条件付きスキル「スキル吸収」を駆使し、冒険者から成り上がれ

ノベルバユーザー538903

25話 入学式

入学式当日となり、アスランも実は楽しみにしていた。しかし、変な貴族と一緒のクラスになりませんように…と心の中で祈っていたのであった。



アデールと学園に向かい会場の入り口に行くと、ミリアが新入生達の案内係をしていた。

「ミリア姉様、案内係ですか?」

「そうよ。これでも生徒会の一員だからね」

「頑張って下さい。Sクラスの生徒は何所の場所ですか?」

「Sクラスは前列の真ん中よ」

「有難うございます」



アデールと別れてから、Sクラスの席に向かっていくと…。

これ名前がないけど、何処でもいいのかな?と考えていたら、

「アスラン様?」



振り向くと満面の笑みをしたエミリアがいた。

「エミリア嬢。エミリア嬢もSクラス?」

「そうですわ。では、アスラン様もSクラスですね」

「そうだけど…これ、座る場所はこの真ん中にある10個の席なら何処でもいいの?」

「ええ、基本何処でもいいとされていますが、今回はエリーナ王女様がいますから真ん中は開けておいた方が宜しいですわよ」

「そっか~。有り難う。遠慮なく一番遠い端の席に座ることにするよ」



エミリアはクスッと笑いながら、

「アスラン様らしいですわね。では、私もその隣りに座ることにしますわ」

「えっ、気にせず王女様の隣りに行きなよ」

「アスラン様は、私が隣りだとイヤですの?」



これは逆らってはいけないと思い

「そんなことないよ。知り合いが隣りなら安心だし嬉しいよ」

「ならお隣で大丈夫ですわね」

「は、はい」



こうして席が決まって座っていると

「あいつエミリア様と仲良く話しているが誰だ?」

「お前知ってるか?」

「あいつ調子にのってるな」



アスランは苦笑いをしながら、

「ほら~、エミリア嬢と仲良くしてると周りの噂が凄いんですから」

「私より噂の方が大切なんですの?」

「そんなことはないけど、平和に学園生活を送りたいだけだよ」



そんな話をしていると、エリーナ王女がSクラスの席の前に来た。



もちろん真ん中の席に座………らずに、何故かこちらの方にやって来た。

「何故、アスラン君が端に座っているのですか?」

「え、席に決まりはないと聞きましたのですが…」

「そうですの?なら、エミリアの隣りに座っても問題ありませんね?」

「エリーナ様?主席で第4王女なのですから真ん中の席が宜しいかと思われますが」

「決まりがなければ大丈夫ですわ。それに主席と言っても仮初ですからね」



何故はエリーナ王女に睨まれて、アスランもタジタジである。

そんな中、天使がやってきた。



「やぁアスラン。やっぱし君もSクラスだったか」

「クロード、よかったよ君がいて。本当に助かった」

「えっ。そんなに喜ばれるとは。ちなみに真ん中しか席が空いてないんだが…」

「あ~、隣りの隣りを見てごらん」



クロードは隣りの隣りをみた

「エリーナ王女。エリーナ様は真ん中に座って下さいませんか?」

「イヤですわ。決まりはない見たいなのでクロード殿が座って下さいませ」

「アスラン、どうしたらいいと思う?」

「クロード。頑張れ」



クロードは苦笑いしながら真ん中の席へと座ったのであった。

アスランはクロードやエミリアと一緒のクラスになり喜んだのであった。





ようやく入学式が始まり、校長先生のお話しとなった。

「新入生の諸君、入学おめでとう。保護者の皆様にも、心よりお祝いを申し上げます。また、ご来賓の皆様におかれましては、お忙しい中ご臨席を賜り、新入生の門出を共に祝って頂きますことを厚く御礼申し上げます。私はこの学園の校長を務めます、サフラン・ロジットです。

