あの瞬間キミに恋した

桜川椿

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「紗羅ちゃん、これからはずっとここで暮らすのよね?」






どうしよう・・・何て答えたらいいの?




「今すぐには無理だよ、母さん」と晃君がフォローしてくれた。






ホッ・・・。よかった・・・。


何て答えればいいかわからなかったから・・・。






「そうなの?早く紗羅ちゃんと一緒に暮らしたいわ私・・・」






一緒に暮らすのは無理。


だって私はさらちゃんのフリをしているだけだから・・・。


何てことは絶対におばさんには言えないんだけど・・・。




「私も早くお母様と暮らしたいです」と笑顔で言った。


「紗羅ちゃん、あなたが私の娘でとても幸せよ。もちろん晃もね。貴方達は私の宝物なのよ。私の元に産まれてきてくれてありがとう」と言い、おばさんは微笑んだ。




おばさんの言葉を聞いて、更に胸が痛んだ。




産まれてきてくれてありがとうなんて・・・私はあなたの娘じゃないのに。


そんなこと言ってもらえるような子じゃないのに・・・。




おばさんごめんなさい騙してしまって・・・と私は心の中で呟いた。




「わかってるよ母さん。僕達も母さんと父さんが大切だよ、なっ紗羅」


「うん晃君」


「ふふふっ、貴方達は何年も会っていなかったのに仲良しでお母さん嬉しいわ」


「当たり前だよ母さん」


「ふふふっ、そうね」


「じゃあ母さんそろそろ行くよ。紗羅を病院に連れて行かないと」


「そうね、ちゃんとお医者様に見てもらわないといけないわよね。またいつでもいらっしゃい紗羅ちゃん。お母さん待ってるわ」


「はいお母様」と笑顔で答えた。




そして部屋を出た。


ふうう~~~緊張した・・・。




「紗羅ちゃんありがとう」




「ううん、でもおばさん私のこと本当にさらちゃんって思ってるみたいだね」


「そうだね。久しぶりに母さんの笑顔が見れた。紗羅ちゃんのおかげだよ」


「ううん、そんなことない。私少しお話しただけだし」




晃君と話していると後ろから
「晃」と呼ぶ声が聞こえた。




「父さんおかえり」




うわぁ・・・晃君のお父さんなんだ・・・。




晃君に似てる・・・。




晃君も大人になったら、おじさんみたいになるんだろうなぁ・・・。




そしておじさんと目が合った。




・・・・・・。




案の定、すっごく見つめられてしまう私・・・。






「あの・・・」


「ああ、すまない」


「父さん、こちらは同じクラスの渋谷紗羅さん」


「君は紗羅って名前なのかい?」


「はい。妹さんとまったく同じみたいでビックリしちゃいました」と少し笑顔で言った。


「そうか・・・でも驚いたよ。あまりにもそっくりで・・・。紗羅さん面倒な事を頼んでしまってすまない・・・」

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