良く食べるね」

「スミマセン。ご飯も節約していたもので」

「別にいいんだよ。どんどん食べて」



こうして空の下でのお昼ご飯は、それぞれが満足しながらいただいたのであった。





ハクの横にはピッタリとエリーナとエミリアが引っ付いている。

「アスラン、その子の事情は判ったけど何故連れてきたの?」

「あ~。その前に君の名前を教えてよ」

「私は、ルリよ。普通の年の子よりは背が低いけど、これでも10歳よ」



みな驚きながらも、

「私達と同じくらいかと思ってたわ」

「僕も。まあ、それはおいといて、ルリの商品を見せてよ」



ルリは風呂敷に包んだ商品を丁寧に広げた。



「うわ~、綺麗ですわ」

「真ん中の素材はガラスですね。宝石ではないですが、本当に綺麗ですわ」



アスランは自分事のように

「でしょ。ルリにオーダーメイドでエリーナとエミリアのネックレスを頼もうと思って」

「え、オーダーメイドで?でも素材は手に入らないし店は潰れて…。」



アスランはニヤリと笑みを浮かべながら、

「素材は僕が調達するよ。お金も僕が用意するから職人としてもう一回頑張ってみないか?」

「え、え、え?どう言うこと?子供の貴方が用意するって、そんなに世間は甘くないのよ」



アスランはさらにアクドイ笑みを浮かべて、

「ちなみにこの隣りにいるのが辺境伯令嬢で、こちらの女性は第4王女様だよ」



ルリは固まった。

「………。」



さらには目が泳ぎながらも、

「スミマセンでした。失礼な言葉の数々、大変失礼しました」



こんなに見事な土下座を始めて見た三人は呆れかえっていた。

「僕達が呼んだんだから大丈夫だよ。それに貴族とは思えないぐらいに純粋な女性達だから安心して」



純粋な女性と言われ、エリーナとエミリアは照れながら喜んでいる。

「そして、この子が従魔のハクだよ」

「ワォン」



「か、可愛いとは思いますが、それ以前に貴方様は?」

「あ~、僕はただの3男坊だから気にしないで」



エリーナは呆れながら、

「3男坊は間違いないけど、普通ではないわね」

「そう?普通だと思うけど。まあ、細かいことは気にしない」



そんなやり取りをしながら、今後のことを話し合うのであった。

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