あの瞬間キミに恋した

桜川椿

63

「じゃあそろそろ帰るよ私。櫂斗また明日」




「おう。紗羅、忘れ物。チュッ」とキスをされた。




もちろん・・・唇・・・。




不意の出来事に、ビックリした私。


急にキスされたら、誰でもビックリするよね。あははっ。


「もう~~櫂斗!!!」


「はははっ。じゃあ、また明日な~~」と櫂斗は超ご機嫌で帰って行った。


まったく・・・油断も隙もありゃしない・・・。


ってか・・・お母さんたちに見られたら、どうするのよ?




それを考えただけで、頭が痛いよ・・・。




そんな事を思いながら家に帰った。


「ただいま~」


「紗羅~~~~おかえりなさい」と、すごく嬉しそうにお母さんが言った。




ん?なんかいいことでもあったのかな?すごく嬉しそうだし。




「お母さん、なんかいいことでもあったの?」


「そうよ。たった今ね」






ん?たった今?




サァーーーーーー・・・・・。と血の気が引いていく私。




まさか・・・さっきのキス見られてたんじゃ・・・。




「ふふふっ。キスしてたの見ちゃった♪紗羅やったわね!!やっぱり櫂斗君のこと好きだったんじゃない。んっもう~。」




ガーーーン!!!!!






やっぱり見られてたんだ・・・。なんてタイミングの悪い・・・。






仕方ない・・・お母さんにはちゃんと言おうかな。




すっごくイヤだけど・・・。




「お母さん・・・うん、その櫂斗と付き合うことになったから。私ずっと好きだったの・・・」


「そうだったの・・・。でも、本当によかったわぁ~!!櫂斗君に思い伝わってよかったわね紗羅」と微笑んで言った。




「うん」と私も笑顔で返した。


「そうとわかれば・・・結婚も間近よね。お母さんすっごく楽しみだわ!!!」




え?結婚?まだ早いって・・・お母さん・・・。




「お母さん、結婚とか・・・まだ先だと思うよ?」




って言うか、櫂斗・・・私と結婚とかって考えてるのかな?




私は櫂斗と結婚するのは最大の夢だけど・・・櫂斗の気持ち聞いてないから、正直わかんないんだよね・・・。




そんな時
「ただいま~~って玄関でなにしてるんだ?」とお父さんが帰って来た。


「おかえり、お父さん」


「おかえりなさい、あなた。ねぇ聞いて~~嬉しいニュースよ」


まさか・・・お母さん、お父さんに言うつもりじゃ・・・。


「おかあ・・」と言おうとしたらお母さんに言葉を遮られた。


「紗羅と櫂斗君がね、付き合ってるそうよ」


「え?紗羅と櫂斗君が?そうか・・・。櫂斗君なら父さんも賛成だよ。紗羅よかったな」と笑顔で言うお父さん。






え?お父さん賛成してくれるの?






お母さんはいいとして(いいのかよ!)、お父さんには反対されると思っていた私は拍子抜けしたのだった・・・。

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