世界に轟け中華の声よ

鈴木颯手

第二十二話「ふんそーです!ご?」

「大杏帝国は予想以上に手ごわかったな」

 大日本皇国の皇都東京のとある料亭にて数人の男たちが会談を行っていた。彼らは大日本皇国の軍人たちであり今起きている大杏帝国との戦争に関して話していた。

「彼らとてこれ以上自身の威信の低下は避けたいでしょうからな」
「とは言えこのままでは不味いのではないか?時刻をきちんと管理すら出来ていない弱小国に負けたままでは我が国の威信が失墜しかねないぞ」

 一人の軍人が言った言葉に別の軍人が懸念を話す。そもそも彼らの予定では睨み合いかそうでなくても国境での銃撃戦をするだけで後は適当に講和をする予定だったのだ。それがシベリア共和国の首都を奪われた挙句に海上輸送路を事実上使えない状況にされたのだ。

「その辺は問題ないだろう。大杏帝国軍と我らでは練度も装備の質も大きく違う。その気になれば一気に帝都を落とすことだって可能だ。だが、問題は国民だ」
「……ああ、確かにな」

 軍人が懸念していたのは自国民の事だった。彼らがこの戦争を望んでいないことはわかっておりその為『これ以上の被害が出る前に講和するべき』と騒ぎかねなかった。実際、そう言う意見が少しづつだが出始めていた。

「今はまだ、少数だが確実にデカくなる。そうなる前に我らが有利な状況で終わらせたい」
「では、あれ・・を投入するのはどうだ?」
あれ・・か!?あれは確かに効果的だろう。だが、あれは我が国のものではないのだ。壊れれば研究所がうるさいぞ?」
「だが、あれを投入しそれを大々的に報道すれば少なくとも国民は黙るだろう。敵歩兵を蹂躙するあれを見れば誰だって応援したくなるさ。あれは使えないのか?」
「何時でも出せるさ。その気になれば明日には大陸に向けて輸送すら出来る」
「ならすぐにでも行動するべきだ。国民の声を無視できなくなるまで予想だとひと月からふた月……。それまでに決着を付けよう」
「そうだな。そうしよう」

 軍人たちは料理をつまみながら話を続ける。そして、翌日にはとある新兵器・・・が海を渡り大陸に持ち込まれようとしていた。後に大杏帝国と大日本皇国の間で開発競争が起こる程の衝撃を与えるそれ・・は大杏帝国に牙を向こうとしていた。

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