格闘チャンプの異世界無双 〜地球最強の男、異世界で更なる高みを目指して無双する〜

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

89話 少しだけですよ!!

 メイドのサキをディナーに誘ったのだが、断られてしまった。

「心配ないさ。少しぐらいサボってもいいだろう?」

「そ、そういうわけにはいきませんよ。メイド長とか、領主様に怒られてしまいます」

 サキは顔を青くしながら言う。
 どうやら、メイドの上司たる責任者はかなり怖い相手のようである。
 だが、そんなものは関係ない。

「大丈夫だって。俺が許す。だから安心して俺と夕食を……」

「いえ、ですから……」

「領主がなんだ。文句を言ってきたら、俺がぶっ飛ばしてやるよ。なぁ、いいだろ?」

 俺はそう言いつつ、サキを抱きしめる。
 イケメンスマイルが通じないなら、今度は物理的に迫ってみる作戦だ。
 胸板に押し付けたサキの顔は、真っ赤になっていた。

「あわわわわわ……。す、凄い汗の匂い……。筋肉も……。こ、こんなの初めて……」

 恥ずかしさと緊張が入り混じったような表情。
 よし、これは脈ありだ!
 このまま一気に押し切ってしまうぞ!!

「なぁ、頼むよ。一緒に食べようぜ。そうだ、出ていくのがダメなら、出前を取ってここで食べるのはどうだ?」

 ここは領主邸の応接室。
 チンピラたちと共に筋トレをしていたので汗臭いが、換気をすれば問題ない。
 広さも十分だし、テーブルやソファもある。

「あ、あの、その……えっと、じゃ、じゃじゃじゃじゃじゃじゃあ、少しだけ……。少しだけですよ!!」

 サキは目をぐるんぐるんと回しながらも、なんとか了承してくれた。
 よしよし。
 やはり、飯はいい女と食べるに限る。

 最初の村では、フィーナといっしょに食べていた。
 この街に来てからはエミリーとたまに食事をしていた。
 最近では、奴隷のネネコもいる。

「よぉし。なら俺は、買い出しに行ってくる。サキは、仕事を一段落させておいてくれ」

 文句を言われれば、俺が出てボコボコにしてやるつもりだ。
 しかし、無理のない範囲で仕事をちゃんとやっておけるなら、それに越したことはない。

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