この学園では、お互いに切磋琢磨してもらうために身分制度による圧力の禁止をしています。それに因んで実力主義としますが、ある程度の常識だけはもっていただきたい。卒業後のことも考え、人付き合いとは何かを模索しながら学んでいただきたいと考えています。未来ある諸君よ、共に学園を楽しもうではないか」



校長先生の話が終わると、一斉に拍手が鳴り響いた。

熱気と余韻が一帯を包み込み、生徒達は目を輝かせていた。





その後も来賓の挨拶や在校生の生徒会長の話が終わり、新入生代表の挨拶となった。



「新入生のためにこのように盛大な入学式を催して頂き、まことにありがとうございます。校長先生をはじめ、諸先生方ならびに来賓の皆様にも、心より御礼申し上げます。

先程の校長先生のお話しにあったように、私も身分に関係なく皆様と共に成長していきたいと考えております。学生の間でしかできないことを精一杯謳歌したいと考えていますので、皆様気軽に話しかけて下さると嬉しいですわ。最後になりますが、エリーナ・リベリアが誓う。この学年の生徒が、卒業後にこの国の未来を担うほどの活躍と栄光をもたらすことをここに誓います」



確信をもっているような言葉は、生徒達に希望とやる気を与え、エリーナの美貌と相まって、一人の生徒を除いて皆憧れの眼差しを向けていた。

会場は溢れんばかりの拍手が鳴り響き、止む気配がないほどだ。





そんな中アスランだけは、

凄い宣言だけどある意味プレッシャーにならなければいいけど。まあ、冒険者となる僕には関係ないけどね。でも確かにあの凛とした佇まいは見惚れるほど凄かったな~。やはり王女ともなると人を引き付ける魅力があるのだろうかと考えながら拍手をしていた。





無事に入学式が終わり、各クラスに生徒が移動する。

やはりエリーナの周りにSクラスの生徒が集まり称賛していた。

「エリーナ様、素晴らしいスピーチでしたわ」

「僕なんて、胸に熱いものがこみ上げてきたよ」

「エリーナ様と同じクラスになれて幸せです」



しかし、エリーナ本人は納得していなかった。何故なら、アスランは後ろの窓際の席に座って、まったく気にもとめていなかったからだ。



「クロードもエリーナ王女の元に行かなくていいのか?」

「クラスは一緒なんだから、無理に行かなくてもいいだろう」

「まあ、そうだね」

「それにここに居れば問題ないよ。ほら来た」



エリーナはこちらに歩いてきて、

「アスラン君、私のスピーチはどうでしたか?」

「え、あんなに称賛されているのに僕に聞かなくても…」

「あ・な・たに聞きたいのですよ」

「そ、そうですか。王女様とあって素晴らしいスピーチでしたよ」

「そんなお世辞を聞きたいのではありませんわ。それにクロード殿達と同じように気軽に話してよ。学園の間しか気軽に話せる相手は作れないのよ」



何故か泣きそうになりながらエリーナは訴えてきた。

「クロードどうしたらいいの?」

「僕に聞くなよ。でも気持ちは分かるかな。王女様ともなれば、僕よりもさらに心を打ち解ける相手なんていないだろうからね」

「後で不敬罪なんて言わないでよ?」



エリーナはパッと花が咲いたように笑顔となり

「この学園では身分制度による圧力が禁止なのは知っているでしょう。そんなことは言わないわ」

「ならいいけど。後、気軽に話すから周りからのトラブルが起こったら何とかしてよ?」

「も、もちろんですわ。と、友達ならいくらでも助けますわ」



エリーナは嬉しそうにし、さらに友達と言う言葉の場面では顔を真っ赤にしていた。



「クロード殿とエミリアも気軽に話してよね」



アスランはふと考え、

「なら、Sクラスの仲間には呼び捨てで呼ぶようにしてみたら?」

「いいですわね」

「いきなりはハードルが高くないか?」

「まあ強制はできないが、学園の中だけってことで聞くだけ聞いてみたら」

「私、自己紹介の時に促して見ますわ」



エリーナはやる気に満ち溢れていたのだった。


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