あの瞬間キミに恋した

桜川椿

34

そして拓哉君が
「紗羅ちゃんと花山って今日が初対面だったの?」と疑いの目で聞いてきた。


「え?うん。そうだよ」


「その割には、仲が良すぎるように見えるんだけど・・・」


ん?なんか・・・拓哉君怒ってる?なんで~!!私、なんか怒らせるような事言ったのかな?


「そんなことないよ。なんか面白いヤツだとは思ったけど」


「本当にそれだけ?」と怖い顔で言う拓哉君。


「うん。そうだけど」


「あと、例の件ってなんなの?」


困った。これは困った。
説明したいけど、言ったら薫に申し訳ないし。


そして私は
「ごめん・・・それは言えない」


「そっか・・・。わかったよ。もう聞かないからさ。さっ、本直そうか」と寂しそうに私に言った。


「ねぇ拓哉君何か怒ってるの?」


「別に・・・怒ってなんかないよ」


「そう?それなら、いいんだけど」


なんか・・・やっぱり・・・おかしいよ、拓哉君!!
も、もしかして・・・ヤキモチ?
なぜだか、そんな気がした。
そんな訳ないよね・・・。私ってば、自惚れすぎだって!!
拓哉君には、私よりもっと、つり合う人がいるだろうし。
そんな事を考えていると拓哉君がポツリと言った。




「紗羅ちゃんと僕、昔会った事あるんだ」と拓哉君が笑顔で言った。


え?本当に?


「え?本当に?私達、昔会った事あるの?」


「うん。覚えてないかな?昔、病院で紗羅ちゃんに会ったんだよ」


病院?
病院と聞いて、ふと思い出が蘇る。


「え?もしかして・・・あの時の男の子が拓哉君なの?」


「うん、覚えててくれてたんだね!紗羅ちゃんにまた会えて僕嬉しいよ。すっごく」


拓哉君と私が初めて会ったのは
私が小学3年の時だった。
私は昔体が弱く、よく病院に行ってた。
小児喘息だったんだ。
そして小3の夏、私は喘息がひどくなって、入院する事になった。
今は、もう元気モリモリで大丈夫なんだけど。


そして入院した日に、私に話しかけてきた男の子。
そうこれが・・・拓哉君との初めての出会いだった。

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