格闘チャンプの異世界無双 〜地球最強の男、異世界で更なる高みを目指して無双する〜

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

90話 買い出し

 俺は街へ買い出しに行くことにした。
 メイドのサキには、残った仕事を一段落させておくように伝えた。

「わ、分かりました!」

 サキが返事をする。
 彼女はそそくさと応接室を出ていった。

「おいっ、てめぇら! いつまで寝てやがるっ!!!」

 俺は床に転がっているチンピラどもに蹴りを入れた。

「ぐはっ!?」

 チンピラどもが上体を起こす。
 だが、立ち上がってはこない。

「俺の弟子になったからには、あの程度のトレーニングでへばってるんじゃねぇ!!」

「ぐっ……。そ、そんなムチャな……」

「どれだけ腕立て伏せをしたと思ってやがる……」

「スクワットのし過ぎで、足がプルプルして止まらねえんだよぉ……」

 チンピラたちが口々に言う。
 確かに、今日はやり過ぎたかもしれない。
 俺にとっては大したトレーニング量ではなかったが、弟子入り初日にしては少し多かったか。

(だがしかし、後悔はないッ!!!)

 一流の筋肉は、生半可な覚悟で身に付くものじゃないのだ。
 多少のムチャは必要である。

「いいから立て! 立つんだ!!」

「でもよぉ……」

「しょうがない奴らだな……」

 チンピラの癖に根性がない。
 ここでさらに蹴り飛ばして活を入れるのもありだが、鞭ばかりでは人は育たない。
 時には飴も必要だ。

「トレーニングの後は肉を食べるに限るっ! 俺の買い出しに付いてこい! 最上級の肉をたらふく食わせてやるぞっ!!」

「……ほ、本当か!?」

「嘘だと思うのか?」

 俺は金に困っていない。
 ネネコを購入したことにより日々の生活費は増したが、それ以上に日々の冒険者活動で稼いでいるからだ。

「い、いや。滅相もない……」

「なら、さっさと行くぞ。俺に続けぇっ!! 野郎共!!!」

「お、おう!」

「声が小さい! 行くぞぉっ!! 野郎共!!!」

「「「おおおおぉっ!!!」」」

 こうして俺は、チンピラたちを引き連れて領主邸の応接室を飛び出し、街へと買い出しに向かったのだった。

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