あの瞬間キミに恋した

桜川椿

90

「愛野君、私でよかったら力になるよ!」


「本当に?ありがとう。こんなこと君にしか頼めないって思ってたんだ・・・。本当にありがとう」とすごく爽やかな笑顔で言う愛野君。


「で、私はどうすればいいのかな?」


「母さんに会って話をしてくれるだけでいいんだ」


「それだけでいいの?」


「ああ」


「聞くの忘れてたんだけど妹さんの名前教えて」


「うん・・・。君と同じ名前だよ」


「え?私と同じって・・・さらちゃんって言うの?」


「うん、漢字も一緒なんだ」


「そうなの?あははっ、ちょっとビックリしちゃった」


「僕も名前聞いた時ビックリしたんだ実は・・・」


「でも・・・私がさらちゃんじゃないってバレないかな?」


「大丈夫だと思うよ」


「なんでそう思うの?」


「君は母さんにそっくりだから・・・。妹がもし生きていたら、君みたいな女の子になってたと思う」と愛野君は少し寂しそうな目をして言った。




「そうかな?うん分かった」


「あと1つ質問していい?」


「うん、なに?」


「おばさんは、さらちゃんに何年も会えなくて疑問に思わなかったのかなと思って・・・。


「それはなんとかごまかしてる。妹の体の調子が悪いとか言ってね・・・」


「そうなんだ・・・ごめんね余計なこと聞いちゃって・・・」


「いや気にしないで。それよりも僕の方が君に迷惑かけてるから」


「ううんそんなことないよ?私は役にたてて嬉しいくらいだもん!!」


「ありがとう。渋谷さんこれから時間あるかな?」


「うん大丈夫だけど」


「早速で悪いんだけど今日会って欲しいんだ・・・ダメかな?」


えええ~~~~今から?




でも今日はなにもないから、いっか!!




「うんいいよ」


「ありがとう。じゃあ僕の家に案内するよ。あっ!!その前に制服のままだとダメだから洋服買いにいこうか?」


「え?いいよ愛野君、私家に帰って着替えてくるから」


「いいんだよ。妹のフリしてくれる、せめてものお礼だからこれくらいはさせて?」






愛野君って本当に優しいね。


こんな人が私のお兄ちゃんだったらなぁ・・・と少し思ってしまった。




そして私達は洋服店に向かった。




「渋谷さん、このお店でいいかな?」




え?このお店ってブランドだよね?




「あの・・・こんな高いお洋服じゃなくていいんだけど」


「気にしなくていいよ。あっ!!この服どうかな?渋谷さんに似合いそう」




愛野君が勧めてくれた洋服は、ピンク色で花柄模様の女の子らしいワンピースだった。




こんな可愛いワンピース私に似合うのかな?




「愛野君私には似合わないと思うよ?こんな可愛いワンピース・・・」


「大丈夫似合うよ、きっと」と笑顔で言う愛野君。


「じゃあ試着してみるね・・・」




そしてそのワンピースを試着。


う~~ん。やっぱりちょっと恥ずかしいかも。




そして私は愛野君に
「愛野君・・・変じゃないかな?」と聞いた。


「すっごく似合ってるよ。可愛い」




かぁあ~~~恥ずかしい・・・!!!




「ありがとう」


「靴も決めないといけないね。これなんかどう?」




わぁ可愛いミュールだ。






「うん。すっごく可愛い」

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