あの瞬間キミに恋した

桜川椿

54

「そろそろ戻ろうか?」


「うん」


そして私は立ち上がった。
その瞬間頭がクラっとした私は、体のバランスを崩し倒れそうになった。




「紗羅ちゃん・・・あぶない!!!」




そして私は床へ向かってドッシーン!!!と倒れ、唇に暖かいものが触れた・・・。




え?なに?これ?


私は拓哉君の上に覆いかぶさってる状態だった。


なんで?もしかして・・・私・・・拓哉君とキスしちゃったの?


そう気づいた途端に私の顔は赤くなった。


「ごめん・・・拓哉君私・・・わざとじゃないから。ねっ?」って当たり前だってば!!!


拓哉「・・・」




「あの・・・拓哉君?」


拓哉君の顔を覗き込むと、拓哉君も私と同じように顔が赤かった。




そして拓哉君が私に近づいてくる。


え?なんで近づいてくるの?




「拓哉君どうしたの?」


そして拓哉君は私の目の前に来た。


「あの・・・」


どうしよう・・・なんか拓哉君の様子が変・・・。


目もいつもの優しい感じじゃなくて、キツイ感じの目になってるし・・・。


って言うか・・・怖い!!!怖いよ~!!!


そして私は拓哉君に肩を両手でつかまれた。


な・・・なんで?
すごい力だ・・・全然動けない・・・。
どうしよう・・・。




「拓哉君ちょっと・・・」


「紗羅・・・」




え?なんで、呼び捨てなの?




と思った瞬間、唇が塞がれた。




「んぐっ・・・ちょ・・・たくや・・・くん・・やめてよ・・・」




すごく強引なキスだった・・・。


こんなキスをする人とは信じられないよ・・・私・・・。


イヤだ・・・イヤだよ・・・櫂斗以外の人とのキスなんて・・・。


私は拓哉君の背中をドンドンと叩いた。


そして・・・やっと力を緩めてくれた。


「拓哉君・・・ひどいよ・・・なんでキスなんかするの?ひっ・くっ」と泣きながら言った。


「ごめん・・・でも紗羅ちゃんのことが好きなんだ・・・」


え?拓哉君が私のことを好き?


「昔からずっと・・・今でも好きなんだ」


「ごめん拓哉君。私は櫂斗が好きなの・・・だから・・・」


「わかってる。だけど・・・簡単には、この気持ち消せない。だから・・・想うだけならいいよね?想うだけでいいんだ・・・」とすごく切なそうに言う拓哉君。

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