あの瞬間キミに恋した

桜川椿

42

それから私と櫂斗は教室に入った。


「櫂斗さっきはありがとね~~!!助かっちゃった」


「別に助けた訳じゃねぇよ。アイツにムカついただけ。それに、紗羅もアイツと一緒だとイヤなんだろ?」


「う・・・うん、まぁ・・・」


「なんだよ!その曖昧な答えは」


あはははは。だって答えに困るよ。


「まぁまあ、櫂斗怒らないでよ」と笑顔で言う。


正直に言うと・・・。櫂斗が私と付き合ってるって拓哉君に言ってくれたことが、すごく嬉しかった。


たとえ嘘だとしても・・・。


私が困った顔をしたから、櫂斗は助けてくれたんだよね?それだけの理由だったとしても、そう思ってくれただけで、私は幸せだよ?櫂斗。


付き合ってるフリでも・・・私はかまわないから。




それから授業が始まり、休み時間になった。


「渋谷さん~~。呼んでるよ!!」と同じクラスの女子が話しかけてきた。


ん?誰?


「ありがとう。すぐに行くから」


そして行って見ると、薫だった。


「おい!!紗羅・・・。ちょっと来い!!」


「わ・・・わかったわよ」


そして私は裏庭に強引?に薫に連れて来られた。


「お前・・・アノ件はどうなってるんだよ?あれから、何日も経ってんのに、全然連絡もしなかっただろ?」


「ごめんごめん。忘れてた訳じゃないんだよ?」


本音を言うと、今の今まで、忘れてました・・・。いろんなことがありすぎて、頭パンクしちゃいそうだよ私。


「当たり前だ!!忘れてたら、ボコるところだ!!」


ぼ・・・ボコるってアンタ。末恐ろしいこと言わないでよ。しかも、私女の子だよ?薫・・・。


「ちゃんとマリに話すから。ねっ?」


「なるべく早くしろよ!!」


コイツは・・・これが人に物を頼む言い方なわけ?
まぁ仕方ないか。薫はこんな性格なんだもんね。あははは。


「ラジャー!!!んじゃあ、そろそろ帰るね。薫まったね~~」とピースをした後、教室へ向かった。


「ふっ。あいつバカだろ?」

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