格闘チャンプの異世界無双 〜地球最強の男、異世界で更なる高みを目指して無双する〜

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

72話 ネネコvsモヒカン

 ネネコが赤い三連星のリーダーと対峙している。
 もちろんガチの殺し合いなどではない。
 ネネコの成長ぶりを確かめるための模擬試合である。

「試合のルールは簡単だ。相手を戦闘不能にするなり、降参させるなりすれば勝ちだ」

「はい。分かりました」

 ネネコは真剣な表情で言う。

「へっ! そんなルールじゃ、俺が簡単に勝つだろうな」

「むう。……ご主人様ぁ」

 ネネコが上目遣いに俺を見つめてきた。

「大丈夫だ。ネネコは強い。胸を張って戦えばいい」

 俺は優しい声音を意識してそう言った。

「はい……。頑張ります!」

 ネネコは力強く答えた。

「では、始め!」

 審判役の俺が開始の合図を出す。

「先手必勝だ!」

 赤い三連星のリーダーであるモヒカンが、素早い動きでネネコに接近していく。
 悪くはないスピードだ。
 彼は元々Cランク冒険者として、一般人やそこらの盗賊よりも高い戦闘能力を持っていた。
 その上、ここ最近は俺が定期的に指導してやっている。
 俺のライバルになるにはまだまだ遠いが、可能性を感じさせる程度の強さはある。

「ふぅんッ!!」

 モヒカンが気合と共に、右拳を突き出す。
 ネネコはそれをスウェーバックで回避した。

「やるじゃねえか!」

 続いて左ストレートを放つが、ネネコはそれも軽々と避ける。

「くそったれが!」

 さらに攻撃を加えようとするが、ネネコはそれを避け続ける。
 そうしている間にも、ネネコの動きにはキレが増してきた。

「おい、どうなってんだよ……」

「あのガキ、めっちゃ強くなってないか……?」

 2人の攻防を見ていたデブとスキンヘッドがつぶやく。

「確かに強くなっているな」

 俺は内心でほくそ笑む。
 ネネコの実力は、既にこいつらを超えている。
 見立てではそう思っていたが、実際に手合わせしてみると、想像以上に強くなっていた。
 1か月前と比べ、格段に動きが良くなってきている。

(やはり、才能があるな)

 ネネコの才能を実感しつつ、俺は口元に小さな笑みを浮かべる。

「おらああっ!!」

 ついにリーダーの攻撃が当たる。
 ネネコは強くなっているが、モヒカンもただでは負けない。
 彼女は衝撃に耐え切れず、後ろに吹っ飛ばされる。

「ぐっ……!」

 地面に倒れ込んだネネコは、すぐに立ち上がる。

「はっはー!! これで終わりだぜぇ!」

 そう言って、モヒカンがネネコに近づく。
 そして、懐から取り出した木刀を振り上げた。

「まだです!」

 ネネコは素早く立ち上がり、手を構える。

「なにぃ!?」

 モヒカンが驚きの声を上げる。
 ネネコは、自分の体に当たる寸前で、モヒカンの木刀を受け止めたのだ。

「なんつう反射神経だよ……。さすが獣人ってところだな」

 モヒカンが感嘆の息をつく。

「てやああっ!!」

 ネネコが木刀を弾き飛ばすと、すかさず彼女の蹴りが炸裂する。

「ぶげっ!?」

 強烈な一撃をくらったリーダーは、その場に崩れ落ちた。

「それまで! 勝者ネネコ!!」

 俺が高々に宣言すると、周囲から歓声が上がった。
 いつの間にか観客が集まっていたようだ。

「やったぁ! 勝ちました、ご主人様!」

 ネネコが嬉しそうな顔で言う。

「ああ、よく頑張ったな」

 俺は微笑みながら、ネネコの頭を撫でる。
 こうして、俺はネネコの成長ぶりを確かめたのだった。

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