条件付きスキル「スキル吸収」を駆使し、冒険者から成り上がれ

ノベルバユーザー538903

23話 ゴブリン

王都での商談が終わり、屋敷に帰って家族に報告する。



「特許料として利益の30%が入ることになりました」



兄弟も話が凄すぎて、しどろもどろしている。



アデールは考えながら、

「特許とは開発した者に与えられるのだから、そのお金はアスランで管理しなさい。ただし、購入した奴隷の給料だけはそのお金から支払いなさい」

「父様、いいのですか?」

「将来冒険者になる時に装備などお金がかかるだろう。三男のアスランには冒険者になってから支援はあまりできないからな」

「それでも、有難うございます」

「後、数日間は貴族のパーティーに出席しなければならないから、その後アーバイン領に戻るから帰る用意をしときなさい」

「はい、父様」



家族の報告をおえると、部屋に戻り数日間何をするか考える。



「………。」



うん、何もすることがないな。珍しい物でも探してアイテムBOXにいれておこう。それ以外はハクと一緒にゆっくりしよう。

「明日からは、一緒にゆっくりしような」

「ワォン」



そして、何事もなくアーバイン領へと帰る日となった。



よかった~。王女様に絡まれたり商人などにアレコレあるかと思ったが、何事もなく帰れる。クロードやカルラと仲良くなったからすこし寂しい気もするけど平和が一番だよね。今後臨時収入も入るし、なんだかんだで充実してたな。王様にすこし目をつけられたが冒険者になれば関係ないしね。



そんなことを考えながら最終日も平和に眠りについた。





帰り道も何事もなく進みアーバイン領へと帰ってきた。



「懐かしい気もするけど、やっぱし気楽なアーバイン領の方がいいよね」

「どの道来年から王都の学校だろ。それまでに剣の稽古を頑張りなさい」

「はい、父上」



翌日、アンシャンテ先生の隣には人族の男性が立っていた。

「俺は冒険者のニヒルだ。宜しくな。後、敬語はなれてないから勘弁してくれ」

「子爵家3男のアスラン・アーバインです。ニヒル先生宜しくお願いします。教えてもらう立場なので言葉は問題ありません」

「おお~、良かった。アンシャンテに聞いていたが心配だったんだよ。一年間宜しくな」



ニヒルは安心した様子でアスランを見ながら

「剣の修行は、初めは基本の型をするけど大丈夫か?」

「はい。剣の握り方から体の動かし方までまったく解らないのでお願いします」

「なんかアスランは貴族っぽくないな」

「はは。将来は冒険者になる予定なので、その方がいいのですよ」

「俺たちと同業になるのか。それなら、しっかりと扱かないとな」



そんなことを話しながら剣の修行は始まった。

ニヒル先生の教えは基本を大切にしているみたいで、素振りやゆっくりと剣を動かす動作ばかりであった。その練習が3ヶ月間も続いた。



その後も基本をメインにしながら、簡単な模擬稽古や剣の払いや反らしと言った技術を繰り返した結果、気づけば半年が経っていた。



ようやく及第点をもらい、残りの半年間で魔物の討伐をすることになった。





アスランは心配になって、ニヒルに尋ねた。

「ニヒル先生、やっと魔物の討伐になるのですが、僕には剣の才能はないのでしょうか?」

「才能は今現段階では誰も解らない。ただ、基本を疎かにすると後で後悔することになる。そんな後悔をアスランにはさせたくなかった。ただ、半年間地味な稽古を続けられるのなら大丈夫だろう。後は剣筋を見切れる動体視力や一歩踏み込む度胸など、多種多様なセンスが問われる。だからこれからも頑張りな」



ニヒルは真剣にアスランのことを考えてくれていたことを嬉しく思い、元気よく返事をした。

「はい。有難うございます」



「さて、今日から森の中で魔物を倒しに行くが覚悟はいいか?」

「はい、大丈夫です」



その後自前の片手剣と皮の鎧を装着して森の中へ向かった。

「シッ。東北の位置にゴブリン1匹いるが、判るか?」

「微かに見えますが、ゴブリンかは判りませんでした」

「今度から魔物の情報を頭に入れておけ。後は気配や匂い、大きさなど判断材料を見つけて正確に見分けられるようになれ」

「はい」



二人は気づかれない様に小声で話す。

「これから抜き足で近づく。魔法の範囲まで近づいたら足に魔法を放て。ミスってもいいから焦らずにな。その後、魔法と同時にゴブリンに向かって走り剣で止めを刺せ。いいな?」



アスランは緊張しながらも返事をした。

魔法の範囲まできたところで

「火の精霊よ、燃え盛る炎の矢を放て、ファイヤーアロー」



炎の矢がゴブリンの足にあたりバランスを崩して倒れた。そこにアスランが到着して剣で止めを刺すことができた。



「よし、上出来だ。魔物を殺した感触に嫌悪感はないか?」

アスランは額から汗を流しながら返事をした。

「は、はい。大丈夫です」



「問題なさそうだな。ただ今日はもう帰るぞ。極度の緊張状態はミスが起こりやすいからな」

「あ、有難うございます」

「後、アスランは魔法が得意らしいが、どの魔物に一撃で倒せるか分かるまでは今日見たいにバランスを崩すことを頭に入れておけ」

「はぁ~、はぁ~、はい」



アスランは息を切らしながらも真剣にニヒル先生の言葉を聞いた。



ニヒル先生の指導は的確で冒険者とは思えないくらい解り易かった。

精神状態や気遣いまで完璧で、ただただ感心していた。

将来誰かに教えることがあれば、ニヒル先生見たいに教えたいと考えるほど、今の環境が恵まれていることに感謝した。



その翌日もゴブリンとの戦闘を2回行い、徐々に慣らしていったのである。

その後も弱い魔物とだが戦闘を繰り返し、ついにはハクと一緒に連携して魔物を倒す訓練を行った。



そうして、残りの半年の時間はあっと言う間に過ぎていったのであった。

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