格闘チャンプの異世界無双 〜地球最強の男、異世界で更なる高みを目指して無双する〜

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

91話 謎の襲撃者

「「「おおおおぉっ!!!」」」

 俺はチンピラたちを引き連れ、街を駆けていく。
 何も、どこかを襲撃しようというわけじゃない。
 領主邸の応接室を借りて宴会をするにあたり、買い出しにやってきただけだ。
 しかし、心なしか人々が怯えた目をしている気がする。

「お、おい。あいつらは……」

「クソ領主のところの奴らだよな?」

「バカ野郎! 滅多なことを言うんじゃねぇ! 領主……様の耳に届いたらどうなることか……」

「しかし、あの先頭の男は誰だ?」

「知らねぇのか? 最近有名な冒険者だよ」

「くっ! 領主め……。期待のルーキーまでも配下にしちまったようだぜ」

「くそぅ……」

 すれ違う街の人たちが、そんなことを言っていた。
 どうやら、領主はかなり評判が悪いらしい。
 俺が連れているこのチンピラ共も、街の人から相当に嫌われているようだ。

 とはいえ、俺が鍛えてやれば、改心することもあるだろう。
 健全な精神は健全な肉体に宿るとも言うしな。
 とりあえず、今大切なのは買い出しだ。

「はっはぁ! ここが俺の行きつけの肉屋だぁ~!!」

 俺は一軒のお店にやって来た。
 筋骨隆々のおっさんが店主を務める、精肉店である。

「「「おおおおぉっ!!!」」」

 チンピラたちが雄叫びを上げる。
 筋トレ後の疲れ切った状態で美味そうな肉を目にして、興奮している様子だ。

「な、なんだお前らはっ!? ご、強盗か!?」

 筋骨隆々とした店主のオッサンだが、さすらに怯んでいる。
 俺の後ろからは、チンピラがゾロゾロとついてきているのだ。
 普通なら、こういう反応になる。

「まあまあ、落ち着いてくれよ。ほら、俺だよ、俺」

 オレオレ詐欺みたいになっているが、もちろんそうではない。

「あ、ああ……。よく見りゃ、リキヤさんかい。後ろのそいつらは?」

「こいつらは俺の舎弟だ。つい先ほど弟子入りを認めた。その祝いに、美味い肉を食わせてやろうと思ってな。ここに買いに来たわけだ」

「ははは。そいつは豪気なことだねぇ……。で、どの肉にするんだ?」

「そうだな……。いつも食べているその部位を10キロ。その他の部位を適当に10キロほど頼む」

 俺とチンピラたちで、合計10人以上いる。
 俺はもちろんたくさん食べるし、チンピラたちもそれなり食べるだろう。
 むしろ、無理やりにでも食べさせる。
 食べることもトレーニングの内だからな。

 メイドのサキも宴会には参加するし、その他飛び入り参加者が来る可能性もある。
 肉はたくさん買っておくべきだ。
 俺はそのようなことを考えたのだった。

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