格闘チャンプの異世界無双 〜地球最強の男、異世界で更なる高みを目指して無双する〜

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

49話 ゴブリンの襲撃

 翌日。
 俺は赤い三連星どもと森にまでやってきた。

「襲ってくるゴブリンどもを蹴散らしたのはこのあたりだったはずだが……」

「おっ! あれだな! ゴブリンどもの残骸が転がってやがるぜ」

 赤い三連星のリーダー格……モヒカンがそう言う。
 俺はゴブリンの右耳だけを剥ぎ取り他はそのままに放置していたので、ゴブリンどもの死体はまだ残っている。
 獣に食われたのか、体の一部は損壊している。
 このまま放置していればさらに食われ、残った部分は土に還るだろう。

「よし、さらに進むぞ」

「おいおい、本当に場所がわかるのかよ?」

「俺を誰だと思っている。昨日の戦闘中に、ゴブリンどもが向かってきている大元は掴んでおいた。そこに行くだけの簡単な仕事だ」

 ゴブリンの巣はここからさらに北に向かった先にある。
 俺が先頭に立ち、進んでいく。
 しばらく歩いた頃。
 茂みから気配を感じた。

「ぎいぃっ!」

 ゴブリンだ。
 数は三匹いる。

「ギャハハハハ! ゴブリンが出たぞ!」

「俺たちの敵じゃねえ!」

 赤い三連星たちが武器を構える。
 そして……

「オラァッ!」

 まず最初にモヒカンが剣を振るう。
 ゴブリンの首が飛ぶ。
 次にスキンヘッドが槍を突き出し、二匹目を仕留めた。
 最後にデブが斧を振り回し、三匹目の首を飛ばした。

「やるじゃないか」

 俺はそう言う。
 こいつらはザコだと思っていたが、ゴブリン程度に負けることはないらしい。
 鍛えてやれば、俺と張り合えるレベルになることも不可能ではないかもしれない。

「おいおい、オッサン! 何をぼーっとしてやがる! 後ろだ!!」

 モヒカンがそう叫ぶ。
 俺の背後から、ゴブリンの気配を感じる。
 赤い三連星が戦っていたゴブリンは陽動で、背後から挟み撃ちする作戦だったか。
 ゴブリンも知恵が回るな。

「ぎいぃっ!!」

 やつが跳躍し、棍棒を俺に目掛けて振り下ろす。
 腕力はさほどでもないだろうが、この攻撃方法は跳躍後の落下エネルギーが打撃力に変わる。
 それなりの威力はあるだろう。

「よけろ、バカ!!」

 モヒカンがそう注意の声を上げる。
 だが、俺は体を動かさなかった。
 ドカッ!
 やつの棍棒が俺の頭にクリーンヒットする。

「ちっ! 油断するからそうなるんだ!」

「ギャハハハハ! 生きてんのか? オッサン!」

 モヒカンとスキンヘッドが俺に駆け寄ってくる。

「ふむ。やはりこの程度だろうな」

 ゴブリンの攻撃をくらったのはわざとだ。
 昨日は一方的に殲滅しただけだったのを思い出し、ここらで一度攻撃を受けてみようと思ったのである。

「所詮はゴブリン。予想通りではあるが、期待外れでもある」

 予想と期待は違うものだ。
 地球では、俺より強い者がいないかと期待してあちこちを巡り様々な戦いに身を投じた。
 しかし同時に、そんなやつはそうそういないという予想もしていた。

 ただのゴブリン相手では、自由に攻撃させるという条件下でも大した鍛錬になりそうにない。
 さっさとゴブリンキングとやらと対面したいところだ。

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