あの瞬間キミに恋した

桜川椿

38 前半主人公視点 後半櫂斗視点

「紗羅ちゃん?」


「あっ、ごめん拓哉君・・・色々と思い出してたの」


でも、拓哉君はどうして私だってわかったんだろう?聞いてみよう。


「ねぇ拓哉君、どうして私だって気付いたの?」


「え?だって、自己紹介の時に気付いたよ。名前で・・・。紗羅ちゃんは気付かなかったみたいだけど」


「うっごめんなさい・・・。私拓哉君の名字まで覚えてなかったの・・・。ごめんね」


「もういいよ。紗羅ちゃんに会えて僕嬉しいんだからさ。それに・・・そのキーホルダー・・・。まだ持っててくれてたんだね」と私のカバンを指差しながら言った。


あっ!!そうだ・・・。このキーホルダー、すっごく気に入ってたから、カバンに付けたんだった。


それすら、忘れてた私って・・・あははっ。


「でも、僕のこと覚えててくれてよかった。もう、忘れられてるんじゃないかと思ってたんだ」


「ううん、私にとって忘れられない思い出だったから。ずっと覚えてたよ」


「そっか・・・。僕もずっと忘れられなかったよ。再会出来て本当に嬉しい。運命なんじゃないかと思って」と顔を赤くして言う拓哉君。




う・・・運命?って・・・。


少し前の私なら、運命だよね!!キャー!!っと思ってただろうけど・・・今は、櫂斗の事で頭がいっぱいなんだ。


「でも、すっごく驚いた。まさか、また会えるなんて。思ってもみなかったから」


「うん僕も。そうだ・・・。紗羅ちゃん、今度会った時に伝えたいことがあるって言ったの覚えてる?」


あっ!そういえば、拓哉君言ってたよね・・・あの時。


でも、なんなんだろう?って思ってたんだ。


「うん、覚えてるけど。伝えたいことってなに?」


「覚えててくれたんだ。嬉しいよ。でも、それはまだ内緒」


「え~っ!!拓哉君ひどいよ~。ねぇ教えて」


「ふふふっ。ダメ、まだ教えてあげない」


「拓哉君のいじわる~」


「あはは。でも、必ず教えるから。ねっ」


「もう・・・わかったよ。ではでは改めて、これからもよろしくね。拓哉君」


「うんこちらこそよろしくね。紗羅ちゃん」






☆櫂斗視点☆
ジリリリリリリリッ
もう朝か・・・。
ふぅ・・・最近の俺は最低だ。
紗羅が話しかけてくれるのに、俺は紗羅を避けてる。
そう・・・俺はただの弱虫なのかもしれないな。


でも、もう限界だ。




今日こそ、紗羅と仲直りするぞ!!!

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