条件付きスキル「スキル吸収」を駆使し、冒険者から成り上がれ

ノベルバユーザー538903

32話 魔法部門

勢いに乗ったリベリア王国の応援席は凄いことになっている。



これで2ポイントだな。次の魔法部門と総合部門も期待できるのか?

一学年の情報はないから判らないな。

剣術部門の二人を見ると期待しちゃうよな。

あ~、あれは凄かった。

二人とも負けなしだったからな。期待するよな。





そして、魔法部門が始まる。



一回戦 バビロニア帝国vsリベリア王国

    ラフィリス法国vs獣人連合国



「アスラン様、どうしますか?」

「難しい組み合わせになったね。できれば詠唱のふりして横に2・3歩移動して魔法を放って勝ちたいところだけど…。それで難しい時は第2、第3の切り札を使うしかないね。バビロニア帝国に勝たないとポイントが入らないからね」



「私は?」

「バーバラは相手が相手だろうから、初級の3本の矢を使うのがいいんじゃないかな」

「わかった」



バーバラはあまり喋らない女の子だが、魔法の威力と操作はピカイチである。





そして、まずはエミリアの試合が始まった。



両者一斉に魔法の詠唱を唱える。

しかし、エミリアは詠唱のふりであるため、左に2歩移動し詠唱を唱えた。

相手は動揺しながらも詠唱し、先に魔法を放つ。

一方、エミリアは落ち着いてイメージしながら、

「風の精霊よ、切り裂く刃となり駆け巡れ、ウインドカッター」

相手の魔法がエミリアの障壁を掠ったが障壁は問題ない。

逆にエミリアの魔法を全身に受けた相手は障壁の色が赤色に変わった。



勝者、リベリア王国





一撃の勝負となったが、見事に勝利したリベリア王国の応援席は興奮していた。



魔法部門もいけるんじゃないの?

でも、次の試合の方が本命だろ?

次の選手を応援しましょう。





続いて、バーバラの試合が始まる。



試合が始まり、バーバラが詠唱を始める。

相手はエミリアと同じ戦法をとってきた。

しかし、バーバラは手の平の向きだけ相手に向け、

「火の精霊よ、3本の矢となり放て、ファイヤーアロー」

相手は火と聞いた後で、水のウォーターボールの詠唱を唱え放ったが、

ギリギリ間に合って発動したウォーターボールと一つ目の矢が相殺となったが、残りの2本の矢が相手に当たり障壁の色が赤色に変わった。



勝者、リベリア王国





応援席は大興奮。拍手の喝采が溢れんばかりに響き渡る。



おい見たか?

三本の矢を同時に放ったぞ。

本当に一学年か?

今年の一年はどうなってるんだ?

次も勝てば2ポイントだ。次の応援も気合入れてやるぞ。



バーバラは一度戻り、ラフィリス法国vs獣人連合国の試合を見届けた。

予想通りにラフィリス法国が勝利したのであった。



「アスラン様、あれは使っていいのですよね」

「もちろん。一戦目のおかげで総合部門までの道筋も見えたよ。有り難う。あ、バーバラは中級魔法で力押しね」

「うん。わかった」



応援席も一致団結して応援に力が入っている



そうして、ラフィリス法国vsリベリア王国の試合が始まる。





それでは試合を開始します。始め。



相手は詠唱を始めたがエミリアは相手に向かって歩いている。

歩きながら小声で結界の詠唱を唱えていた。



相手のファイヤーボールがエミリアの結界にあたり消えた。

勝利を確認した相手が驚愕している間に、エミリアの詠唱が終わりウインドカッターが相手を襲う。

相手は為す術もなく障壁に当たり色が赤色に変わった。



そこまで。勝者、リベリア王国。





見事に勝利したエミリアに賛辞が飛び交う?



相手に気づかれないように障壁の魔法を使ったのか?

でも優雅に歩いていたぞ。

歩きながら障壁を張ったんだろう。

え、まだ一学年生だよ。無理でしょう?

試合の中で同時進行で魔法を放つのがどんなけ難しいと思っているの?

でも、そうじゃなきゃ考えられないでしょう。

そもそも勝利したんだから賛辞を贈ろうよ。

そうだ。凄かったぞ。ブラボ~。

リベリア王国の誇りだ。

よくやった。

素敵だったわよ。



沢山の声にエミリアも嬉しそうに戻ってきた。

そして選手もエミリアを褒めちぎっている。





そんな中アスランは考えていた。

次のバーバラの試合だが、相手選手の試合を見た限り、かなり優れた選手であることがわかっている。さらに相手選手に鑑定までして確かめていたのだ。

「バーバラ、仮に相手の選手も中級の魔法を放ってきても焦らず次の魔法を放つようにな。みんなバーバラを信じているから大丈夫だ」

「うん。任せて」



そうしてバーバラの試合が始まった。



両者共に詠唱に集中しているようだ。



「火の精霊よ、一面を燃やす炎となれ、ファイヤーストーム」

「火の精霊よ、全てを燃やし尽くせ、ファイヤーストーム」



なんと、両者共に中級の火の魔法を放ったのだ。



バーバラの方が魔法スピードと威力が高いため、相手の魔法をおしていた。

その勢いは相手選手の元まで届いたが、軽く障壁にあたるだけで障壁の色は変わっていない。

しかし、相手選手はバーバラが中級魔法を使ったことに驚き、さらには押し負けたことが信じられず、一瞬だが固まってしまった。

そこにバーバラのスピード優先で放ったファイヤーアローが命中し、相手の障壁の色が赤色に変わる。



勝者、リベリア王国。





剣術部門に続いて、魔法部門も優勝したことで応援席は大変な事になっている。



何て試合だ。一学年が中級魔法勝負をしていたぞ。

ありえないだろう。

しかも押し負けた相手は驚き固まっていたのに、バーバラ選手はその隙をついて勝利に繋げたぞ。

本当に素晴らしい試合でしたわ。

よくやった。見事だったぞ~。

相手選手も凄かったぞ。白熱した試合を有り難う。

アリガト~ウ。素敵だったわよ。



予想外の試合に、試合の分析の追求と賛辞が毎回のようにごっちゃになっている。



そして、バーバラも選手席にもどり

「バーバラ、よくやった」

「凄かったぞ、バーバラ」

「信じていましたわよ」



バーバラもみんなと拳をぶつけて勝利を祝ったのであった。





一方王達の観客席も盛り上がっていた。



おい、見たか。

もちろんです。凄まじい試合でしたね。

違う、他の国の王達だ。

試合に夢中でそこまでは…。

驚愕で固まっていたぞ。いい気味だ。

それにしても一学年生は素晴らしいですね。

ああ。これで4ポイントも入ったな。

はい。大分盛り返してきました。

最後の総合部門も期待できそうだな。



こうしてリベリア王国の応援席、観客席共に白熱した熱気に包まれ応援するのであった。


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