あの瞬間キミに恋した

桜川椿

55

「拓哉君はそれでいいの?」


「うん、いいんだ」


「じゃあいいよ・・・・」


「紗羅ちゃん・・・また僕と今まで通り話してくれる?」


「うん、もちろん」


「ははっ。よかった」と笑顔で言う拓哉君。


そして私達は教室に戻った。


本当にこれでよかったのかな?


でも、キス・・・しちゃったんだよね・・・。


私のファーストキス・・・。


ファーストキスは絶対に櫂斗とするんだ!!って思ってたのに・・・無理だった・・・。


でも、どんな形であれ、あんなキスの仕方は最低だよ。


私の気持ちを無視してした、キスだから・・・。




そして昼休みになった。


ふぅ・・・気分が乗らない・・・。




さっきの出来事が頭の中をグルグルと回ってるからだった。


「紗羅大丈夫だった?」とマリが心配そうに聞いてきた。


「うん、もう大丈夫だよ」


「もう~~!!この子は~心配したんだからね!!」


「うん、心配させてごめんね。もう大丈夫だから」


「そういえば櫂斗君に会った?」


「え?なんで?会ってないけど・・・」


「おかしいわね・・・櫂斗君紗羅の様子を見に保健室に行ったはずなんだけどなぁ・・・」


え?櫂斗が保健室に?来てないよ?




まさか・・・さっきのシーンを見られたなんてこと・・・。


ないよね?うん・・・見られてないと思い込もう・・・うん・・・。そうしないと・・・泣きそうだ・・・。




「気のせいじゃない?」


「そうかなぁ?」


「そうだよ。たぶん・・・」


「あっ!!そろそろ時間じゃない紗羅?」


「あっ!!ホントだ」




さっきのことは忘れよう。そう・・・犬に噛まれたと思って忘れよう・・・。




「紗羅?どうかしたの?」


「ううんなんでもない。裏庭で待ち合わせしてるから裏庭に行こう」と笑顔で言った。


そして私達は裏庭に向かった。


そして裏庭に着いた。


「薫~~~!!!遅くなってごめん」


「紗羅・・・遅い!!!」


「紗羅、誰なの?」


「はじめまして、4組の花山薫です」


プッ!!薫でも、敬語なんて使うんだね。ビックリ!!!


「3組の七瀬マリです。ねぇ・・・紗羅どういうこと?」


うっ・・・。すごい怖い目でマリに睨まれる私・・・。怖いよぉ・・・。


「七瀬さん、ごめん・・・。俺が頼んだんだ。紹介して欲しいって」


「そうなの?紗羅?」


「うん、ごめん。なにも言ってなくて・・・」


「で?あなたは、私のことが好きってこと?」


「うん、入学式の時に見てから・・・好きです・・・。っていうか・・・一目惚れしました」


「・・・・・・」


「マリ?」


「私・・・一目惚れとか信じられないのよね!!大体、人目見ただけで好きとか思えること自体が、私には理解できないし。だから・・・ごめんなさい。あなたの気持ちには答えられない」


うわ~お・・・。マリ・・・それは、ちょいと言い方キツクあ~りませんか?


薫が可愛そうに思えてきちゃう・・・。


「そうだよね・・・。急にこんなこと言ってごめん。でも、友達になって欲しいんだけど、いいかな?」


「友達?ただの?」と考え込むマリ。


「うん。付き合ってとか、絶対に言わないからさ」


「そっか・・・。んじゃあOK。これからよろしくね薫!私のことはマリでいいから」と笑顔で言った。


「こっちこそ、よろしくマリ!」


「じゃあ私先戻るね、紗羅」


「うん、またあとでね!」


「紗羅・・・サンキュ」


「え?お礼言われることしてないと思うけど?それよりごめん。上手く紹介出来なくて」


「いいんだよ。初めから、OK何てされると思ってなかったしな。友達になれただけでも、俺嬉しいからさ」


「そう?それならよかった。でも、薫諦めてないんだよね?頑張りなよ!」


「当たり前だろうが!絶対に振り向かせてみせる!」


「その意気だよ。薫」


「おう!」

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