世界に轟け中華の声よ

鈴木颯手

第三十四話「杏共内戦~反抗準備~」

 共産勢力との内戦が始まって一月が経過した。共産勢力との前線には兵の配置が完了しこれ以上の敵の侵攻を阻止する事に成功した。ただし、一部の軍閥領が占領されてしまっているらしい。加えて中京州に派遣された帝国軍は一部で敗走しているようだ。敵の正規兵が対応しているらしい。
 この間に各国からの意志表示もあった。大日本皇国、シベリア共和国、アメリカ合衆国は今回の内戦に関して中立を宣言した。別にこれは問題ない。大日本皇国はつい最近まで争っていた仲だからな。これに合わせて海杏軍閥とその傘下の軍閥も中立を宣言した。共産勢力に僕たちが敗れれば共産勢力を背後からついて中華のトップに、僕たちが勝てば海を通してでしか今のところは攻め込めない上海方面を占領するのだろう。
 ここまでは中立を宣言した国と軍閥だ。ロシア帝国は武器をくれたりすると約束してくれた。要はこちらに友好的中立と言った所だろう。だが、ここで一番過激に反応したのがモンゴルだ。大杏帝国成立時に独立した彼らは新疆へと盛んに攻め込んでいる。一応こちらの味方として参加したらしいが完全に新疆の領土目的なのが見え透いている。
 だけど、僕たちにとっては有難くもある。何しろ帝国軍だけじゃ全ての戦線をカバーできない。傘下の軍閥も合わせてようやくと言った所だろう。だから、モンゴルが攻めてくれる間新疆はそちらに意識を向けないといけないだろうから侵攻はしてこないと思う。その隙に狙うのは緑海州と姜成州だ。数は合計21万の彼らを各個撃破していけば確実に兵を削ぐことが出来る。
 とは言え帝国軍では無理だ。何しろ敵の正規兵は緑海軍閥の姿もあるらしくかなり強大との事だ。だから傘下の軍閥に頑張ってもらう。軍閥の力を増す原因になりかねないけどそれを行わないとこちらが滅びてしまう。

「清択さん」
「はっ!」
「狙い目は緑海州だよね?」
「! その通りでございます。既に作戦は発動しています。経過は報告した方がよろしいですか?」
「ううん。言わなくていいから確実に倒して」
「その様に伝えます」

 後は軍閥たちの活躍を祈ることしか出来ないな。我が大杏帝国の為に頑張って。

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